毎月1本、季節の旬の食材によく合う日本ワインをご紹介。セレクトするのは、日本ワインに特化した定期イベント「LIFE with WINE」を主宰する栁 佐織さん。Vol.1は「春野菜がおいしいこの時季におすすめしたい、最近話題のオレンジワインです。濁りワインで知られるヒトミワイナリーによる、地元ならではの信楽焼の壺で熟成されたユニークな1本です」。

春野菜の甘みと苦みにマッチする 壺仕込みのオレンジワイン。
滋賀のヒトミワイナリーは濁りワインで知られています。日本産のブドウにこだわり、あえてきれいにろ過をせず、酵母のうまみを生かしたワインづくりが特徴。
今回紹介するのは、「その土地でその季節に収穫したものを食べるのが体に良い」とされる「身土不二(シンドフニ)」の考え方で作られたワイン。名前にある「ツボブラン」は、「アンフォラ」と呼ばれる陶器を使った昔ながらの製法をもとに、信楽焼の壺で作られていることを示しています。「信楽焼」の壺を使っていること自体、身土不二であり、他にはないもの。
原料となるブドウは2つの品種のブレンドで、ハーブのような爽やかな香りが特徴のソーヴィニヨンブランと、少し甘みを感じるデラウエア。2品種とも白ブドウですが、壺の中で房のまま3週間ぐらい漬け込み、果皮からのエキスも一緒に抽出すると、このようなオレンジ色のワインになります。2種のブドウが壺のなかで醸されていくうちにそこから生まれる少し複雑な味わいは、春野菜に混在する苦みと甘みのバランスとも似ています。
春キャベツやタケノコなどの春野菜は、シンプルにローストしただけでも香りやうまみを楽しめる食材。春野菜のそのものの味わいを、このワインが十分に引きたててくれます。さらにタケノコの若竹煮なら、そのお出汁と、壺で醸したワインならではのグルタミン酸との相乗効果で、素晴らしいマッチングに。爽やかでありながらふくよかという、奥行きのあるこのワインの飲み頃の温度は、あまり冷やさず、常温に近いぐらいがまろやかに飲めておすすめ。少し肌寒かったりあたたかかったりするこの時季に、心地よく飲める一本です。
Wine of the month

http://www.nigoriwine.jp/HWHP/web/shop_onlist/wine_5829-2018.html
The perfect glass for this wine

https://shop.riedel.co.jp/products/detail.php?product_id=613
SELECTOR
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WINE MAKER

山田 直輝さん
ヒトミワイナリー
滋賀県東近江市山上町2083
☏0748-27-1707
http://www.nigoriwine.jp/
撮影/相沢千冬 構成/横山直美
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