明日を変えるうつわの話

うつわはおもに料理のためのものですが、作家が作るそれには暮らし方や社会の捉え方まで変えてくれるほどの思想があります。それを知ることは絵画や彫刻に心動かされる感覚ともよく似ていて、かかわることで自分の中の何かが変わるような体験。うつわは、生活に一番身近なアートといえるかもしれません。そんなうつわの「名作」をたどる連載の第1話は、吉田直嗣さんのモノトーンのうつわ。

黒白のうつわはどう生まれたのか

陶芸家の吉田直嗣さんが作るのは、基本的に黒と白のうつわのみ。色が少ない分、ボウルや花器を筆頭に端正なフォルムに目を奪われます。どのうつわも縁を指先でなぞると、すぅーっという硬質な音を奏でるほど薄く繊細。その繊細さは、口当たりの良さや軽さという使い心地につながっていますが、料理に使い終えたら目に見える場所にひとつだけ置き、眺めていたい。静かな気持ちに浸りたい。