クリストフ・フェンウィック,ドライビンググローブ
©︎LAURENT NIVALLE


日本は世界でも有数のモータースポーツ大国だ。理想のオートモービルを追い求め、クルマやバイクの性能やパーツのディテールにまでこだわり、その価値を見極める審美眼を持つ大人も多い。しかし、その最愛のマシーンに乗り込む時のファッションはどうだろう? 選び抜いたハンドルを握る手を彩るグローブ、アクセルペダルを踏み込むためのシューズにまでこだわる人は、どれほどいるだろうか。今回は、そんなドライビングアクセサリーのエレガンスをとことん追求した、一人のパリジャンによるブランド〈クリストフ・フェンウィック〉の魅力に迫る。

愛車とともに過ごす時間をエレガントに彩る極上のアクセサリー

クラシックカーには、現代の車にはない独特の優雅さがある。そんな往年の名車のように時代を超越したエレガンスを感じさせるドライビングアクセサリーが、今、世界のセレブリティたちをはじめ、一流を知る人々の間で熱い視線を注がれている。

ドライビンググローブ&シューズを専門とするラグジュアリーブランド〈クリストフ・フェンウィック〉は、モータースポーツを愛する一人のパリジャンによって創設された。ブランドにもその名を冠したクリストフ・フェンウィック氏がその人だ。

クリストフ・フェンウィック
デザイナーで創業者のクリストフ・フェンウィック氏。メゾン創業以前は、〈ラルフ・ローレン〉やテキスタイルブランドなど、ファッション業界を渡り歩いてきた経歴を持つ。


写真
曽祖父は、歴史に名を残すパイロット・航空技術士であり、のちにエールフランスの母体の一つとなった航空会社を創業したルイ・シャルル・ブレゲ。さらに遡ればその系譜には、かの最高級時計ブランド〈ブレゲ〉の創業者アブラアム=ルイ・ブレゲもいるという。


クラシックカーやヴィンテージバイクをこよなく愛するクリストフ氏。自身が身につけたいと思えるドライビングアクセサリーを長年探し求めたものの、納得のいくものに出合えなかったことが、彼をブランド創設へと駆り立てた。5年前イタリアのメンズ向けプレタポルテ見本市〈ピッティ ウォモ〉にて腕のいいレザー職人に出会ったことを契機に、それまでファッション業界で培った知識と経験、人脈を生かし、自らが思い描く理想のドライビンググローブとシューズの製作へと邁進したという。  

グローブ,ガラスケース
ショールーム兼ブティックには、彼の先祖でもあるアブラアム=ルイ・ブレゲにゆかりのある時計ブランド〈ブレゲ〉のために作成したグローブも。


完全予約制のサロンで、自分にぴったりの一品を選ぶ喜び

クリストフ・フェンウィック,ショールーム
コレクションが一堂に揃うショールーム兼サロン。


〈クリストフ・フェンウィック〉のショールーム兼オフィスは、パリ1区の小さなヴィラージュ(ギャラリーやブティックが集まるパッサージュのような空間)の一角にある。パリのど真ん中の一等地に、こんなに静かな場所があったのかと驚くほど、穏やかな空気が流れている。

クリストフ・フェンウィック,パリの街並み
サン=トノレ通り沿いにあるヴィラージュの一角にショールーム兼ブティックはある。


ショールームでのショッピングは完全予約制で、顧客一組に対し、クリストフ氏が自ら接客してくれるという贅沢さ。
「デザインから、素材選び、職人との交渉、プロモーション、ウェブサイトのための商品撮影、そしてクライアントの接客まで、全て自分で行います。私はとにかく昔気質な人間で、アナログでクラシカルなスタイルが好き。一瞬で忘れ去られてしまうような一過性のトレンドには興味がないのです。それは、私のコレクションからも感じ取っていただけるでしょう」。
そう語る彼の作品には、往年の映画の中で紳士淑女が身に付けているアイテムのような、クラシカルな気品が漂う。

グローブ,シューズ
60年代のモーターシーンにインスパイアされたというグローブ&シューズ。ミラノの職人により1点ずつハンドメイドで製作される。


f1レーサー,肖像画
レザーサンプルの後ろには、生前、クリストフ氏の友人であったという伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナの肖像画が。


