リバースモーゲージ,リースバック,メリット
(画像=fizkes/stock.adobe.com)

何らかの理由で自宅を売却したいということがあります。たとえば、変化の激しい世の中では、給料やボーナスの額が、ローンを組んだ当初の想定よりも下がってしまうことも珍しくありません。生活費を減らすにも限界があり、最後の手段として住宅ローンの残った自宅を売却することも検討することがあるでしょう。しかし、自宅を失うのは悲しいものです。単純に考えると、自宅を売れば所有権を失い、もう住めなくなるからです。

しかし最近では、自宅に住み続けながら、実質的な住居費を減らす方法が広がりつつあります。それが「リバースモーゲージ」と「リースバック」という方法です。その特徴とリスクについて、確認しましょう。

リバースモーゲージ、リースバックとは

・リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅を担保に借入を起こす方法です。自宅に住み続けながらも、住宅ローンの元金の返済は完了し、利息だけを払います。

では、返済はどうするのかというと、借主が死亡した時に所有する自宅を売却することによって実施されます。主に、収入が年金だけになり、なおかつ住宅ローンが残っているといった高齢者向けの貸付制度といえるでしょう。利用できる年齢も60歳以上など、年齢制限があります。

リバースとは「逆」という意味で、モーゲージとは「抵当権」という意味です。住宅ローンでは家を購入するときの費用を一括で借り入れて、その後35年などの期間で割った費用と利息を毎月払い続けます。リバースモーゲージは、金融機関から資金を借りる形で毎月受け取り、最後すなわち死亡した際にまとめて返済するため、「逆住宅ローン」と考えるとわかりやすいです。

・リースバック
リースバックは、正式には「sale and leaseback」となり、賃貸借契約付き売却を指します。自宅など所有している不動産を投資家や不動産会社などに売却し、元の所有者はその売却先と賃貸借契約を結び、そのまま住み続けるという仕組みです。

売却することでまとまった現金を一括で受け取れるため、ローンを返済し、残ったお金は各種教育費や医療費・介護などに使えます。売却後も自宅にそのまま住み続けられるのが最大のメリットです。また、リバースモーゲージの場合は、原則として借主が死亡すると売却することになるのに対して、リースバックは相続人などが再び買い戻すことも可能になっている点が相違点です。

売却しながら自宅に住み続けられるメリット

リバースモーゲージとリースバック、どちらも悩みの種だった住宅ローンの残債を支払った上で、一定のお金を手にすることができ、しかも自宅に住み続けられる方法です。これらの方法は、次のような人にとってメリットがあります。

・老後の資金への不安を解消したい
最もメリットを得られるのは「自分の住んでいる家は結構な資産価値があるようだ。でもいまは収入も蓄えも少なく、老後の生活イメージが描けない」といった人です。年金も少なく、働くこともできず、貯金もないという状況で、市町村民税の非課税世帯であれば、国の組織である社会福祉協議会で取り扱うリバースモーゲージが使えます。

一方、世帯のだれかに収入があり、非課税ではない場合、民間である金融機関のリバースモーゲージ型住宅ローンやリースバックを利用します。いずれも自宅に住み続けながら負担を減らせるもので、生活不安が解消される心理的なメリットは相当大きいと言えるでしょう。

・老後の生活に余裕がほしい
老後のためにある程度の蓄えがある人でも、不測の事態に備えてとっておきたいという人もいます。旅行がしたい、医療や介護に資金が必要になることに備えておきたいなど、理由はいろいろあるでしょう。リバースモーゲージやリースバックを活用することで、老後資金の減少を抑えられます。

・相続人がいない
子どもなど相続すべき人に自宅を残さなくともいいのであれば、自分が死亡したら売却するという前提でリバースモーゲージ型の住宅ローンを利用し、老後のセカンドライフを思いっきりエンジョイするという方法もあります。

ただし、1人でも相続人がいる場合は必ず相談する必要があります。なお、リバースモーゲージでは、自分の死亡時に配偶者に契約を引き継ぐなど自宅を売却しなくても済む方法を提示する事業者も多くあります。確認しておきたいところです。

・最終的には介護施設で生活することになりそう
自宅を売却して有料老人ホームに入居する人も多いです。その際、住む人がいなくても、子どもがお盆や正月に帰省してくるというのなら、親戚が集まる場所として残しておきたいという思いもあるでしょう。こういう場合にも、リバースモーゲージ型住宅ローンが有効です。手にした資金を介護施設の入居費用に充て、自宅はそのままにしておくという方法が採れます。

リバースモーゲージとリースバック、それぞれのリスクも確認

目の上のたんこぶのような存在である住宅ローンから解放されたいというのは、だれしも思うところです。リバースモーゲージやリースバックを活用して現金を手にし、住居費の悩みも小さくなるのだとすれば、魅力的な話に聞こえます。しかし、そこにはリスクもあります。以下、リバースモーゲージとリースバックが持つリスクをまとめておきましょう。

・リバースモーゲージのリスク
リバースモーゲージでは、死ぬまで所有権は自分にあります。したがって、固定資産税を支払い続けなくてはなりません。また、手にした資金の用途は生活費や医療・介護などに限定されており、投資信託の購入や事業資金に充てることはできません。

とても心配なのは、土地や建物の価値が下落することです。リバースモーゲージを使って資金を借りた時点では自宅の評価額が高くても、月日が経つにつれて価値が下がり、当初の評価額より低くなった場合、売り主の死後、自宅を売却しても返済しきれないというリスクがあります。その場合の負債は相続人が引き継ぐことになるのです。

・リースバックのリスク
リースバックでは、不動産業者に自宅を売ってしまうので、所有権は不動産業者に移ります。リース料を支払いながら賃貸住宅として自宅に住む一方で、固定資産税を支払う必要はなく、また買い戻すことも可能です。

しかし、リースバックにおける売却額は、周辺の相場よりも低くなる傾向があります。また、リース料として毎月家賃を支払うことになりますが、そのリース料は売却価格の8%~10%が相場と言われており、周囲の相場より高めになるといわれています。さらに、買い戻すときも、売却した時よりも高くなるのが通常です。このあたりもよく考えたほうがいいところです。

不動産売却の選択肢の1つとして頭に入れておきたい

老後資金が十分にあると自信を持って言えればいいですが、人口が減少し、社会保障費の財源が細っていく今後の日本では、残念ながらすべての人に豊かな老後が保証されているわけではありません。将来を見据えた節約と貯蓄、資産運用も視野に入れた資金計画を立てる必要があります。

しかし、長い人生の中で、想定外のことも起こるでしょう。計画的に進んでいた人生設計が狂い、いよいよ働けなくなった時、手元に何もなく自宅だけになってしまう人も出てきます。資産の生かし方について、知識を持っておくに越したことはありません。

自宅を売っても住み続けることができるという最大のメリットを生かし、豊かな老後を過ごすための手段として、このような方法を選択肢の1つとして認識しておくといいでしょう。

文・J PRIME編集部

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