ライトアップされた大丸神戸店

百貨店がサービスを提供する「外商部門」が、今後の富裕層向けの小売りビジネスで重要な役割を担うとして話題になっています。多様化するライフスタイルのなか、自分の満足はもちろん、ビジネスやプライベートにおけるパートナーとの友好な関係を継続させたい富裕層にとって、買い物を中心にさまざまベネフィットを提案する外商顧客向けのサービスが大きな役割を果たすからです。

こうした背景の中で、実際に百貨店は今後の外商ビジネスをどのように展開しようとしているのでしょうか。大丸松坂屋百貨店で、外商顧客向けの各サービスを担当する「お得意様営業部門」にお話を聞きました。

30代40代の富裕層がウェブを通して集まる新世代の外商サービス

大丸松坂屋百貨店が「お得意様営業部門」として外商顧客向けに提供するサービスの中核になるのが、専用ウェブサイト「コネスリーニュ(Connaissligne)」です。「本物を見極める確かな目をお持ちのお客様に、いつもとは違う贅沢で特別なひとときを」をコンセプトに、選りすぐりの商品やサービスの情報を提供するプレミアムサイトとなっています。大丸松坂屋のお得意様ゴールドカード会員のみがアクセス、利用することができます。

コネスリューニュ
大松松坂屋百貨店の新世代外商サービスサイト「コネスリーニュ(Connaissligne)」。限定された会員向けに、商品だけなくメールやチャットでのお買い物のご相談、イベントの招待など、さまざまなサービスを展開している


かつてとは異なり、現在は「外商顧客の担当者が実際にお客様の自宅を訪れるというスタイルは減っている」と、ベテラン担当者は語ります。お得意様にウェブを通じてサービスを提供することが主流になる中で、コネスリーニュの存在感は大きくなっているといいます。

現在、大丸松坂屋の外商顧客であるお得意様のプロフィールを見ると、女性の比率が高まり、特に都心では30代から40代の経営層が増えているといいます。夫婦がそれぞれ経営者という「パワーカップル」が珍しくないなど、平成から令和へと時代が移り変わるとともに、百貨店との付き合いを持つ外商顧客も確実に変化していることがわかります。

コネスリーニュが提供する特別な体験

大丸松坂屋百貨店のお得意様向けウェブサービス「コネスリーニュ」の特徴は、個人ではなかなかできない体験を提供していることです。たとえば、「世界遺産に選ばれた平等院を訪れ、ライトアップした鳳凰堂を楽しめるという企画は、個人ではまず実現できないもの」と担当者は説明します。

このほか、こちらも世界遺産である仁和寺の貸切特別拝観という企画を、2019年9月に実施しています。373年ぶりに修復した観音堂の貸切特別拝観、御殿内特別拝観、その後宸殿(しんでん)で、精進料理と真言声明を体験するイベントです。参加者は6年におよび保存修理が完成し、燦然と輝く本尊が再び安置された観音堂を、仁和寺僧侶による解説とともに鑑賞しました。

山鉾巡行
コネスリーニュでは、世界遺産、仁和寺の貸切特別拝観のイベントも実施された


また、祇園祭を涼しい部屋から楽しみ、動く美術館といわれる「山鉾巡行」を鑑賞したり、重要文化財として指定される長良川の鵜飼を鮎づくし会席とともに鑑賞する催しなど、いずれも個性的で特別な体験を案内しています。

これらの体験提案は、プレミアムな商品とサービスを提供する大丸松坂屋のアイディアと実現力を生かした、お得意様向けならではのサービスとして、大きな人気を博しています。

コンシェルジュサービス「ゴールドカスタマーデスク」がメールやチャットで常時対応

コネスリーニュは、百貨店のサービスだけに、もちろん商品提供においても強みがあります。大丸松坂屋では、お得意様である外商顧客が欲しいと思っている商品、たとえばスイスの機械式時計やドイツの高級腕時計、ブランドのバッグなどの取り寄せについて、個別に相談することができます。

身近なものでは、N.Y.C.SANDのN.Y.抹茶キャラメルサンドなどの期間限定のお菓子や、特別に入手したウイスキーなどの情報も提供しています。

「コネスリーニュにはチャット機能があり、ゴールドカードカスタマーデスク担当者がおひとりおひとりのお問い合わせに対応させていただきます。お問い合わせをいただければ、必ずご回答を差し上げ、対象の商品の在庫がないときは、他の店舗の在庫も確認させていただきます。もちろんメールにもご対応しています」

大丸松坂屋のゴールドカスタマーデスクは、外商顧客であるお得意様専用のコンシェルジュサービスです。複数のメンバーからなるチーム制を敷いており、ひとつひとつの連絡に対して確実に対応できる体制を整えています。商品の探し物については、ロイヤルアテンダントと呼ばれる特別なコンシェルジュと連携し、詳細な問い合わせから買い物を終えるまでを、サポートをします。

これは、従来は電話対応や店頭でのアテンドが中心のサービスでしたが、コネスリーニュならオンラインで利用できるわけです。欲しい商品があるものの、忙しい中でチェックする時間がない、店舗へ行くこともままならない……という顧客にとって、ネットで連絡できる信頼できるサービスは、自分の時間をビジネスに集中させることができる重要なパートナーとなっています。

