インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
ワイン好きでもあるインテリアスタイリストの長山さん。愛用のグラスは〈バカラ〉の《ヴァンス》。


家で食事をする機会が多くなると、そのしつらえも気になってくる。どんな器に盛って、どんなカトラリーで食べるのかで気持ちがまったく変わってくる。きちんと好きなもので食卓を整えることは、生活の基盤を作ることでもある。ものを知り尽くしたインテリアスタイリスト長山智美さんの、ふだん使いしている食器とカトラリーを見せてもらった。

カレーも<クリストフル>のシルバーカトラリーで。

インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
少しずつ集めた、フランスのシルバーウェアブランド<クリストフル>のカトラリー《スパトゥール》。


「これしか持っていないので、パスタもカレーも、納豆もすべてこれで食べています」 と言うのは、インテリアスタイリストとして雑誌や広告で活躍する長山智美さん。自宅で食事をするときに使うカトラリーは、フランスの名門シルバーウェアブランド<クリストフル>の《スパトゥール》シリーズだ。シルバーを日常使いするとはなかなか贅沢に思えるが、実は高校生の頃から銀製カトラリーを愛用していたという。
「学校のお弁当用にシルバーフォークを持っていっていました。フランス雑貨を扱っていた頃のアフタヌーンティー」のショップで見つけて、子ども心になんて素敵なのかと思って。高かったけれどお小遣いで買ったのを覚えています」

それから数年経ち、インテリアスタイリストのアシスタントをしていた20代。ある料理家の家で撮影していた際、<クリストフル>がふだんに使われていたことが、とても印象に残ったという。
「もちろんブランドは知っていましたが、日常に使う感覚はなくて、しかるべき人が使うというか、きちんとテーブルセッティングして、フルコースを食べるときに使うものだと思っていたんです。編集の方が料理家の先生に『磨くのが大変でしょう?』と聞いたのですが、『いつも使っていたら大丈夫よ』とおっしゃっていて、なるほど、と思いました。確かに毎日のように使っていればあまり黒くなることはないですね」

インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
《スパトゥール》は1862年の初版カタログにも掲載されている古いデザイン。


料理家が使っていたのは別のデザインだったが、長山さんが選んだのは《スパトゥール》と呼ばれるシリーズ。
「《スパトゥール》の中世っぽい柄先が山のようになっているデザインが好きなんです。ゴージャスなセッティングにもできるし、素朴なカントリーにも合わせられます。最初に買ったのはランチョンフォークとスプーンで12年くらい前。それからパリに行くたびに少しずつ集めて、今はほぼフルで2セットずつ持っています」
そして、食事をする際の皿やグラスもこのカトラリーに合うもので揃えている。

<ウェッジウッド>の皿と<バカラ>のグラスも食卓の定番。

インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
皿はイギリスの陶磁器ブランド<ウェッジウッド>の《コロンビア・プラチナ》、ワイングラスはフランスのクリスタルブランド<バカラ>の《ヴァンス》を愛用。


「食器は<ウェッジウッド>が好き。エレガントですが、色や質感が柔らかくて料理にマッチします。買ってきたお惣菜をのせてもきれいに見えます。このお皿は《コロンビア》というシリーズなのですが、リムにプラチナで文様が描かれていて、限定で発売されたものだったと思います。アンダープレートも同シリーズのもの。アンダープレートは通常、食べるときは外すものだけど、これに料理を盛るときもあります」
こちらもやはり12年くらい前に購入。洋食だけでなく、お正月のお節といった和食や、真っ黒な漆盆や漆器に合わせてもきれいだという。

このほかにフランスの陶器ブランド〈ジアン〉の、極楽鳥が描かれた《オワゾパラディ》も持っていて、カントリー調にしつらえたい時はそちらの皿が登場。
「そして、《スパトゥール》は、そのどちらにも合います」

インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
リムにプラチナでギリシア神話に登場するグリフィンが描かれた《コロンビア・プラチナ》。《コロンビア》にはグリフィンの間にバラ模様がプリントされたバージョンもある。


インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
たくさん盛りたいときはアンダープレートを使うことも。


もうひとつ、長山さんの定番が<バカラ>のワイングラス《ヴァンス》。1960年代以降の比較的新しいモデルだが、ボヘミアン風のステムが、クラシックな雰囲気を醸している。
「生活まわりのものは、割とどれもクラシックでエレガントなデザインです。モダンデザイン系も一時、使っていたのですが、どうしても無機質な感じがしてしまう。“食べる”といった根源的な行為には、クラシックなもののほうがしっくりくる気がします。カトラリーでもシルバーとステンレスでは持ったときの感じや、口当たりがまったく異なります。シルバーには柔らかさがある。そういう温かみみたいなものが、使いたくなる理由の一つだと思います」

買ってきたお惣菜をパックのまま、あるいは適当な食器で食べるのは味気ない。気に入った器に盛りつけるだけで料理がよりおいしく感じられ、心が満たされていく。
「食器に限らず、女性が素敵に生きていくためには、上質なシルクの下着やリネン、美しいスイーツや花といったちょっとした贅沢というか、きれいなものが絶対に必要だと思うんです。私も毎日料理を作って花を飾って、なんてことはしていませんが、おいしいパンとチーズ、好みのワインを買ってきて、こういう食器で食べると気分があがります。フランス映画『クロワッサンで朝食を』でジャンヌ・モロー演じるおばあさんが、近くのカフェに行くときでもちゃんとおめかしして出かけるんです。そういう心意気ってとても大事だと思います。それがフランスで言うところの“エスプリ”なのかもしませんね」

インテリアスタイリスト 長山智美さんが日常使いする、 クリストフル、ウェッジウッド、バカラ。
<バカラ>のワイングラス《ヴァンス》。ヴァンスとは、南仏にある街の名前。


長山智美
Tomomi Nagayama
(プロフィール)
『Casa BRUTUS』、『& Premium』など、雑誌のスタイリングページのほか、企業カタログやショールームのコーディネート、ショップのMDなども手掛ける。自分の持ち物はあれこれいろいろなものを揃えるではなく、統一された美しいものだけに厳選。
https://www.tomominagayama.com/

撮影/兼下昌典 構成・文/三宅和歌子

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