サントリーホールディングス株式会社の創業者、鳥井信治郎氏をはじめ、これまで多くの富裕層が財団を設立し、芸術・文化活動の支援などを行っています。このように財団法人を設立し、社会のための活動を行うことは、富裕層ならではの財産の生かし方と言えるのではないでしょうか。ここでは、財団法人の種類や、財団法人を立ち上げるメリットとはどのような点にあるかを解説します。

一般財団法人とは?

一般財団法人とは、「財産」に法人格が与えられている組織のことです。企業や個人の資産を一定の目的に活用するために設立されます。一般財団法人を設立するためには、設立者1名以上、設立には300万円以上が必要です。その他にも、理事3名以上、監事1名以上、評議員3名以上をそろえなければいけません。

一般財団法人は、法人として認められるため、組織自体の名前で銀行口座や不動産登記が可能となります。また、株式会社の場合は、利益が出れば配当金という形で株主に分配されますが、財団法人は「利益の分配」はできません。しかし利益事業を行うことは可能です。

さらに、一般財団法人は「非営利型法人」と「それ以外」の2つに分けられ、法人区分が異なります。非営利型は、後述する公益財団法人と同じ「公益法人等」、「それ以外」は「普通法人」となります。そのため課税所得の範囲も異なり、「非営利型」の一般財団法人の場合、収益事業から生じた所得のみ課税対象となります。しかし「それ以外」の一般財団法人は、すべての所得が課税対象となります。

公益財団法人の特徴

一般財団法人は、内閣総理大臣あるいは都道府県知事などから「公益認定」を受けることで、公益財団法人に移行することが可能です。しかし公益認定を受けるには「公益認定基準」を満たし、さまざまな厳しい条件をクリアする必要があります。

厳しい条件をクリアしなければ設立できない公益財団法人ですが、条件によっては、所得税などに対する税制優遇が受けられるというメリットがあります。例えば、収益事業の利益を、公益財団法人を支えるために寄付した場合、法人内での資金の移動であっても、所得税の寄付金控除が受けられるのです。

富裕層が財団法人を設立するメリット

財団法人を設立することで、社会的信頼を得られるのも利点です。さらに、相続などで取得した財産を公益財団法人に寄付をすると、その財産は相続税の対象から外されます。富裕層にとって相続税は大きな負担となります。社会貢献ができ、なおかつ相続税対策にもなる公益財団法人は、富裕層にとって、ステータスであり大きなメリットとなり得る法人の形なのです。

公益財団法人の活動とは?

1969年に設立された財団法人鳥井音楽財団は、2009年に公益財団法人サントリー芸術財団に移行しました。その間の、1986年にはサントリーホールを開設しています。サントリーホールでは、世界的に有名な音楽家による演奏や「こども定期演奏会」などを開催しています。こども定期演奏会は、子どもたちに、本格的なコンサートホールに通う習慣を身につけてもらい、クラシック音楽に親しんでもらうために2002年から始まったプログラムです。

シーズンごとにテーマを設けて演奏会を行い、楽器体験やスタッフの仕事体験なども楽しめるなど盛りだくさんな内容となっています。このような活動をきっかけに、子どもが音楽に目覚め、未来の芸術家に成長していく可能性もあります。

豊富な資金を活かして財団法人を設立するぜいたく

財団法人の設立によって社会貢献ができる上、税制面での特例が受けられることが分かりました。税の負担が大きな富裕層にとって魅力的な法人形態といえるでしょう。またサントリーホールディングス株式会社のように、文化的な施設をつくることで、未来にもその「財産」を残すことができます。

ここでいう財産とは、建物や美術品だけではありません。その施設で出会える音楽や絵画などの芸術に触発された人々が、また違う形で芸術を表現し、文化が発展していく。それは、社会にとって新たな財産となる可能性があります。

財団法人は、社会に貢献する存在として、人々の「可能性」を広げる活動を通して、お金には代えられない「財産」を残せるといえます。そういうお金の使い方こそが、富裕層の財産の社会還元といえるのではないでしょうか。

文・J PRIME編集部

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