アセット・アロケーション
(画像=G-Stock Studio/Shutterstock.com)

長期の資産運用においては特にアセット・アロケーションの重要性について頻繁に言及されています。

アセット・アロケーションとはポートフォリオにおける資産配分を決めることですが、様々な観点から決定していく必要があります。

第1回目となる今回はアセット・アロケーションの基本や役割・メリット、主要なアセットクラス、さらにアセット・アロケーションで使われている2種類の手法についてお伝えします。

アセット・アロケーションとは?

アセット・アロケーションとは、特徴や値動きの異なる様々な資産クラス(アセットクラス)への配分(Allocation、アロケーションのこと)・分散投資を通じて、ポートフォリオ全体の様々なリスクを低く抑えながら、より効率的にリターンの獲得を目指す投資手法のことです。

投資の基本とも言える考え方の一つであり、主要なアセットクラスには株式、債券、現金、現金同等物といった伝統的な資産の他にオルタナティブ(代替資産)と呼ばれているものもあります。

オルタナティブには商品や通貨などの先物やデリバティブ商品、プライベート・エクイティなどがあります。

オルタナティブについての詳細は後述しますが、オルタナティブ投資という形で一つの投資手法にもなっています。

アセット・アロケーションを決定する際にはマーケットの動向や投資環境、景気などのマクロ経済についての分析をおこないます。

それと同時に運用の目的や資産の規模や状況を踏まえつつ、アセットクラスごとに異なるリスクやリターン、さらに資産ごとの相関性を考慮しながら決定していきます。

アセット・アロケーションの役割やメリット

アセット・アロケーションには「分散投資によるリスクの最小化」という大きな役割やメリットがあります。

この役割やメリットとは、適切なアセット・アロケーションの決定とその配分に従った資産運用をおこなうことで様々な資産への分散投資を可能にさせるだけでなく、それによってマーケットの動きや景気動向、金利の変化など価格を決定づける要因に対応可能にさせることに他なりません。

また、株式や債券など伝統的なアセットクラスへの投資にオルタナティブ商品への配分を加えることで、似たような値動きや方向に傾きがちな特徴を持つ商品への過剰集中がもたらすリスクを最小化させてくれます。

その結果、マーケットの急落など投資環境の急激な変化やボラティリティに対処できるポートフォリオを実現してくれます。

さらにアセット・アロケーションを決定した後で、決定された各アセットクラスの中で個別の商品ごとに分散投資することで、より大きなリスク分散効果を得ることが可能です。

例えば、株式一つをとっても異なるセクターや異なる国や地域、企業の銘柄などに分散できます。

また、債券についても株と同様にセクターや国、地域、発行体、債券の種類などによって異なるものに分散していくことで過剰集中によるリスクを最小化してくれます。

米国株式と債券の関係でみるとこれまでの長い期間に渡り、互いに非相関関係にあります。

景気が良好な環境下では債券よりも株式が買われるので株価上昇となり、反対に債券価格が下がって金利が上昇します。

しかし、金利が上昇すれば企業の資金調達コストが上昇して企業業績に対するネガティブ要因となることから、株価の下落とその資金が債券に戻ってきて債券価格上昇と利回り低下となります。

例えば、実際のポートフォリオでは株式や株式インデックスファンドなどに資金の60%を配分し、残りの資金の40%を債券や債券ファンドに配分します。

少なくとも相関性の低い商品や完全に非相関の関係にある資産同士を2つや3つ以上組みわせれば、マーケットのボラティリティの影響を最小限にしてくれるポートフォリオを組成できます。

主要なアセットクラス

アセット・アロケーションの決定とは、様々なアセットクラスの中からどの資産にどれだけ投資資金を配分していくかといったプロセスになります。

アセット・アロケーションでは大きく分けて、「伝統的なアセットクラス」と「オルタナティブ(代替)アセットクラス」があります。

それぞれに固有のリターン・リスク特性がありますので、上手く組み合わせてアセットクラスごとの配分を決めていきます。

伝統的なアセットクラス

伝統的なアセットクラスとされているものは、株式、債券、現金および現金同等物です。

これらの資産は守りのアセットクラスとされており、ポートフォリオを構築する際には主要なアセットとして投資資金が一番多く配分される傾向にあります。

ただし、伝統的なアセットクラスといってもそれぞれにリスクやリターンには異なる特性が見られます。

最もリスクが低いのは現金および現金同等物で、これには定期預金も含まれます。

現金および現金同等物に対してよりリスクが大きいものの、期待リターンも高くなるのが株式です。

ただし、リスクが低いとされている現金同等物についても、仕組み預金や外貨預金になると期待リターンとともにリスクの度合いも大きくなってきます。

従って、伝統的なアセットクラスといってもアセットクラスごとに配分を考慮する必要があります。

その場合、リスクを多めに取るものと長期の安定的な資産運用のために投資するものとで上手くバランスを取ったポートフォリオの構築が大切になってきます。

伝統的なアセットクラスは各アセットの中にそれぞれ異なるセクターや地域、種類があります。

The Motley Fool
(画像=The Motley Fool)

オルタナティブ(代替)アセットクラス

オルタナティブは厳密なアセットの定義や範囲はありません。

一般的には株式、債券、現金および現金同等物といった伝統的なアセットクラス以外の商品が広くオルタナティブとされています。

オルタナティブの代表的なアセットには以下のようなものがあります。

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(画像=The Motley Fool)

アセット・アロケーションで使われている2種類の手法

機関投資家などプロのファンドマネージャーによってアセット・アロケーションが決定される際には、2種類の手法や戦略が使われることがほとんどです。

それが「戦略的アセット・アロケーション」と「戦術的アセット・アロケーション」になります。

実際にはこの2つを一緒にしたような「コア·サテライト·アセット・アロケーション」もありますが、ここでは2つの手法に絞って説明していきます。

プロの投資家は投資目標や期間、リスク許容度などに応じて、2つの手法を上手く組わせて使うことで長期目線でのポートフォリオの方向性を決めたり、同時に短期的な時間軸でもポートフォリオ管理が可能にしています。

戦略的アセット・アロケーション

戦略的アセット・アロケーションとは、中・長期的な視点から投資目的やターゲット、投資期間、リスク許容度といった要素に基づいて、期待リスクとリターンが最適になるように上手くバランスさせた資産配分比率にすることです。

目標となるリターンやリスク許容度によって、実際のポートフォリオは「インカム型」「成長型」「積極成長型」などに分けることができます。

また、一度決めたアセット・アロケーションも市場の変化やポートフォリオの資産ごとのパフォーマンスの変化に合わせて定期的に調整していくことが重要です。

時間の経過とともにアセット・アロケーションにも変化が必要になってきます。

戦術的アセット・アロケーション

戦術的アセット・アロケーションは、短期的な視点からリターンの最大化を狙えそうな個別銘柄株やセクター株などをポートフォリオに組み込んでいく手法です。

マクロ経済や企業のファンダメンタルズ分析、割安感、市場動向などに基づいて、特定のアセットクラスへの配分を増やしたり減らしたりするアクティブな戦略となります。

戦略的アセット・アロケーションに比べると短期的なリターンの確保に主眼が置かれているイメージになるでしょう。

まとめ

今回はアセット・アロケーションの基本的な考え方やメリットなどを中心にお伝えしました。

尚、アセット・アロケーションを決定する際に大切になってくるポイントや、自分ではアセット・アロケーションを決められないという場合にはどうすればいいのかといった点については第2回目でご紹介していきます。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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