富裕層,税制改正点
(画像=Jes2u.photo/Shutterstock.com)

2019年10月に、消費税率が8%から10%に引き上げられる予定となっており、税制に対し、世間が敏感になっています。大きな注目を集める消費増税以外にも、様々な税制改正が控えており、富裕層は特に注意が必要です。

円滑な中小企業の事業承継促進に向けた税改正

2019年度税制改正大綱において、資産課税のうち注目を集めたのが、新たな個人事業者の事業承継税制を10年間の時限措置として創設したことです。その背景には個人事業者の事業継承を促進する狙いがあり、事業承継に課される贈与税・相続税の負担軽減が図られています。

具体的には土地(400平方メートルまで)・建物(800平方メートルまで)、パワーショベルなどの機械・器具備品、車両・運搬具、果樹・乳牛など生物、特許をはじめとする無形償却資産など、事業を実施するのに必要な事業用資産を対象として、先代から承継した際の贈与税・相続税が全額猶予されます。つまり、後継者は納税の現金負担なく事業承継が進められます。この措置は10年間の時限措置です。

次に、節税対策として相続直前に事業用資産として小規模宅地等を購入するのを防ぐため、特定事業用宅地等の対象から、相続が開始される3年以内に事業用に供された宅地等が除外されることになります。これにより事業継承直前に節税のために事業用資産を駆け込みで購入することはできなくなるため、注意が必要です。

中小企業の経営者が高齢化するなか、円滑な世代交代を促すため2018年度の税制改正で10年間の特例措置として非上場株式等の相続税と贈与税の納税猶予、免除制度が設けられました。2019年度の税制改正では、さらにその要件が緩和されました。

具体的には、これまでは納税猶予適用が開始された後、資産保有型会社等に該当した場合、納税猶予が取り消され、猶予税額と利子を納付しなければなりませんでした。しかし、19年度の改正では、一定のやむをえない事業により資産保有会社等に該当した場合でも、該当した日から6カ月以内に資産保有型会社に該当しなくなれば、納税猶予の取り消しの対象ではなくなります。

親族間での資金譲渡にも注意が必要

これまでは事業を展開する富裕層にとって注意が必要となる税改正を取り上げましたが、事業以外でも富裕層にとって影響がありそうなポイントが2019年度の税制改正大綱には盛り込まれています。

まず、祖父母や両親など直系尊属から教育や結婚・子育てに充てるための資金を一括して贈与された際の非課税措置の見直しです。この措置は、2019年3月31日までとされていましたが、その期限が2年間延長され、2021年3月末までとなります。さらに、注意が必要となるのが受贈者に1,000万円の所得制限が設定されました。これにより、資金を信託される年の前年の受贈者の収入が1,000万円を超える場合は、非課税措置の対象外となるため注意が必要です。

また、民放の改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることに伴い、例えばこれまで贈与税の納税猶予の受贈者の年齢要件も現行の20歳以上から18歳以上に改正されます。さらに、民法で配偶者居住権が新たに創設されるのに伴い、税務上の取り扱いも注意が必要です。相続が発生した際、遺産分割によって配偶者が所有権を得なくても同じ建物に居住できる権利が認められ、配偶者居住権という負担が付いた財産として、通常の評価額から配偶者居住権等の相当額を控除して評価し、相続税の課税対象とします。

2019年度の税制改正では、事業及び、親族間の相続などで大きな変更がもたらされ、富裕層にとっては、制度に沿って適宜、資産の管理が求められることになりそうです。

文・J PRIME編集部

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