ニトリ
(画像=Hu Siyuan/Shutterstock.com)

国内家具小売業界最大手のニトリホールディングスは2019年2月時点で、32期連続増収増益を達成し、時価総額が上場時に比べ90倍以上になるなど、勢いに乗っている企業の一つです。

2017年頃から始めた家電事業もニトリならではの特色もあり、今期の決算も増収増益が期待されていますが、唯一の不安材料が指摘されています。

そこで今回は、家電事業も好調なニトリの不安材料について解説します。

ニトリは製造から小売りまでを一括で扱う会社

北海道の似鳥家具店からスタートしたニトリは、約30年前に家具の製造から物流、小売りまで全て自社で扱う製造小売りモデルに切り替えたことで、デザインが優れ高品質ながらも安い家具を販売する会社として成長しました。

30期以上連続して収入増という驚きの数字を叩きだし、家具小売業界としては最大手の企業とされ、2020年4月に予定されている決算説明会でも業績の好調さをアピールするだろうと専門家たちは予測しています。

今日のニトリの躍進を支えているのは、徹底的なコスト管理と製造から小売りまでを自社で一括しているビジネスモデルの他に、事業拡大戦略の一環として家電事業に挑戦したことも上げられます。

ニトリの家電事業

2018年に国土交通省が発表した統計によると、この20年間で新設住宅着工戸数は年々減少傾向にあります。

ピークを迎えたのが2006年で約140万戸だったのが、2018年には100万戸を下回るようになっており、引きずられるように家具小売市場は全体的に減少傾向となっています。

時代のニーズに合った製品を販売しているニトリも、生き残るために新しい事業に挑戦したのは自然流れと言えます。

低価格でありながら高品質な製品という自社のポリシーは変えず、液晶テレビ・洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・炊飯ジャー・オーブントースター・電気ケトル・スティッククリーナーといった新生活に必要な8つの商品が9万円以下で揃うシンプル家電シリーズなどを展開。

そしておしゃれな生活空間を提供するニトリならではの家電として、ミニホットプレートや焼き肉プレートといった普通の家電メーカーでは扱わないような調理家電が手ごろな値段で楽しめるのも魅力です。

好調を維持するニトリの不安材料

日本を代表する家具小売企業と呼べるニトリですが、一点だけ不安視される材料があります。

それはニトリが中期戦略の一環として掲げている中国進出になります。

2019年4月におこなわれた決算発表では、ニトリの会長、社長が揃って出席し、2019年以降の戦略として中国進出に力を入れていくと発表しました。

好調な結果となった家電事業ですが、やはり国内の家具小売市場の停滞を打破するのは難しく、多くの人口を抱える中国で企業を成長させたいと考えていると推測できます。

しかし、中国進出は芳しいとは呼べず、2019年に新たに出店した店舗が5つに対して、撤退した店舗は4つ。

中国で展開している店舗数は40店舗を下回っているのが現状です。

ニトリの中国での知名度はそれほど高くなく、競合相手であるイケアは22年前に中国進出に成功しており、店舗数では勝っているものの、売上高やブランドの知名度では差を付けられています。

それでもニトリの中国進出に関する意志は固く、日産自動車の元副社長松本史明氏を海外事業の責任者に選び、2032年までに中国に1,000店舗を出店すると発表したのです。

中国でニトリが苦戦する3つの理由

国内家具小売業界でトップを走るニトリがこれほど苦戦する理由は3つ考えられます。

1つ目は、上記でも触れました中国での知名度の低さです。

競合相手である無印良品には9年遅れて、イケアには15年以上も遅れて進出したニトリの知名度はそれほど高くありません。

また、上海のような都心部をあえて避けて内陸部を中心に出店したことや、中国でのブランド名が統一されていなかったことも要因と考えられます。

2つ目は、ニトリが独自のデザイン性を貫けなかったことだと言われています。

たとえば、イケアは北欧風の家具をコンセプトに打ち出し、先行する無印良品はシンプルさを前面に出して購買者のニーズを掴んでいます。

しかし、後発であるニトリのデザインは無難で、低価格も相まって安物の雑貨というイメージが根強くなってしまったと分析できます。

3つ目が、今の中国は経済的に余裕のある購買者層が広がったため、単なる低価格路線だけでは厳しくなったことが上げられます。

中国はメンツやプライドを重視する国で、安価・低価格といった印象の強い製品を身に付けていたり使ったりすると、周りからそのように扱われるのではないかと考える風潮があります。

事実、ユニクロは出店当初は低価格路線が人気を集めましたが、ユニクロ=低価格というイメージが根付くとユニクロを敬遠する風潮が生まれ、経営が一時的に悪化しました。

ユニクロはその後、低価格路線は維持しつつ、ユニクロ独自のコラボTシャツを中国で販売。

有名ブランドやミュージシャンとのコラボTシャツは非常に人気を集め、ユニクロが中国で盛り返すきっかけとなったのです。

また、最近の中国では低価格よりも、材料や品質、ブランドのイメージ、生活スタイルの統一などを重視するようになり、単なる低価格路線の製品は生き残れないだろうと言われています。

不安材料はあるが勢いのあるニトリ

今期もニトリの売上や経常利益は増収・増益するという見込みで、勢いに乗っている企業といえます。

中国進出が成功するかどうかが唯一の不安材料とされていますが、創業者であり現会長の似鳥昭雄氏は「リスクを冒さず、何の心配もない会社は下り坂だ」というコメントを残しております。

この強気なコメント通りに、ニトリはリスクを抱えつつ、事業拡大のために中国へのさらなる進出を進めると予想できます。

まとめ

以上が、家電事業も好調なニトリの不安材料の解説になります。

ニトリは国内家具小売業界としてトップを走りつつも、更なる飛躍を考えている企業になります。

中国進出が成功するかどうかはさておき、将来性のある企業といえます。

もし、購入を検討しているなら、余剰資金の範疇で長期保有をしてみましょう。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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