テックアート,世界観
(画像=kento-kubo/stock.adobe.com)

アートへのニーズは世界中にありますが、近年日本のアートに注目が集まっています。特にテクノロジーを駆使した日本のアーティストによる「テックアート」は高い評価を受けています。海外において日本のアーティストの名前が広く知られるようになったこの時代に、その背景を探ってみましょう。

日本のクリエーターの作品へのニーズは急増

世界市場で、日本のクリエーターが創造するアートが急速に求められるようになっています。インターネットやSNSの普及により、世界中の人々が瞬時にアート作品を楽しめるようになったことで、日本のさまざまな分野で活躍するアーティストの名前がグローバルに拡散するようになってきました。

世界では、デザインとアートが垣根を越えて融合する企画やイベントが多く開催されています。たとえば、イタリアのミラノでは毎年4月に「ミラノサローネ」というデザインの祭典を開催され、アメリカのフロリダ州では「デザインマイアミ」というデザインとアートのイベントが開催されています。

これまでも日本のクリエーターや企業は、世界市場を見据えて継続的にイベントに参加し、日本独自の感性を発信し続けていました。その取り組みも世界が日本に注目する要因になったと考えられます。

日本の世界観が受容されている

独自性の強い日本の文化は、世界の人々を魅了します。たとえば「禅」のイメージは外国人の目には未知の魅力に映ります。一方で、アニメなどの現代のサブカルチャーも世界に広く浸透しており、日本文化の多様性を示しています。

テクノロジーの進化は、こうした日本独自のイメージを、デザインやアートへと精巧に吹き込むことを可能にしました。日本独自のイメージは、アート作品はもとより、アートを実現するテクノロジーのスキルや技術としても、海外市場に輸出できるようになったのです。禅、武士道など歴史的な背景を持つものから、アニメなど豊富なサブカルチャーの存在、オタク族の登場といった重層なコンテンツの蓄積と最新テクノロジーが組み合わさることで、新たな魅力が生まれ、真似のできないアートへと行き着くようになったと言えるでしょう。

世界で注目される日本人のテックアート・アーティストたち

では、具体的にはどんなアーティストが人気を博しているのでしょうか。世界で活躍するテックアート・アーティストを紹介しましょう。

テクノロジーのスペシャリストが結集する「チームラボ」

チームラボは、お台場のミュージアム「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」を企画運営していることで、日本でも一躍有名になったテックアート集団です。グローバルな活動を展開したのは2001年からで、名前にあるようにアーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、ジャンルにこだわらないスペシャリストがチームでテックアートを創り上げています。

チームラボは自社についてホームページ上で発信しています。その内容はチームラボを的確に表していますので引用してみます。

・TECHNOLOGY×CREATIVE

テクノロジーとクリエイティブの境界はすでに曖昧になりつつあり、今後のこの傾向はさらに加速していくでしょう。そんな情報社会において、サイエンス・テクノロジー・デザイン・アートなどの境界を曖昧にしながら、『実験と革新』をテーマにものを創ることによって、もしくは、創るプロセスを通して、ものごとのソリューションを提供します
(引用元:チームラボホームページ チームラボについて)

チームラボのアートの特徴は、光とカラーが織りなす非現実的な世界観です。お台場のミュージアムで表現された現実のデザインとプロジェクションがミックスした空間は、アメリカのTIME誌が選ぶ「今すぐ体験すべき世界100の新目的地」に選出されています。チームラボが作るコンテンツは、世界中でアートインスタレーションとして展開しています。

映像を使い「!」を感じるデザインをつくる「nendo」

nendoは、2002年に佐藤ナオキ氏が設立したデザインオフィスです。コンセプトは、小さな「!」を人に感じてもらうこと。2019年の作品「カルピスが美味しく飲めるグラス」は傾けて置くと適量のカルピスが計量できるかわいいグラスで、楽しくて「!」を感じるデザインが印象的です。

nendoの作品『uncovered skies』では、設置されている傘をさして光の下を歩くと、傘が光を遮る部分にだけ、映像が表れるインスタレーションが施されています。アイデアあふれるデザインの椅子やインスタレーションは、ミラノサローネをメインに展開され、世界中のコレクターや美術館に高価で買い取られています。

日本のテックアートへの期待が高まる

テクノロジーを使って制作された日本のテックアートは、今後さらなる世界への浸透が期待されています。SNSやウェブコンテンツ、オンラインイベントなどの情報流通面で、インターネットというテクノロジーの特性が生かされるからです。人々を魅了する独自の世界観を、地球上の多くの人が時間や場所の垣根なく楽しめる時代が来ているのです。

文・J PRIME編集部

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