世界遺産,日本,宝
(画像=beibaoke/Shutterstock.com)

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産への登録がここ数年、日本で相次いでいます。日本各地に点在しており、世界に認められた名所はどれも魅力にあふれています。あなたの知的好奇心を満たす旅行先として、ぜひチェックしてみましょう。最新の登録地について、それぞれの見どころとあわせて、紹介します。

百舌鳥・古市古墳群:大阪湾の近くに作られた多彩な古墳

2019年に世界遺産に登録されたのが大阪府にある「百舌鳥・古市古墳群」(もず・ふるいちこふんぐん)です。古墳時代の最盛期だった4世紀後半から5世紀後半にかけて、当時の政治や文化の中心地のひとつでもあった大阪湾に近い平野に作られました。長さが約500メートルという巨大な前方後円墳から、長さ約20メートルと小規模な墳墓まで、大きさや形状がさまざまな墳丘によって構成されています。

墳丘は葬送の儀式に使われ、幾何学的なデザインが施されたほか、周囲は埴輪などで飾られました。百舌鳥・古市古墳群は、土製建造物の技術的な到達点を表しているほか、墳丘によって権力を誇示した日本の人々の歴史を物語る貴重な物証といえるでしょう。

百舌鳥・古市古墳群の観光サイトによれば、堺市役所の21階展望ロビーからは、東に反正天皇陵古墳(はんじょうてんのうりょうこふん)を、南に仁徳天皇陵古墳(にんとくてんのうりょうこふん)など、大小さまざまな古墳群を望むことができ、全体のイメージを把握しやすいそうです。大阪の中心地からもアクセスしやすく、気軽に足を運べます。都会の喧騒から離れて、古代の息吹に耳を傾けてみるのはいかがでしょうか。

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産:地元社会に溶け込みながら信仰を守り続けた人々の記憶

2018年に登録されたのは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」です。日本でキリスト教が禁じられていた時代に、地元の社会や宗教と共存しつつもひそかに信仰を維持し続けた長崎や天草地方の「潜伏キリスタン」の伝統をいまに伝える遺産群です。登録された遺産は、「原城跡」の史跡や「大浦天主堂」といった建築物をはじめ、潜伏したキリシタンがさまざまな形態で他の宗教と共生した集落群で構成されています。

原城跡は、潜伏キリシタンたちの伝統が生み出される契機となった「島原・天草一揆」の現場です。大浦天主堂は、正式名「日本二十六聖殉教者聖堂」で、国宝としても知られています。1862年に26人のキリシタン殉教者が聖人に列せられたのを受けて建造されました。完成は1864年ですが、翌1865年にひそかに信仰を維持していた潜伏キリスタンが信徒であることを告白し「信徒発見」の舞台ともなりました。

そのほか、いくつかの集落も潜伏キリシタンがどのように信仰を維持・実践したのかを示すものとして世界遺産の対象となりました。例えば、「外海の出津集落」(そとめのしつしゅうらく)では、ひそかに祈りをささげた聖画像を隠していた屋敷跡などが見られます。「黒島の集落」では当時の平戸藩が軍馬飼育のための牧場跡を開拓する際、移住を奨励したことを受けて、各地から潜伏キリシタンが集まり形成した共同体の伝統を見ることができます。

大浦天主堂は長崎市内にあり訪問もしやすいですが、集落群は島しょ部に散らばっているため、船での移動が必須となります。海原を進みながら、周囲の地域社会と共存しつつも心に秘めた信仰を失うことはなかった潜伏キリスタンの歴史に思いをはせる旅は趣深いものとなりそうです。

『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群

「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に選ばれたのは2017年のこと。九州本土から約60キロメートル離れた沖ノ島は福岡県宗像市に属しており、上陸が禁じられている玄界灘の孤島です。沖ノ島そのものや「宗像大社 沖津宮(おきつみや)」、そして九州本土にある「宗像大社 辺津宮(へつみや)」などで構成され、沖ノ島を崇拝する文化が、古代の東アジアでの活発な対外交流が進んだ時期に発展し、海の上の安全を願う伝統として現在にまで継承されていることを示す物証となっています。

一般の立ち入りが禁じられている沖ノ島には4世紀から9世紀にかけての古代の祭祀の変遷を示す遺跡がほとんど昔のままの姿で残されているそうです。沖津宮では昔から航海の安全と交流の成就を願う祭祀が行われており、沖ノ島に対する信仰から生まれた宗像三女神のうち、田心姫神(たごりひめのかみ)が祭られています。

沖ノ島は世界遺産への登録を機に、海上から島を望むツアーも開催されるようになりました。玄界灘に浮かぶ孤島を眺めながら悠久の歴史をたどり、海と寄り添い生きた古代の日本人の思いと伝統を深く知る機会となりそうです。

世界遺産には、自然遺産と文化遺産、複合遺産がありますが、今回紹介した最新の3遺産はすべて文化遺産です。このほか、「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)や「姫路城」(兵庫県)など、日本の文化遺産登録地は全21か所に及びます。そのいずれにも歴史的な背景があり、個性的な魅力にあふれるものです。最新の登録地はもちろん、あらためて日本の歴史、伝統を学ぶ機会として、足を運んでみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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