作品への妥協なきこだわりが、多くのセレブリティを魅了する理由

ブランドのシグネチャーともいえるのが、レザー部分にパンチングのラインが施された「ル・マン」コレクション。革は驚くほどスムースな極上のラムレザーを、そしてインナーにはとろけるような肌触りのカシミヤを使用している。このグローブの真の魅力は、身に付けてこそ分かる。上質素材がもたらす肌触りの良さはもちろんのこと、ハンドルを握ることを第一に考えた、手の動きにしなやかにフィットする可動性の良さも特筆もので、セレブリティのなかでもバイク愛好者として知られるブラット・ピットや、フランスの国民的女優であり歌手のヴァネッサ・パラディも顧客として名を連ねる。

Type LM 72-W
「ル・マン」コレクションの「Type LM 72-W」(写真はメンズ)€330。ヴァネッサ・パラディが自身と夫のサミュエル・ベンシェトリのためにペアで購入したのも、このモデル。ヴィンテージレ加工による使い込んだような革の風合いも魅力。


TYPE MM 25
バイカーとして知られるブラッド・ピットも顧客の一人。写真のクロシェニットを手の甲に配した夏用グローブ「TYPE MM 25」€310を愛用。掌側はヴィンテージ加工が施された柔らかなラムスキンを使用。


目に見えないディテールにこそ、エレガンスは宿るという信念

数々の有名ファッションブランドを渡り歩き、真のラグジュアリーとは何かを知る彼にとって、自らの名を冠するブランドのアイテムの開発に一切の妥協はない。その流儀が、ドライビングシューズのソールにも秘められている。インソール(中敷)が重ねられ見えることのないミッドソールには、本来紙が使われることが多いそうだが、〈クリストフ・フェンウィック〉では、ペダルを踏む際のフレキシビリティや歩くときの心地よさを追求するためにレザーを使用。もちろん紙に比べるとコストは何十倍にも跳ね上がる。さらにそのミッドソールの踵部分には、ブランドロゴが刻印された真紅のレザーが使用されているなど、「見えないところにも妥協は許さない」というクリストフ氏の強い思いが感じられる。

ミッドソール
見えることのないミッドソールにもレザーが使用され、ロゴが刻印されている。隠れたこだわりを知るほどに、「クリストフ・フェンウィック」の魅力を実感できる。


シューズ
研究を重ねたラバーソールでカバーされた踵のデザインは、足の滑りを防ぎ、アクセルペダルやクラッチを踏む動きをアシスト。シューズ「Racing C Low」€395


ファッションとオートモービルを愛する人間だからこそ突き詰められる情熱

〈クリストフ・フェンウィック〉のグローブ&シューズは、クルマやバイクに強い思い入れのない人から見ても、ファッションアイテムとしてただただ美しい。それは長きに渡りモードの世界に身を置いてきた彼だからこその、美意識が随所に息づいているからだ。故に、ハンドルを握る時だけでなく、タウンスタイルにも美しくフィットする。

クリストフ・フェンウィック,グローブ
イエローゴールドのハトメやファスナーのディテール、短めの袖のアウターでも手首をカバーする長めのデザインなど、よりファッション性の高いレディスモデル。€295〜


パイソンレザー,グローブ
エキゾチックレザーを使用したものや、好きな色の組み合わせ、刻印サービス、好みのボタンに付け替えるなど、カスタムオーダーも可能。写真はパイソンレザーを使用した贅沢なもの。(価格は要お問い合わせ)


全世界どこへでも届けてくれるデリバリーサービス

「これまでほとんどプロモーションはしてこなかったのですが、私の世界観に共感する人たちが常に現れ、このブランドを“発見”してくれるのです。同じ価値観を共有できる人が世界中にいることは、とても嬉しいことですね」。 クリストフ氏の生み出すグローブ&シューズのファンは、ヨーロッパのみならず、アメリカやアジアなど世界各地に多数いる。日本でも一部セレクトショップでの取り扱いがあるが、ブランドのイメージを反映したウェブサイトから直接オーダーでき、全世界への発送が可能だ。

愛車との時間をもっと豊かなものに──。他とは一線を画するクラス感のあるドライビングアクセサリーを手に入れたい人にぜひおすすめしたい、とっておきの逸品だ。

ギフト,グローブ
ボックスも美しく、大切な人へのギフトにも特別感を演出。



CHRISTOPHE FENWICK
〈クリストフ・フェンウィック〉ショールーム

91 rue Saint Honoré 75001 Paris
☏ +33 (0)1 40 13 06 76
contact@christophefenwick.com
(完全予約制のため、来店希望者は電話、もしくはメールで連絡を)
https://www.christophefenwick.com
不定休


撮影/Olivier Leroy 構成・文/ルロワ河島裕子

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