EV
(画像=Travelerpix/Shutterstock.com)

スペインのマドリードで開かれたCOP25で、気候変動対策として温室効果ガス排出削減が叫ばれ、ガソリン車から電気自動車への移行の計画がどんどん進んでいます。

今年ノーベル化学賞を受賞された吉野彰教授は、リチウムイオン二次電池の発明者の一人です。

そして、そのリチウムイオン二次電池は、電気自動車(EV)の車載用電池として、急速に発展かつ普及してきています。

既に温室効果ガスの最大の排出は、自動車ではないのですが、それでも、EV化は重要な課題の一つになっているかと思います。

日本メーカーは、ガソリン車の燃費をよくするという方向であったり、ハイブリッドで対応していますが、これらは移行期の技術です。

やはり、再生可能エネルギーで発電し、電気自動車が大半である社会になっていく必要があるでしょう。

そうした流れの中で、そのキーとなる技術は、バッテリーにあります。

バッテリーの課題の課題としては、以下の3つがあります。

  • 十分な電力を蓄えることが出来ること
  • 充電が短時間で済むこと
  • サイズ。即ち、小さくて軽いこと

これが克服されるべき課題になるかと思います。

電気自動車や電機バイクの普及では、中国がかなり進んでいることもあり、電池の開発でも中国が先行しているような状況です。

現時点での世界のトップメーカーはCATL(寧徳時代新能源科技)。

2011年の創業ですが、既に世界トップメーカーになっています。

電気自動車の製造もしている同じく中国のBYD(比亜迪)など有力メーカーです。

日本では、GSユアサ、東芝、パナソニック、トヨタなどが生産をしています。

パナソニックは、テスラのギガファクトリーの生産に参加していますが、テスラとの関係はぎくしゃくしているようです。

更に、韓国のLG化学、韓国のサムソンSDIなどが主要プレーヤーでしょうか。

トランプ大統領がカリフォルニア州の厳しい排ガス規制を緩める方向で画策するなど、国として電気自動車への転換を遅らせています。

これは、ある意味、次世代の移動手段技術への致命的な失策かもしれないことをしています。

電気自動車専業メーカーのテスラが頑張っているにも関わらず、主要技術において遅れをとってしまっています。

電気自動車の普及は既存自動車メーカーにとっては大きな脅威になる可能性が高いです。

従来の内燃機関エンジンの車では、爆発の直線方向の力を回転に変換するためのクランクなど非常に精度の高い部品製造の技術が必要でした。

そのため、ドイツや日本の高い部品製造技術が優位に立っていました。

電気自動車は、電気でモーターを動かすので、最初から回転運動であることなどから、部品の精度が内燃機関エンジン車に比べると低くても問題ありません。

したがって、他業種からの参入が容易になります。

パナソニックやソニー、アップルなどが自動車を作っても不思議ではありません。

したがって、既存自動車メーカーは、第二、第三のテスラが出る前に、この市場を押さえなければなりません。

見ていると、この分野でもイノベーションのジレンマ(Innovator’s Dilemma)が起きているように思えてしまいます。

トヨタは本気で取り組もうとしているように見えます。

既存のビジネスの改善ばかりに終始していると、取り残されてしまうでしょう。

さて、アメリカ株で、電気自動車、バッテリー関連銘柄に投資しようとすると、「さて、どこがあるかな?」というくらい、あまり話題に出てきません。

電気自動車ということでは、もちろんTesla(TSLA)です。

電気自動車メーカーとして、時代をリードしていく存在にはなるのでしょう。

ただし、工場やスーパーチャージャーステーションの建設などのインフラ整備に莫大な資金が必要であり、当面は黒字にはなりにくいでしょう。

トップライン(売上)の成長は63%と成長性は高いです。

一方で、負債比率は191%あり、利益率は-1.2%と、売れば売るほど赤字になります。

アマゾンもそうでしたが、インフラ整備(特にスーパーチャージャーステーション)がクリティカルマスを越えてくると、おそらく一気に収益性が高くなっていくでしょう。

ずっと持ち続けるには、途中、ドキドキする場面の多い株になりそうです。

さて、電気自動車関連で、その他の株はどんなのがあるでしょうか?ピュアプレーはあまり見当たらず、周辺で探してみました。

まず、アルベマール(Albemarle Corporation, ALB)。

この会社は、特殊化学品の老舗です。

電子分野向けのリチウムの製造と販売を行っています。

2015年にロックウッドを買収してリチウムビジネスを拡充しています。

また、2018年にオーストラリアの会社とリチウム開発でJVを設立しています。

アルベマールにおけるリチウム関連ビジネスのウェイトは約40%です。

そして、成長性の見込めるリチウム関連ビジネスに積極的に投資をしているようです。

業績的には悪くなさそうですが、2017年にピークをつけてから長期で低迷が続いています。PERも11倍程度と割安に見えます。(記事執筆時点)

FMC(FMC)は、リチウム部門であった FMC Lithiumを分離し、ライベント(Livent Corporation、LTHM)として上場させているので、このLTHMの方がピュアにリチウムイオン電池=電気自動車成長性を享受できます。

やはり、国の政策として電気自動車を進めようとしていないので、そこに商機を見出してビジネスをしている会社は少ないですね。

テスラ、アルベマールを中心に考え、ライベントのより詳しい情報が入ったら、ライベントも候補としても良いかと思います。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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