ブルーインパルス,東京上空
(画像=dreamnikon/stock.adobe.com)

航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が5月29日に東京の都心上空を飛行し、話題になりました。目的は、新型コロナウイルス感染症の対応に日々苦労している医療従事者の方々に、敬意と感謝の気持ちを示すためとされています。

ブルーインパルスは、前日の28日にホームベースとしている宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地から、埼玉県狭山市の入間基地に入り、29日の正午過ぎ、東京・世田谷区の自衛隊中央病院などの上空を通るコースで飛行、紺碧の空に白いスモークのラインが描かれました。

航空自衛隊「ブルーインパルス」とは

ブルーインパルスは、航空自衛隊に対する国民の理解を得るために、自衛隊の各航空基地で毎年開催される航空祭や国民的行事などの際に、展示飛行を披露する専門の飛行隊です。宮城県松島基地を本拠地としており、正式には、航空自衛隊第4航空団第11飛行隊といいます。

ブルーインパルスの歴史は60年にも及びます。1960年静岡県浜松基地第1航空団第2飛行隊内に「空中機動研究班」として誕生したのがその始まりです。機体はアメリカから供与されたF-86Fを使用し、東京五輪、大阪万博開会式で活躍し、一気に有名になりました。

1982年にはT-2に、1996年にT-4に機種転換して現在に至っています。今回飛行した国産練習機T-4は2016年で20周年を迎え、歴代ブルーインパルスの機体の中では最も長く活躍しています。

展示飛行の意図はどのように伝わったか

さて、今回の展示飛行について報じるメディア各社の反応やSNSでの反応は、おおむね感動を呼んだようで、好意的なものが多かったように思います。

折しも5月3日にはアメリカ海軍のアクロバットチーム「ブルーエンジェルス」と空軍の「サンダーバーズ」がメリーランド州のボルティモアなどの上空で医療従事者に感謝するための展示飛行を行っており、大きな反響があったことがニュースになったばかりでした。

こうしたアメリカと同様の展示飛行が、あまり間を置かずに即座に東京で行われたことのインパクトは大きかったようです。

今回の展示飛行を決めた河野防衛大臣の決断は、コロナ対策に疲弊しがちな医療従事者らの士気を上げたばかりではなく、防衛庁や自衛隊の評判も上げたようで、ひとまず成功だったと言えるでしょう。

コロナとの戦いと、東京の平和

ただ、自衛隊機をこのような目的で飛行させることに多額の費用が掛かることや、「誰がこの飛行を指示したのか」というプロセスが明確になっていないことに対する批判など、少なからぬ否定的な意見もありました。

その中でも沖縄タイムズの論評はひときわ違っていました。書き出しから、「日常的に軍用機が飛び交う沖縄に住んでいるからだろうか。第一印象は“なぜこれが感謝?”という疑問だった」と述べています。

また、イランの人が語ったというあるツイートもネットニュースで話題になりました。

「戦闘機が上空を通るとき、その国がどんな国かわかる。人々が物陰に隠れることなく楽しそうに見上げたりカメラを向けるのがいい国だよ。だから平和な国はバンバン戦闘機を飛ばすべきなんだ」

やはり、ブルーインパルスは自衛隊の航空機であり、上空を飛ぶということに対して特殊な感情を抱く人たちがいることも忘れてはいけないといえます。コロナとの戦いの中、東京にある平和をあらためて考えさせてくれる声ともなっています。

感動を呼ぶ一筋の光

全国各地の航空自衛隊の基地で年に一回行われる航空祭では、ブルーインパルスの展示飛行を見ることができます。どこも十万人を超える規模の人出があり、首都圏に最も近い入間基地などは20万人にも及ぶといいます。

これほどの人気の秘密については、力強く飛ぶ飛行機が、自分にはできないことを成し遂げるスポーツ選手への感動、あこがれに似ていると指摘する人もいます。あこがれは、希望という未来への生きる力につながるのです。

コロナ禍で疲弊した人々に力を与えたブルーインパルスの演舞飛行。さまざまな意見もありますが、これからも人に希望を与え続けてほしいものです。

文・J PRIME編集部

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