木造建築,新法,制定
(画像=norinori303/stock.adobe.com)

近年の技術革新によって、中大規模の木造建築の設計が可能となってきています。従来木造では建てることができないとされてきた建造物の建築を認める動きが出てきているのです。将来的な巨大な新規成長市場として、実は、いま木造建築が注目されています。

実は環境に優しい木造建築

木造建築に世界的な注目が集まる背景には、近年の環境破壊の要因とされている地球温暖化を緩和する解決策の1つとして期待されている点があります。

樹木は光合成を行い、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出してくれますが、この活動は樹木が老齢になるにつれ衰えていきます。そこで伐採し、建築資材として使うことで、新たな若木を育てる余地をつくるわけです。また、木材は解体した建築物から再利用も比較的容易で、最終的にはチップにしてバイオマスエネルギーとして利用もできます。資材としての利用年数が非常に長いという特徴をもつのです。

このため建築資材への木材の利用は、近年のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みとしても意識が高まっています。さらにESG(環境、社会、ガバナンス)をテーマにしたビジネスとしての投融資先としても考えられているのです。

世界的な技術革新で木造の中大規模建築物が増加

従来、中大規模建築の素材としては、鉄筋コンクリートや鉄骨を使うことが大前提でした。木造は小規模の住宅などでは設計可能ですが、中大規模建築での設計は困難とされていたのです。中大規模建築に木造が可能となってきた要因には、世界的な技術革新があります。

たとえば、CLTという新しい木質構造材料は、板の繊維の方向を直角に交わるように張り合わせることで、強度を強めた材料で、中大規模の木造建築を建築する際の素材としてすでに普及しています。海外においては、新素材を活用した、高層の中大規模の木造建築が建築されています。

中大規模の木造建築は、SDGs、ESGなどサステナビリティなどをテーマにしたエコロジーに貢献できるという点だけではなく、実際の住人や利用者に、ナチュラルで心地良い空間を提供できることも大きな利点です。ユーザーの満足度が大切なのは言うまでもありません。

政府は法整備・改正により、木造建築の普及・促進を後押し

木造建築のさらなる普及は、日本の国産資源である木材の有効な活用を推進します。国産の木材の需要を高めることで、日本の林業を成長産業へと育成できます。政府は木造建築の普及の後押しとして、2019年森林経営管理法、森林環境税を創設しました。

森林環境税は、2014年度から個人住民税に上乗せして1人当たり1,000円を徴収し、森林環境譲与税として、私有林人工林面積、林業就業者数、人口数の比率に応じて、各自治体に配分されています。

さらに政府は建築基準法改正により、これまで鉄筋コンクリートなどによる耐火建築物としてしか設計できなかった中大規模建築物が木材でも設計可能としました。また、公共建築物等木材利用促進法も整備され、これまで以上に木造建築を採用される環境が整えられてきています。

これらの施策は、建築資材としての木材の需要を促します。都市部ですでに鉄筋コンクリートや鉄骨でつくられた建造物の建て替えや、新規建造物の建築に木造建築を採用することで、木材の需要が高まり、日本の林業の市場を拡大し、林業を活性化することができるのです。

市場規模は2兆円とも言われている

中大規模の木造建築は、新たなビジネス市場になりつつあり、2030年の市場規模は2兆円に上るとの試算があります。しかし、中大規模の木造建築には、最新の技術革新による新素材の活用など、技術が必要です。

この流れに乗るために、建築会社や設計事務所は鉄筋コンクリートや鉄骨を素材とした従来の常識にとらわれず、木造建築に関する最新の技術とスキルを、スピード感を重視して習得する必要がありそうです。業界や各プレーヤーの今後の動きに注目していきましょう。

文・J PRIME編集部

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