長く好調だった世界景気が2018年度に入って変調をきたし、株式相場にも影響を与えています。多かれ少なかれ金融資産を抱えている方の中には、今後の運用方針に迷われている方も多いでしょう。

12月28日の大納会、日経平均は何とか2万円台をクリアしたものの、年間ではマイナス2,750円(12.1%)とリーマンショック以来の落ち込みを示しました。アベノミクス以降、年間でのマイナスは初めてです。同じくNYダウも振るわず、12月31日終値は23,327ドルと、年初より1,400ドル(5.6%)落ち込みました。

株価がさえない一方で、米長期金利はじわじわと上昇。今回の記事では、米金利動向を見据えつつ、米長期金利上昇とダイレクトに連動する米国債を中心に、いま投資すべき金融商品を紹介します。

米金利上昇時に有利な米国債とは

一般的な指標である米国債10年物利回りは2016年7月を底に若干の上下動を繰り返しつつ、2019年1月時点で2.7%に達しています。同じ10年物でも、日本国債が0.1%を切っていることを考えるとかなり有利な金融商品といえるでしょう。

  • 米国債の魅力は格付けの高さ

公社債への投資で最も気になるのは、デフォルト(債務不履行)です。国家が発行する国債といえどデフォルトとは無縁ではなく、21世紀に入ってからもアルゼンチンがデフォルトを引き起こしています。

債務の返済能力など公社債の信用度を測る目安となるのが、S&Pなどの信用格付け機関が発行する「格付け」で、米国債のS&P格付けはAA+です。AA(安定的)は「返済能力は極めて高く、経済状況悪化の影響も受け辛い」ランクとされています。つまりデフォルトの可能性は極めて小さいのです。

世界中の資金決済や貿易取引において、使われる通貨は「ドル」です。決済手段であるドルは世界各地に流通し、各国通貨の価値を測る目安になっています。米国債の信用格付けは、こうした「ドル」の威信に支えられているのです。

  • 金利上昇による価格下落リスクは低い?

国債は満期まで所有していれば元本が保証されますが、途中で売買すれば元本割れの可能性もあります。実際、一部の地方銀行が米国債投資に失敗、億単位の損失を出しているケースもあるようです。

2016年3月には1.3%だった金利が2018年は一時3%台にまで上昇しました。金利が上昇すると、国債価格は下落します。その結果、地銀の多くが含み損を抱える事態に陥ったのです。

ではこの先、価格下落リスクは高いのでしょうか。FRBのパウエル議長は従来、2019年は2度の利上げを実施すると公言していましたが、1月10日ワシントン市内の講演であっさり撤回を表明しました。この結果、当面利上げの可能性はなくなり、価格下落懸念も払しょくされました。

  • 為替リスクも当面は低い?

もう1つ、気にしなければならないのは為替リスク、円高です。FRBが当面利上げに動かない中で、もし日銀が金融緩和政策を大幅に変更すれば急激な円高に見舞われますが、その懸念はほぼゼロに近い状況です。つまり、円高で損失を被る可能性も今のところ考えなくてもよさそうです。

  • 証券会社によって異なる手数料

あまり少額だと米国債の取引はできません。一般的には10,000ドルが最低取引単位です。手数料は、証券会社によって大きく異なります。極力低コストの証券会社を選びましょう。大手証券の場合は往復で1円(約1%相当)、購入手数料0.5%がかかります。

ネット証券の場合、為替スプレッドが0.005円、購入手数料も0.0046%とディスカウントされています。

手数料の高い投資信託は避ける

米国債を組み込んだ投資信託は、一般的に1万円以上の資金から運用可能です。逆にデメリットは、手数料の高さです。代表的な商品である三菱UFJ米国債券インカムオープンの場合、申し込み手数料は1.08%、その他に信託報酬が年1.134%に達します。金利が年3%足らずなのに、1%以上手数料を引かれては儲けになりません。米国債は、あくまで現物投資をお勧めします。

米国債は比較的安全性の高い商品であり、金利が高止まり状態の今こそ買い時です。この絶好の機会に、現物投資で極力運用コストを抑えながら、高金利メリットを享受しましょう。

文・J PRIME編集部

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