プラダ,素材,ファッション業界
(画像=andersphoto/stock.adobe.com)

近年ファッション業界は、素材の扱い方への考え方を転換しています。世界的に浸透してきたサステナビリティの考え方によるものです。今後のファッション業界において、サステナビリティは経営戦略を決める上で中核となる考え方になります。ファッション業界について、商品に使われる素材に注目し、有名ブランドの取り組みなどを確認しながら、今後を展望します。

国際連合「ファッション業界気候行動憲章」(2018)に合意

グローバルファッション業界は2018年、国連の気候変動枠組条約事務局のもと「ファッション業界気候行動憲章」として合意しました。ファッションに使う素材が地球環境に悪影響を及ぼすことを避けるため、一致団結して取り組む行動憲章として策定され、ファッションブランドだけでなく、小売業から納入業、運輸業者などが加入する、業界をあげての動きとなっています。

このファッション業界気候行動憲章には、アディダス、バーバリー、エスプリ、ゲス、ギャップ、ヒューゴボス、エイチアンドエム、インディテックス、ケリング、リーバイ・ストラウス、プーマ、PVH、ターゲットなど多くの世界的なファッションブランドが参加しており、大きな影響力を持ちそうです。

ファッション業界気候行動憲章は、パリ協定の目標とも関連します。今回のテーマである素材については、ファッションアイテムを生産する上で、気候にやさしく、持続可能な素材を選択することによって、温室効果ガス排出量の削減に貢献することが期待されています。

プラダの再生ナイロンプロジェクト「リ・ナイロン」

このようなトレンドの中、プラダは、サステナビリティを経営戦略の核の1つとして実行し、ブランドアイテムとして明確にメッセージを発信しているブランドです。プラダは、新たなプロジェクトとして、リ・ナイロン(RE-NYLON)を立ち上げ、新素材である再生ナイロンECONYL@を使ったバックのラインナップを提案しています。

新素材である再生ナイロンECONYL@とは

新素材である再生ナイロンECONYL@は、海に廃棄されたナイロンやカーペットといった産業廃棄物や漁網、廃棄されるテキスタイル(機械織物)のファイバーなどをリサイクルして精製される素材で、高品質を保ちながら、再利用が可能です。

リ・ナイロンコレクションのメッセージ

プラダの提案するリ・ナイロンコレクションのバッグには、世界地図とリサイクルをイメージするエンブレムとPRADA RE-NYLONのブランドロゴが貼り付けられ、企業のサステナビリティに対する明確なメッセージを発信しています。

さらに、リ・ナイロンコレクションの販売によって得られた収益の一部が、環境の持続可能性に関連するプロジェクトに寄付されており、リ・ナイロン(RE-NYLON)の取り組みは、ユネスコの海洋持続可能性教育のプログラムとして提携されています。

バーバリーは売れ残り廃棄を撤廃

プラダの他にも多くのファッションブランドが、サステナビリティを念頭に置いた取組みを実施しています。英国を代表する名門ブランドであるバーバリーは売れ残り廃棄を撤廃しました。

売れ残り廃棄の撤廃は、ファッションブランドでは初めての取り組みです。ファッション業界では売れ残りの廃棄が公然の秘密として実行されていましたが、名門ブランドであるバーバリーが売れ残り廃棄の撤廃を発信したことで、業界におけるサステナビリティ重視の流れが本物であることを確認することになりました。

日本のスタートアップ スパイバー「ブリュード・プロテイン」

日本企業が開発した素材が、サステナビリティに貢献しているとして注目を集めています。日本のスタートアップであるスパイバーが開発した「ブリュード・プロテイン」は、サトウキビなどから採取したタンパク質でつくられた繊維や樹脂で、化学繊維に代わる最先端の素材として実用化されています。

G7サミットで発表された「ファッション協定」

サステナビリティは、主要7ヵ国首脳会議においても「ファッション協定」として発表されています。これは、ファッション大国であるフランスのマクロン大統領が提案したもので、地球温暖化の阻止、生物多様性の復元、海洋保護の3本柱からなります。サステナビリティをテーマとしたファッション業界における素材への扱いの転換は今後さらに加速することが予測されます。

素材への考え方の根本的な変更は、すなわちファッショントレンドの根本的な変更につながります。ファッションを楽しむ人にとっても、洋服をつくって流行を仕掛ける人にとっても、押さえておきたい変化であるといえるでしょう。

文・J PRIME編集部

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