
モトリーフール米国本社、2020年2月20日投稿記事より
アップル(NASDAQ:AAPL)は先日、第2四半期(1-3月期)の売上高が中国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、ガイダンスに達しない見込みであることを明らかにしました。
しかし、既にアップルストアの閉鎖を発表していたこと、そして最大の製造委託先フォックスコンで春節後に労働者が10%ほどしか戻って来ていないことから、未達はある程度織り込まれていたようです。
同社株は発表後に一時値を下げたものの、リバウンドしています。
コロナウイルスの感染拡大はアップルにとって一時的な逆風にすぎないというのが大方の見方ですが、そのサプライヤーは大きなダメージを受ける可能性があります。
ジャビル(NYSE:JBL)、スカイワークス・ソリューションズ(NASDAQ:SWKS)、コルボ(NASDAQ:QRVO)、シーラス・ロジックの4社についての影響を考えてみましょう。
ジャビル
iPhoneとiPadの部品成形を担う同社は、2019年度の売上高のうち22%がアップル向けでした。
そのアップル向けを含む多様化製造サービス(DMS)部門が、売上高の39%を占めます。
残り61%は電子製造サービス(EMS)部門で、自動車、産業財、クラウドをはじめ各種市場に多数の製品を供給しています。主要顧客はアマゾン、シスコ、HPなどです。
昨年12月の第1四半期(9-11月期)決算発表時に、通年の売上高予想を5.5%増の267億ドルとし、1株当たり利益(EPS)の伸び率予想も16%から21%に引き上げました。
予想株価収益率(PER)は9倍と割安に見えますが、3月半ばの第2四半期(12-2月期)決算発表で見通しを下方修正する公算が大きく、そこまで待った上で本当に割安かどうか見極めるべきでしょう。
スカイワークス・ソリューションズとコルボ
共にワイヤレスチップのサプライヤーで、全売上高に対するアップル比率はさまざまな種類のチップを提供するスカイワークスが51%、RFフロントエンドモジュールを提供するコルボが32%と高水準です。
その上いずれも、中国での販売鈍化や米中貿易紛争の影響を受けるファーウェイにも大きく依存しています。
予想PERが共に15倍の両社の今年度業績について、アナリストはスカイワークスが4%増収、7%増益、コルボが6%増収、9%増益と十分な成長を予想しています。
ただし、コロナウイルス感染拡大が進めば、予想の下方修正を余儀なくされるでしょう。
シーラス・ロジック
サウンドチップのメーカーで、昨年度売上高のアップル依存度はなんと78%。アップルのサプライヤーとして長年の実績を誇りますが、最新のAirPodには米アナログ半導体のマキシム・インテグレーテッドのオーディオコーデックが採用され、盤石な立場ではないことが明らかになりました。
予想PER21倍に対し、ウォール街の来年度予想増益率は2%と低めです。
最近12カ月はアップル依存度の高さを追い風に上述3社を大きくアウトパフォームしてきましたが、風向きが変わったことで、他社より大きな逆風にさらされかねません。
これまで主張してきた通り、投資するならサプライヤーよりアップル本体が得策と考えます。
同社が強いブランド力、分散した事業、サブスクリプション収入の拡大、潤沢なキャッシュ、そしてサプライヤーに対する値引き交渉力に恵まれている一方、サプライヤーはそういった強みを欠き、コロナウイルス感染拡大でアップル以上に打撃を受けかねないためです。
文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
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