百貨店,買い物

日常遣いの洋服や化粧品などの買い物を、百貨店の外商から購入している人は少ないでしょう。しかし、百貨店の外商の仕事は、江戸時代の呉服屋が武家屋敷を「御用聞き」で回っていたことから始まった長い歴史があるといいます。

現代でもこの御用聞きのサービスが、百貨店の外商の基本です。顧客は主に企業の経営者や医師、不動産オーナーなどの富裕層ですが、最近では30代、40代の若手起業家なども含まれるようになってきています。いま新たに広まっている百貨店のサービス“外商”について、その魅力を探ります。

外商を利用するさまざまなメリット

外商の営業担当者は、常日頃から顧客との関係を築いており、顧客が欲しいというものは、たとえ店舗で取り扱っていないもの、たとえば自動車や観劇のチケットなどでも、なんとかして入手し、提供しようとします。

そのほか、外商を利用すると、通常の買い物とは違う、さまざまなメリットがあります。

外商顧客のメリット1:商品を優先して購入できる

店頭に置いていない商品でも、要望に応じて紹介してもらえるので、満足度の高い買い物ができます。

外商顧客のメリット2:優待を受けられる

外商カードをご利用することで各種の優待を受けられます。高額な商品を買うことが多いので、かなりお得になります。

外商顧客のメリット3:お得意様サロンの使用

 百貨店内の外商顧客専用のお得意様サロンといった、専用ルームを使用することができます。ゆったりとしたスペースで休憩ができ、ゆとりのある買い物の時間を楽しむことができます。

外商顧客のメリット4:イベントへの招待

 店舗内やホテルなどで年に数回行われる外商顧客を対象にしたイベントに招待されます。新商品が発表された場合は、いち早く購入できるほか、ライブやトークショーなどを楽しめるなど、イベントにも工夫が凝らされています。

買い物自体がさまざまお得であるだけでなく、買い物を通じて特別な体験のできることが、百貨店の外商を利用する最大の特徴といえるでしょう。

百貨店の外商メンバーになるには?

令和の時代にますます広がる消費の個客化

百貨店という業態は高度成長期に売り上げを伸ばしてきたビジネスモデルであり、令和のいまとなっては「古い」という印象をお持ちの方もいるかもしれません。しかし、実は令和の時代と、とても親和性があるのです。

そこには、同じく高度成長期に業績を伸ばしてきた、地域や世代、性別で同じ好みがあることを想定するマスマーケティングがもはや通用しなくなってしまったことが背景にあります。

現代は、個々のライフスタイルが大きく異なり、従来いわれてきたような地域、世代、性別による属性との相関性がなくなりつつあるのです。そして、1人ひとりの生活スタイルや好みはまったく違うということを肌感覚で理解しているのは、百貨店のような小売事業者です。なかでも、外商はその最たる存在と言えるでしょう。

ただし、この外商にも変化が求められています。

時代の背景の変化とともに外商ビジネスも変化

郊外型ショッピングモールや100円ショップが増える中で、百貨店も苦戦を強いられているのは事実といえるでしょう。ところが、資産運用や高級ブランド品など高額商品の一部には売り上げは落ちていないデータが見られます。

百貨店の外商サービスはもともと富裕層がターゲット。店舗での売り上げが伸び悩む中で、外商への期待度は高まりつつあります。こうした現象は数年前から顕著に出始めたため、各大手百貨店は外商サービスの内容を拡充し始めています。

オンラインを使ったサービスが登場

現代は、外商顧客のライフスタイルが変わってきています。プライベートを重視し、訪問をうけたくないという人も増えてきているため、別の形でのさまざまな顧客アプローチが必要になってきています。

大丸松坂屋百貨店は、富裕層向け自社サイト「Connaissligne(コネスリーニュ)」の顧客接点を生かし、「ゴールドカスタマーデスク」にチャット機能を搭載しました。このコネスリーニュは外商顧客向け、大丸松坂屋お得意様ゴールドカードの会員限定のサービスですが、1人の顧客に1人のスタッフが対応するのではなく、専門チームを編成して対応しています。これにより担当者が不在であっても顧客の要望に応えられるもので、チーム力で対応するというスタイルを目指しています。御用聞きスタイルから、ITを使った顧客との関係づくりが進展しつつあるといえるでしょう。

次世代富裕層にとって欠かせないサービスになる

百貨店で販売している商品を自宅で購入できるという機能にはとどまらなくなった外商のサービス。テクノロジーを交えながら多様化する富裕層の生活に対応することで、その影響力は今後さらに高まると考えられます。

次世代の富裕層にとって、百貨店の外商サービスは欠かせないものになる可能性があります。日本の古い伝統である「呉服屋の御用聞き」の水流はいまも続いており、これからは日本の若い富裕層にとって、生活を支える大切なパートナーとして認識されるかもしれません。

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