薬缶

うつわはおもに料理のためのものですが、作家が作るそれには暮らし方や社会の捉え方まで変えてくれるほどの思想があります。それを知ることはアートに心動かされる感覚ともよく似ていて、かかわることで自分の中の何かが変わるような体験。そんなうつわの「名作」をたどる連載の第5話は、中村友美さんの銅の薬缶(やかん)。

薬缶をテーブルウェアにした金工作家

金工作家の中村友美さんは、金属を金槌で叩きながら成形していく「鍛金(たんきん)」という技法で薬缶を作ります。薬缶というと、日本では、必要な量の水を適切に温める用途に徹した、ずんぐりと丸いフォルムのものをつい思い浮かべますが、中村さんのそれは、はるかにモダン。筒型の胴体に、