ナンピン
(画像=solarseven/Shutterstock.com)

建玉の方法の一つに、ナンピンというものがあります。

ナンピンとは、

  • 買い建てた後に値下がりした場合、より低い価格で買い増しすることで平均建値を下げる
  • 売り建てた後に値上がりした場合、より高い価格で売り増しすることで平均建値を上げる

という手法です。

本来不利な値動きをしても、それをきっかけにポジションを有利に導くことができるのですから、不利を有利に転じる建玉法といえます。

ナンピンは、かなり古くから存在している建玉法です。

江戸時代に米相場で財を成し、酒田戦法を遺したとされる本間宗久も、ナンピンを活用していました。

ナンピンは、数百年の歴史を持つ手法なのです。

また、古今の相場師と言われる人々の意見を見ても、ナンピンの戦略的価値を否定している意見はほとんどみられません。

単純に、ポジションを有利にできるのですから、ナンピンは良い手段であり、戦略の一つとして取り入れる価値のあるものと言えます。

様々な相場技法は利益を得るための道具であって、正しく使えるのであれば、道具は多いに越したことはありません。

ナンピンを学ばず、ナンピンによって有利になる局面で何もできないのであれば、長期的なパフォーマンスにも大きな悪影響がでてくるでしょう。

根強いナンピン否定論

しかし、株式投資の解説書や、インターネット上の記事などを見てみると、ナンピンを否定する意見も目立ちます。

さらに、否定論の多くは、ナンピンを全面的に否定する傾向があります。

ナンピンの良い面と悪い面を比較した上で、否定的な結論を下すのではなく、例えば「ナンピンは“絶対に”やるべきではない」といった、問答無用に否定する見解が珍しくないのです。

このため、ナンピンはすべきでないという先入観を持ち、戦略に全く取り入れない人もいます。

ナンピンを否定する理由

なぜ、一部の意見ではナンピンを全否定するのでしょうか。

ナンピンへの否定的な意見を読むと分かるのですが、それらの多くは消極的な投資家を対象としています。

消極的な投資家とは、相場への取り組みが消極的な投資家のことです。

逆に、積極的な投資家とは、相場に真剣に取り組んで利益を追求する投資家を指します。

例えば、「1日5分の投資で年利5%を確実に稼ぐ」といったスタイルは、消極的と言えるでしょう。

それでも、例えば毎月同じタイミングで、同じ額だけインデックス型の投資信託を買うならば、長期投資の結果、それなりのリターンを確保することもできます。

やることと言えば資産推移のチェックくらいですから、それこそ1日5分程度でも十分に可能です。

このタイプの消極的な投資家にとって、ナンピンは無用の長物です。

1日5分間だけ相場と向き合ったところで、相場技法を磨く余地はほとんどなく、ナンピンを活用することは困難でしょう。

だからこそ、ナンピンを否定することになります。

もっとも、ナンピンを強く否定する意見の多くは、相場への取り組みは消極的でありながら、強気な張り方をする投資家を対象としています。

消極的ゆえに相場技法を使うことができず、しかも強気な姿勢で投資するならば、それはもはや「投資」ではなく「ギャンブル」です。

その結果、無計画な投資に陥り、不適切なタイミングで売買するなどの間違いを犯します。

建玉を間違えばナンピンはできない

このような間違いを犯していれば、ナンピンは活用できません。

というよりも、そもそもの出発点が間違っているのですから、ナンピンに限らず多くの技法が無駄になるでしょう。

相場の失敗のほとんどは、予想を誤ったために失敗するのではなく、玉の建て方を誤ったことにより、技法の活用の余地も乏しく、手も足も出なくなってしまうからなのです。

間違った建玉をした場合に使えるものといえば、(技法と言えるか微妙ではありますが)損切りくらいのものでしょう。

悪い建玉は即座に消すに限ります。

もし、この状況でナンピンするならば、間違いの上塗り、損失の拡大になる可能性が高いです。

高値圏で買い建てた後に下落に転じたならば、ナンピンによって平均建値を下げることはできても、その後も下げ止まらず、損失が拡大していきます。

通常、ナンピンは下値を拾うたびに株数を増やしていくため、下げ止まらない局面でナンピンすれば、損失は加速度的に拡大していくのです。

建玉のバランスも重要

このほか、無計画に投資する消極的な投資家には、自己資金の多くを一度に投じたことにより、建玉のバランスが取れなくなる間違いも多いです。

例えば、一度に自己資金の90%を投じて買い建てるようなケースです。

その後の下落でナンピンのチャンスが訪れても、わずか10%の資金しか投じられません。

これでは、「平均建値を有利にする」という、ナンピンの最大のメリットをほとんど享受できず、ナンピンする意味がほとんどなくなってしまいます。

建玉のタイミングを誤っている上に、バランスも欠いているとなれば、損失はさらに大きくなるでしょう。

ナンピンはしないほうが“マシ”となる

以上のように、消極的投資家を対象にするならば、建玉の間違いを犯す可能性も高く、さらに間違いを修正する技法も期待できないため、「ナンピンはしないほうがマシ」となります。

ナンピンで粘ることよりも、素早い損切りを勧めたほうが、はるかに良い結果となるでしょう。

消極的な投資家の中には、損切りができない人も大勢います。

未熟な直観とはいえ、自分の中では何らかの理由があって建玉したのですから、その直感通りになるという希望的観測を捨てきれずに、損切りが遅れるのです。

また、一度に多くの資金を投じていれば、早期の損切りでもまとまった損失が発生するため、なかなか損切りに踏み切れないこともあります。

とはいえ、ナンピンを避けているならば、たとえ損切りが遅れても、いくらかマシな結果となります。

このように考えると、消極的な投資家へのアドバイスとして、ナンピンを全否定することもあながち間違いとは言い切れません。

少額で実践してみよう

消極的な姿勢で臨むならば、ナンピンを避けて通っても問題ないでしょう。

しかし、積極的に利益を伸ばしていくことを考えるならば、ナンピンの全否定は誤りです。

実際に活用すべきかどうかは別としても、その戦略的価値は認めるべきでしょう。

ナンピンを否定し続けてきた人にとって、ナンピンを受け入れることには抵抗があるかもしれません。

その場合には、ごく少額で実践してみて、効果を実感してみることをおすすめします。

ナンピンによってポジションが有利になり、利益につながることが理解できるはずです。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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