ビジネスや人間関係を円滑にするコンシェルジュ「ロイヤルアテンダント」の提案力

ここまで、商品購入や特別なイベントなど、顧客自身の豊かな体験をサポートいただけるという点で、外商顧客になることのメリットを挙げてきました。しかし、百貨店の外商顧客になるメリットはこれだけではありません。ビジネスやプライベートにおける人間関係を円滑に進めるための重要な役割を、百貨店のコンシェルジュが強力に担ってくれるのです。

たとえば、大切なビジネスパートナーが「社内で昇進した」や「ついに独立、起業した」など、重要なイベントを迎えたときに、贈り物をすることがあります。世の中を支えるような重要な人々に贈るプレゼントですから、商品の選定にセンスが問われます。

このとき、実際に適切な選定をするのは、その人の趣味や好みといったバックグラウンドを理解する必要もあるため、決して簡単ではありません。そして、こういった場合、あまり時間はかけられない状況であることもよくあります。

このとき、もしあなたが外商顧客であれば、百貨店に相談することができます。大丸松坂屋百貨店の場合では「ロイヤルアテンダント」と呼ばれるコンシェルジュに贈り物の提案を依頼できるのです。

ロイヤルアテンダントは豊富な商品知識を持つだけでなく、顧客の潜在的なニーズまで分析するコンサルティングの訓練を受けている百貨店ならではのスタッフです。彼らの的確な提案により、大切な人にとって価値のある商品を選ぶことができます。

これはビジネスでの関係構築に役立つだけではありません。プライベートでも、七五三や入学、進学など人生の節目を迎えた大切な人に贈り物をすることがあります。こちらもタイミングを逃さず、喜んでもらえるものを贈りたいところです。

円滑な人間関係の継続は重要である一方で、コストはもちろん、手間もかかるものです。「だれに聞いていいのかわからない」という素朴な疑問に、伝統ある百貨店のロイヤルアテンダントというプロのコンシェルジュが答えてくれると考えるだけで、安心感が生まれます。これがコネスリーニュなら、オンラインで利用できるのです。

自宅でゆっくり作品鑑賞「イエナカ アートギャラリー」、そして「おうちde」シリーズを展開

現在、コネスリーニュでは、新型コロナウイルス感染症の影響で、自宅で過ごすことの多い顧客を対象に、富裕層が自宅をギャラリー化することをイメージした「イエナカ アートギャラリー」という企画を展開中です。

岩永てるみ氏や山田勇魚氏、山田雄貴氏、オーガフミヒロ氏などの気鋭の作家による絵画、陶器、ガラスなどの作品がウェブ上で展示されており、購入できるようになっています。家で過ごす時間が長くなるならば、美を採り入れて、よりクリエイティブで快適な空間にしたいと考えたくなるものです。百貨店ならではの選りすぐりの作品を、自宅でゆっくり鑑賞することができます。

絵,森の鉄橋
岩永てるみ「森の鉄橋」。気鋭の作家の作品をコネスリーニュにて鑑賞し、購入することもできる


また、自宅で過ごす時間が長くなることを想定して、商品を紹介する新企画「おうちde」シリーズも開始しています。おうちde シリーズの1回目は、自宅での運動不足を継続的に解消する手段としてのフィットネス機器「BIKE PERSONAL(バイクパーソナル)」です。科学と自然を連動させ、世界的に名高いデザイナー、建築家のアントニオ・チッテリオ氏がコラボレーションしたものです。

このBIKE PERSONALは、税込132万円と富裕層向けの価格を設定。大画面にさまざまなコンテンツや動画によるトレーニング指導を表示され、トレーニングを楽しく進めることができまる先端のフィットネス機器です。外出自粛が続き、体を動かす機会が減っていると悩む顧客に、イタリアに本社を構えるヨーロッパ最大のフィットネスマシンメーカー「テクノジム」のバイクマシンを提案しています。

顧客の環境に対応した、わくわくするような企画や商品を提示していく点は、長い歴史を持ち、顧客を知り尽くす百貨店ならではのコンテンツ力を感じます。

新富裕層が人生を豊かにするためのプラットフォーム「コネスリーニュ」

百貨店の外商ビジネスは、従来のイメージを超えて、大きく進化しているのが実態です。時の流れとともに、規格品ではなく、自分独自のモノやサービスを受けたいと考える顧客の割合が高まっています。そこで百貨店は、歴史的に積み重ねてきた顧客への質の高いサービス提供力に、インターネットなど最新のテクノロジーをかけ合わせようとしています。

特に、今回見てきた大丸松坂屋のコネスリーニュは、住居などの物理的な要因やリーチ可能な情報提供範囲という制約を、テクノロジーの力で解消し、顧客に合わせたきめの細かいサービスを提供できるという点で、ほかの小売サービスでは真似のできない強みを持っているといえるでしょう。

「これからは質の高いコンテンツをライブ配信していくようなサービスを提供したい」

大丸松坂屋のお得意様営業部担当者はこのように話しています。これからの富裕層にとって、百貨店の外商顧客になることは、人生を豊かにするためのプラットフォームを得ることになるでしょう。大丸松坂屋百貨店のコネスリーニュのサービスを参考にしながら、百貨店の外商顧客になるという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

>>大丸・松坂屋の5つの特別サービスとは?



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