ディープラーニング,効能
(画像=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

AppleのSiriやAmazon Echoなど、スマートスピーカーやチャットボットなどが登場し、人工知能(AI)に注目が集まっています。このAIを実現するための技術が、ディープラーニング(深層学習)です。ディープラーニングは、インターネット上のサービスだけでなく、自動運転や遠隔医療の発展に重要な技術です。私たちの暮らしを大きく変える可能性を持っているのです。

人が学ぶようにコンピュータが学ぶディープラーニング

AlphaGoという囲碁のAIプログラムがトッププロ棋士に勝利したことや、GoogleのAIが猫の概念を理解したというニュースを耳にした人も多いでしょう。これらのニュースの背景にあるのがディープラーニングという技術です。AIに注目が集まりがちですが、このAIを機能させているのがディープラーニングです。

ディープラーニングとは、コンピュータ自身がデータから特徴を抽出し、それが何であるかを学習することです。例えば、犬の画像と猫の画像を認識する場合、ディープラーニングではデータを渡しさえすれば、コンピュータ自身がさまざまな共通項や相違点を見つけ出し、これは犬、これが猫と判別できるよう学習、認識します。人が学習するのと同様のプロセスです。ディープラーニング以前は人間が「これが犬です」「これが猫です」というルールを設定し、コンピュータに認識させなくてはならなかったのです。

コンピュータがますます人間に近い学び方を始めている

このようにディープラーニングは、人間に近い形でコンピュータが学習することを可能にする技術です。実際にディープラーニングの開発には人間の脳のしくみが参考になっています。人間の脳は、単純な構造のさまざまなニューロン(神経細胞)が組み合わさることにより、私たちが毎日しているような複雑な行動を可能にしています。ディープラーニングも、単純な計算を担うシステムを組み合わせることにより、複雑な認識を可能とする技術なのです。

データを蓄積し、そこから学習することにより、ディープラーニングは、AIがさまざまなソリューションを提供することを可能とします。とくに現在活用されているのは、画像認識や音声認識といった領域です。

例えば、Googleの類似画像検索では、アップロードされた膨大な量の画像から、その要素を学習し、インターネット上に存在する類似の画像を検索します。SiriやGoogle Homeなどのスマートスピーカーやチャットボットなども、質問から学習したユーザーの家族構成の情報をもとに、自動的にメッセージを送ったりするなど、より複雑な回答を提示するように性能が上がっていきます。また、テキスト解析として有名なGoogle翻訳ですが、さまざまなテキストデータを把握し、自然な翻訳の文章を構成するように学習、進化しています。

実用間近の自動運転、そして、新型コロナ禍で大注目の遠隔医療の実現にも影響

すでに生活に浸透し始めているディープラーニングですが、今後、私たちの生活を大きく変える自動運転や遠隔医療にも欠かせない技術です。

自動運転には画像認識が欠かせませんが、事前に「これが自動車」だと設定しても、運転している時に見える自動車の角度、見える部分によっては自動車と認識できないかもしれません。ここで、ディープラーニングであれば、さまざまなデータを蓄積することにより、天候や昼夜、角度など環境を問わず、目の前に迫っている物体が自動車であり、その自動車に対してどのような対応するべきかがわかるようになります。このようにして、人と電柱を識別したり、停止信号を認識したりすることが正確にできるようになるわけです。

また、医療分野では、画像から病気の有無の判断をできるようになりつつあります。これまでのデータの蓄積から、病名を割り出して最適な治療方法を提案したり、病気になりやすそうな人を早期発見することができます。直接診察しなくても診断や治療のできる部分が増えれば、医者のいないエリアにおける遠隔医療を普及させるきっかけにもなるかもしれないのです。

例えば、新型コロナウイルスのような深刻な感染症が流行している場合、医師が遠隔から患者を診察することができます。医師自身が感染することによる医療崩壊を避けられるなどの意味でも、社会的な意義の大きな取り組みとして注目されそうです。

技術は実用化がすでに実現。これからはアイデアが大切

ディープラーニングが活用されている分野はまだ限定的であることも現実です。ただし、自然言語に対応し、旅行予約できるコンシェエルジェサービスなどが身近な例として挙げられている通り、ディープラーニングの実用化に必要な環境自体はインターネットや比較的コンパクトな端末であることが多く、大規模な投資が不要とも言われています。

つまり、アイデア1つで新たな活用方法を見つけることが可能なのです。ディープラーニングをテクノロジートピックとしてだけでなく、新たなサービスやビジネスのコアテクノロジーとして注目してみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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