安倍政権発足以来ずっと騰勢を続けてきた日経平均もついに息切れ、2018年大納会の終値は年初価格を2750円も下回りました。2019年の株式相場も不透明感が強まり、個人投資家にとっては動き辛い状況が続きます。

銀行に預金しても、金利はキャンペーンでもない限りは0.1-0.2%という有様で旨みはありません。

一方で、悩み多き資産家の間で話題になっているのが高利回りの仕組み債で、一部の商品は10%を超えるとか。今回の記事では、仕組み債の高い利回りの仕掛けや、裏に潜むリスクについて検証し、本当にお買い得な金融商品なのか考えます。

高利回りが魅力の仕組み債

仕組み債は、国内・海外の公社債に。いわゆるデリバティブを組み合わせた金融商品ですが、デリバティブ対象(為替・株式など)や金利設定・償還条件によってさまざまな種類があります。

(主な仕組み債)
為替:デュアルカレンシー債、リバースデュアル債、為替スーパーボール債
株式:他社株転換条項付き債券(EB債)、上場投信転換条項付きデジタルクーポン債
金利:リバースフローター債・CMS債
クレジット:リパッケージ債・クレジットリンク債

利回りもさまざまで、為替をデリバティブ対象とするデュアルカレンシー債が2%前後なのに対し、株式系の中にはEB債や上場投信転換条項付きデジタルクーポン債など利回りが10%を超えるものも少なくありません。

上場投信転換条項付きデジタルクーポン債の商品内容事例(日経平均レバレッジ連動ETF)
償還期間:2年
参照指数:日経平均レバレッジ・インデックス
金利:年11.50%、0.10%(参照指数<契約時の85%の場合)
早期償還:トリガー条件は参照指数>契約時の110% 即償還(額面金額×100%)
ノックイン発生基準:償還期間に参照指数<契約時の65%の場合
満期償還額:
ノックイン未発生なら額面の100%
ノックイン発生なら参照指数が契約時指数を下回った割合だけ減額

利息は最高で11.50%が保証されるのですが、早期償還や条件次第で金利が変動する点は割り引いて考えた方が良さそうです。加えて満期時に元本が償還されないリスクは念頭に置かなければなりません。

問題は鞘抜きとババ引き

「仕組み債はリターンが高いのだから相応のリスクを抱えているのは当然」との声もありますが、こうした意見は重要な点を見落としています。それは金融機関による「鞘抜き」と、仕組み債を購入する個人投資家だけが「ババを引く」仕掛けです。

仕組み債は高い利回りを個人投資家に約束しますが、その元手はデリバティブ収入です。

EB債や上場投信転換条項付き債券の場合、金融機関(正確に言えば債券を引き受けたスワップハウス)はデリバティブ市場でプットオプション(将来一定の価格で株や指数を売る権利)を売却します。同時にこの取引を通じ、金融機関は仕組み債引受けによるリスクをヘッジします。

日経レバレッジ・インデックスや個別銘柄など変動の激しい指数のオプション手数料は、リスクが大きい分だけ高めに設定されており、だからこそ仕組み債の高い利回りを保証できるのです。一説によると、利息を払っても半分近くは「鞘が抜ける」と言われます。これを、販売窓口の証券会社・発行体・スワップハウスで分配します。

しかも仕組み債とオプション取引がヘッジの関係にあるので、リスクの心配もありません(リスクを負担するのは仕組み債を購入した個人投資家だけです)。

鞘抜きの大きさやリスクの転嫁を考えると、一見好条件に見える仕組み債の利回りがリスクに見合う適正な対価なのか、疑問を抱かざるを得ません。

仕組み債は割りの合う商品か

株式投資などは、値が下がれば損失も大きい代わりに、逆に2倍・3倍といったリターンも夢ではありません。仕組み債のリターンは限定的です。利回りが高いといっても約定通り、しかも制約条件付きです。

逆に損失は株式投資と同様で、ノックイン条件に抵触すると巨額の損失を被ります。仕組み債の検討に当たっては、そのあたりを見極めた方が良さそうです。

文・J PRIME編集部

【関連記事】