ハーブティー,ハーバルドリンク

ハーブにはさまざまな有効成分が含まれていて、健康に役立てる療法をフィトテラピー(植物療法)といいます。ハーブティーを嗜むこともそのうちのひとつ。茶葉から抽出し、色や香り、味を楽しむ時間はひとときの休息をもたらし、心身を健やかに導いてくれます。国産ハーブを自らブレンドし、ハーバルドリンクのブランド「Verseau」(ヴェルソー)を展開するハーバルライフスタイリストの村田美沙さんに、ハーブティーを暮らしに取り入れることの豊かさ、ハーブの効能やおすすめの飲み方についてお話を伺いました。

治癒力のあるハーブを心身のケアに役立てる

ハーブは治癒力のある薬草であり、古より病を予防し、健康を維持するために食事にも使われ、長い歴史の中で連綿と受け継がれてきた。暮らしに身近なハーブの力を享受し、心身を労ってきた先人たちの知恵から、いまこそ学ぶべきことはたくさんあるだろう。ハーバルライフスタイリストの村田美沙さんも、自身の体調の不調をきっかけにハーブに出合ったという。

「数年前は地元の名古屋でアパレルの会社に勤めていました。高層ビルのオフィスでは、室内の気温を自分でコントロールできないので、体調を崩してしまって。同時に人間関係の悩みもありました。心と体と向き合い、もう少し自分で体調をコントロールできるようになりたくて、マラソンをしたり、漢方やハーブを暮らしに取り入れたりしていました」

あらゆることを試してみて、唯一好きで続けられたのがハーブティーを飲むことだった。

「ハーブティーは香りもいいし、そのときどきのメンタルに寄り添ってくれる感じが好きで。以前は気落ちするようなことがあるとしばらくその状態が続いたのですが、好きなハーブのお茶を飲むと、その状態が浅くなるような気がしています。生きていれば、日々いろんな感情が生まれるのでどうしても波はありますが、ハーブティーを飲むことで気持ちの切り替えが上手になりましたし、仕事や対人関係にもいい影響があるように思います」

ハーブの力で心身のケアをすることに目覚めた村田さんは「ハーブに関連した仕事をしたい」と思い立ち、植物療法士の資格を取得。その後は、植物療法の本場であるフランスへ約半年間、さらにハーブを深く学ぶための旅に出た。

「南フランス、エクサン・プロバンスのハーブ農家に住み込みをして手伝いをすることで、ハーブが成長する様子やお茶になる過程、料理での活用方法を学びました」

南の島のハーブ,嵩西洋子
村田さんがフィトテラピーを学ぶ上で参考にしている書籍の一部。(左)『南の島のハーブ』(南山舎)。与那国島生まれの著者、嵩西洋子が島特有のハーブを中心に史実やハーブの実用例を織り交ぜながら、生活の中での活用法を紹介している。(中央)植物の恵みを、化学の視点で紐解いた『人の暮らしを変えた植物の化学戦略』(築地書館)。(右)“植物の生きる仕組み”をガイドした『植物の体の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)。


日本の水源豊かな土地で作られたハーブティー

帰国後さらに、独自のハーブティーを作るために日本国内のさまざまなハーブ農家を約1年間かけて回ったという。沖縄、島根、兵庫、愛知、山梨、栃木……etc.。農家の方々から作物の生育過程を学び、ときに収穫を手伝い、とれたてのフレッシュハーブの味をダイレクトに堪能。日本で生まれるハーブのクオリティの高さに引き込まれた村田さんは、訪れた農家で気に入ったフレッシュハーブやお茶用に加工されたものを後日取り寄せ、試行錯誤を繰り返して斬新なブレンドを施した。

「水源豊かな土地で丁寧に育てられたハーブだけを選び抜いて作った、オリジナルのハーブティーの茶葉が『Akeru』と『Kureru』というシリーズです」

ハーブティー,オリジナル,Akeru,Kureru
朝をイメージした「Akeru」(右)は、目覚め時の一杯やリフレッシュにおすすめのブレンド。気持ちを切り変えたいときに作用する。「Kureru」(左)は、1日の終わりや仕事中に緊張をほどきたいときに。各1,760円。オンラインで購入できる。https://verseau.me/


瓶詰め,ハーブ
ハーブは種類ごとに瓶に詰めて保管。さまざまなブレンドを試行錯誤しながら、自身が納得する味わいを追求する。


「Akeru」の茶葉は手にとって香るだけでも、レモンバーベナの爽やかなレモンの香りが鼻に抜けて、心に安らぎが生まれていく。暑い季節は水出しして、アイスでいただくのがおすすめだ。

水出し,ハーブティー
良質な水を入れたボトルやジャグに茶葉を入れて2〜3時間抽出すると、水出しハーブティーが完成。例えば、水750CCに対して、茶葉は3gを目安にして淹れるとちょうどいい。


