毎月1本、季節の旬の食材によく合う日本ワインをご紹介。セレクトするのは、日本ワインに特化した定期イベント「LIFE with WINE」を主宰する栁 佐織さん。 「今月は、梅雨のジメジメを吹き飛ばすような一本を。スパイシーなエスニック料理に最高な、アルバリーニョというブドウ品種の新潟の白ワインです」

香水のようなエレガンスとスパイスにも負けないパワフルさを持ち併せたワイン
新潟市の西海岸エリアにある角田浜は、今や「新潟ワインコースト」と呼ばれるワインの銘醸地。そこでいち早くワイン醸造を始めたのが「カーブドッチ ワイナリー」です。なかでも話題を呼んでいるのが、ここで醸造を手がける掛川史人さんが12年かけて育てあげたアルバリーニョというブドウ品種です。
アルバリーニョはスペインが原産と言われ、主にスペイン、ポルトガル、オーストラリアと、産地がかなり限定されている品種です。いずれも海の近くで湿度は高く、水はけのよい砂地という特殊な土地。スペインのなかでも北西部の大西洋に面したワイン産地、リアスバイシャスが有名な産地です。そして掛川さんの研究により、角田浜がピンポイントでリアスバイシャスの土壌と気候にマッチすることが判明。掛川さんはそれまで栽培していたメジャーな白ブドウ品種・シャルドネ畑を、大胆にもアルバリーニョ畑に変えてしまったのです。
角田浜で育ったアルバリーニョのワインは、もはやスペイン産とそん色ない香りと味わいで評価されています。ライチを思わせるエキゾチックな香りと、はちみつのような甘い香り。一方味わいは爽やかで、穏やかな酸味と、潮風が運んできたようなほのか塩味を感じます。それらが合わさり、強い個性をもちながら、気品すら感じさせるエレガントなバランスに仕上がっているのが、「カーブドッチ」のアルバリーニョです。
少しクセのある香りの食材とも相性が良いこのワイン。食欲不振や体調不良を起こしやすい梅雨の時季に、食欲をそそるスパイシーでパクチーたっぷりのエスニック料理にぴったりです。そして海沿いでつくられたワインだけに、シーフードとの相性も抜群。個性的でありながら飲み心地が良いので、あっという間に一本空けてしまいます。
Wine of the month

The perfect glass for this wine

https://shop.riedel.co.jp/products/detail.php?product_id=613
SELECTOR
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WINE MAKER

カーブドッチ ワイナリー/掛川史人さん
カーブドッチ ワイナリー
新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
☏0256-77-2288
http://www.docci.com/
ワイナリーには、カーブドッチのワインと料理を堪能できるオーベルジュ「トラヴィーニュ」も併設。
https://travigne.jp/
撮影/相沢千冬 構成/横山直美(cat)