コロナ,経済
(画像= /stock.adobe.com)

新型コロナウイルス一色となっている情勢の中で、投資の世界では「ポストパンデミック」市場への関心が高まっています。新型コロナウイルスがもたらした惨事の範囲は、従来の自然災害による動きとは比べようのないほど広く、全世界レベルで経済に影響を及ぼしています。ここでは、まだ収束が見えてこないパンデミックが、今後収束した場合の投資環境に焦点を当てて考えてみます。

新型コロナウイルスで人類の常識が360度大変化

新型コロナウイルスによる「コロナショック」は、人類全体の常識を大きく変えました。変えざるを得ない状況になったのです。国内におけるパンデミックにより360度変化したさまざまな常識を取り上げてみましょう。

常識の変化その1:働き方

コロナショックにより、リモートワークを余儀なくされるビジネスパーソンが多くなっています。そして、リモートワークを実践するビジネスパースンからは、多くの課題と同時に、思ったよりも効率よく働けているという声が届き始めてもいます。ここに企業サイドは生産性の拡大の兆しを見出し始めています。

リモートワークでも、オフィスに出社して働くのと同水準の生産性を確保できるならば、リモートワークを新たな働き方の常識として確立させようとする企業が登場してもおかしくありません。緊急避難ではなく、恒常的に本社機能を分散させることによるメリットを意識し始めているのです。

リモートワークを進め、オフィスを分散することにより、さまざまな働き方が可能になって従業員の満足度が上がったり、月額のオフィス賃料が下がったりするなど、さまざまなメリットが得られます。令和における企業経営の新たな常識として、定着する可能性もあるでしょう。

常識の変化その2:学び方

コロナショックにより学び方にも大きな変化が出ています。教育現場は、インターネット環境を活用した教育サービスの展開を検討し始めています。その裏側では、「学校という場に集まらないで勉強を続ける」ことが意義を持ち始めたことがうかがえます。中国では、中学生が学校に登校しないで同等の授業を自宅で受けるスタイルが実現しています。学校に行けないために学力の遅れが進んでしまう懸念がある中では、インターネットを使った教育環境の整備はもはや必須の取り組みとさえいえる状況です。

常識の変化その3:イベントのあり方

今回の緊急事態宣言により開催の自粛要請を強いられたイベントも、ポストパンデミック以降、変化していく可能性があります。急なイベント中止による開催費用の被害リスクを考えれば、オンラインセミナーなど中止リスクの少ない仮想世界でのイベントが、今後は重視されるのではないでしょうか。

常識の変化その4:人とのコミュニケーションのあり方

教育現場や仕事環境の変化から、人と人とのコミュニケーションのあり方にも変化が出てきています。コロナショックにより「会いたくても会えない」状況から生まれてきたのが「遠隔コミュニケーション」です。

遠隔コミュニケーションは、デジタルコミュニケーションツールを駆使したビデオ会議から派生して、オンライン飲み会など、プライベートにおいても自然発生的に活用されています。「Zoom」はツールとしての脆弱性を指摘されていますが、LINE、Slackなどとともに、コミュニケーションの現場で可能性を広げています。

コロナショックで、投資環境はどのように変化するのか

これまで取り上げてきたコロナショックによる常識の変化は、投資にも大きな影響をもたらすことは間違いなさそうです。新型コロナウイルスによるパンデミックを境に、投資環境はどのように変わっていくのでしょうか。

株式市場の変化:投資初心者に追い風の可能性

株式市場において、パンデミック後は投資未経験者の追い風となる可能性を秘めています。その理由を見ていきましょう。

・理由1:世界中の株価が下落し、割安感がある
現在、コロナショックにより世界経済は下落しています。多くの投資家が売りに出て資産を守ろうとしている状況です。世界中の株価がコロナショックで下落しているため、株式投資の鉄則である「人が売っている時に買う」という行動を起こすには絶好の機会になるのです。もし、あらゆる銘柄が割安となっているような状況があれば、逆に購入のチャンスになる可能性もあります。

・理由2:長期化による分散した資金投入ができる
世界的なパンデミックにより株価の下落が長期化したとしても、長期的に考えれば時間を分散した「ドルコスト法」による資金投入の機会になるかもしれません。ドルコスト法は、定期的かつ継続的に一定額の金融商品を購入する投資手法です。相場の変動に関わらず購入価格を平準化することによって、結果的に大幅な損失を回避できるのが最大のメリットです。投資未経験者にとっては、分散して資金を投入しながら低い購入単価で資産を得ることができます。

・理由3:人類の経済活動は止まらない
過去のパンデミックを振り返ると、100年前の「スペイン風邪」では世界の30%もの人々が感染する事態もありました。しかし、人類はこの脅威に負けず、経済を立て直してきました。