「私が作るブレンドは茶葉を粉末にしたり、ティーバッグにしたりせず、加工した茶葉をほぼそのままの状態で提供しているのが特徴です。粉末にしてしまうと、それぞれのハーブが実際にどんな形をしているのがわからなくなってしまうのが寂しくて。粉末状のものは見た目の形状を毎回均等に統一できる利点がありますが、茶葉の大きさを重視してブレンドしたほうが、より美味しいものになると感じています」

「Akeru」にブレンドしているレモンバーベナは、レモンのような香りが高ぶった神経を沈静化し、頭痛を和らげてくれる働きも期待できる。

「ミントは、イライラや不安を緩和する作用がありますし、沖縄地方によく自生する桃色の花を咲かす月桃は、抗酸化や胃腸を労わる作用があると言われています。ほかにも、爽やかな香りがする柚子の皮やスパイシーな香りのクロモジ、ほうじ茶もブレンドしています」

「Akeru」のハーブティーを使ったアレンジとして、村田さんはコーディアルシロップ作りに活用できることを教えてくれた。

カモミール,レモン,コーディアルシロップ
「Akeru」とフレッシュカモミールとレモンのコーディアルシロップ。「Akeru」の茶葉を3〜4g使用し、お湯で濃い目に抽出。30gのグラニュー糖を加えてかき混ぜたら、コーディアルシロップの完成。レモンとフレッシュのカモミールを保存容器に入れて、香りづけを。冷蔵で1〜2週間冷蔵保管ができる。パンナコッタやゼリーの上にかけて食すと美味。ソーダ水やアルコールで割って飲むときに、漬け込んだレモンやハーブを添えてみても。


免疫機能や新陳代謝を高めるハーブを積極的に摂取する

「Akeru」の苦みやえぐみがない清涼感のある味わいは、毎日飲み続けたくなるような飲み飽きなさも魅力。一方、「Kureru」は、シナモンやクロモジといったスパイシーな香りと、ホーリーバジルやジャーマンカモミールの甘くフルーティーな香りが絶妙に混ざり合う芳醇なブレンド。加えて鎮静作用も高い。

「メインで使っているジャーマンカモミールは栃木の那須高原で完全無農薬、無肥料で自然栽培を行っている農園で作られたもの。畑は意図的に雑草を抜かないスタイルで通しています。雑草と戦いながら生きているハーブは実際に味わいが強く、ハーブの美味しさをダイレクトに感じられる気がしています。ほかには殺菌効果、疲労回復を促すタイム、免疫機能や新陳代謝を高めてくれる浜松の温暖な気候で育ったホーリーバジル、粘膜を優しく守るブルーマロウなども調合しました」

仕事や日常生活で疲れた体を癒してくれるリラックス効果の高い一杯を、日々の“相棒”にしてみると、精神的にも安定できそうだ。


フレッシュハーブをベランダで自家栽培してハーブティーに

村田さんは日々の生活のなかで、ドライのハーブティーのほかに、フレッシュハーブを使用したお茶も嗜んでいるという。

ベランダ,ハーブ,自家栽培
自宅のベランダで、ホーリーバジルやレモンバーベナ、バジルをなど、さまざまな種類のハーブを自家栽培している。


レモンバーベナ,レモン,ハーブティー
ベランダで摘み取ったフレッシュなレモンバーベナとミントを ブレンドしたハーブティー。若草色の透き通った色味も美しい。


ドライだけでなく、フレッシュな葉でお茶を淹れるとその違いが楽しめて、ハーブの奥深い魅力に触れられる面白さがあるそう。

「フレッシュハーブで淹れたお茶はよりハーブ本来の生々しさや薬草感が味わいや香りに感じられて高揚します。レモンバーベナとミントのブレンドは胃健作用があり、お酒を飲む方にもおすすめです。胃粘膜の荒れをハーブティーでケアしてもらえたらな、と思います」

ハーブは体調や気分によっても味や香りの感じ方が変わるもの。そして、「効能」から関心を持った人も習慣的に飲むことによって、その香りや味わいを繊細に感知する能力も次第に身についていき、自分の好きなハーブがだんだん分かるようになってくるように。自身の心と体に耳を澄まし、その時々で必要なハーブを選択する。そんな、ハーブティーブレイクが、健やかで朗らかな時間へ誘ってくれるだろう。

村田美沙
MISA MURATA
(プロフィール)
ハーバルライフスタイリスト。「素直なわたしになる」をコンセプトに植物療法をベースとした衣食住を提案するVerseau (ヴェルソー) を運営。
日本各地のハーブ生産者を自ら巡り、国産ハーブの魅力を伝えるべく、 商品開発やワークショップ、講座を行っている。

『Verseau』

実店舗はなく、webshopで茶葉の購入が可能。イベントの開催情報はInstagramでチェックを。
https://verseau.me/
https://www.instagram.com/verseau_herb/?hl=ja


撮影/上原未嗣 構成・文/矢島聖佳

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