緊急事態の最中では考えにくい状況ですが、いままでの歴史から、有事の後に経済活動が動き始めることは見込めます。割安になった株式投資には大きな可能性がありそうです。

不動産市場の変化:資産形成の手段として注目される

次にパンデミックによる不動産投資への影響を見ていきましょう。アフターコロナに向けて、不動産は資産形成の手段となるでしょうか。いくつかの注目点を見ていきます。

・不動産の注目点1:リスク回避のための資産形成の1つに
コロナによる緊急事態は、労働の提供により対価を得ているビジネスパーソンへの収入を脅かしています。特に出社しなければ仕事にならない業種については、生活の基盤をもぎ取られるほどの事態です。

また、主に株式投資で資産形成を進めていた人には、パンデミックによる下落が大きな損失となっていることでしょう。このように、給料や株式資産により生活に影響が出ている場合、不動産投資はリスク回避の1つとなる資産形成となります。

・不動産の注目点2:ポートフォリオの1つとしての有力な分散投資先
不動産投資は、万が一の事態となっている現在の状況からすれば、緊急事態に備えた不労所得の形成策として有効と言えそうです。なぜなら、賃貸物件の場合は住んでいる人がすぐに引っ越したりすることも考えづらく、不動産投資は実体経済と比べると比較的影響を受けるスピードが遅いと言われているからです。不動産投資はポートフォリオのバランスを保つための施策となるのです。

そのほかの注目される投資市場

株式や不動産といったメジャーな投資先以外にも、このコロナによるパンデミック下、ふだんにはない相場の動きを見せている市場があります。ベテラン投資家の中にはこの機に乗じて大きくリターンを得ている人もおり、注目を集めています。

・金先物市場
「有事の金」と呼ばれているのが金です。今回の非常事態においても、急騰したことが話題になっています。米国の景気が下降している中、ドル安が進むことにより金の価値は上昇していきました。さらに、パンデミックにより、現物資産として注目が高まってきているのです。ただし、3月上旬に起きたように、あまりにも市場の悲観が強くなると、金でも売られるほどの現金回帰の動きが起こり得ることには注意が必要です。

・原油
パンデミックの脅威の中、世界的な原油需要の後退がすすみ、悪化が止まりません。新型コロナウイルスの影響だけではなく、原産国のサウジアラビアとロシアによる原油価格の争いも要因となっています。また、アメリカのシェールオイル企業とのかかわりも指摘されています。シェールオイル企業の採算ラインは1バレル40~50ドル程度とされ、30ドル以下では既存の油井を含め大半が採算割れになると言われています。それを見越したサウジアラビアが、シェールオイル企業を追い込むために減産に応じず、むしろ増産することで原油価格の引き下げを狙っているとも見える構図があります。

実際に、米シェールオイル生産のWhiting Petroleumは4月1日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を申請したと発表しました。今後、エネルギー企業の資金調達は一段と困難になり、経営破たんやデフォルト(債務不履行)が連鎖的に発生する可能性が指摘されています。

投資家の多くは、世界的に経済活動が止まっていることから、原油の過剰供給が起きると判断しています。実際に4月20日の原油先物市場では史上初のマイナスを記録しました。その後はプラスに戻しています。原油市場は、大幅な下落と、行き過ぎからのリバウンド期待が交差する状況が長期化するとの見方が強まっています。

コミュニケーションが大きく変わる中、投資には情報収集がより重要となる

投資において、金などの例外はあるものの、ほとんどの分野がパンデミックによって下落しています。今後の見通しも、パンデミックの動きに大きく影響を受けることになるでしょう。外出を前提とした商品やサービスを提供する自動車などのメーカーや航空・運輸サービス、旅行業界、レストランなど外食産業などにとって厳しい状況が続くと考えられます。

一方、アフターコロナでは、働き方や学び方などコミュニケーションに大きな変化が出てくるなど、さまざまな業種、業態において新たな常識が生まれようとしています。「元の消費市場には戻らない」といわれる中、新たな流れにどう自らを合わせていくかが、今後の企業、個人の両方に求められてくるでしょう。顧客を失った飲食店の中には、自らのメニューを宅配可能な商品に仕立て、日本全国に提供することでむしろ業績を伸ばしているといった例も出てきています。

パンデミック後の投資を考える時、世界の人々がどのように行動するのかをとらえ市場の変化を予想する必要があります。時代の流れをつかむために、情報収集と行動力を持ち続けることが重要になってくるでしょう。

>>会員登録して限定記事を読む

【関連記事】
いま世界的に「ブランドロイヤルティ」が低下しているわけ
トヨタが遂に30兆円超え!日本企業の最新売上高ランキング
衰えない「高級食パン」ブーム、人気の理由は?
エルメス、ルイヴィトン、グッチ…バッグじゃなく株を買うのはいかが?
ラグビーW杯、東京五輪に向けて上がりそうな銘柄4選
令和時代のメインストリーム?「トキ消費」最前線