肉,エイジングシート
(画像=Natali_ Mis/Shutterstock.com)

肉を一定期間低温で保存し、味の変化を楽しむ。そんな熟成肉が数年前からブームになっています。赤身肉をやわらかく、おいしくすることができ、香りもよくなる。熟成肉専門店も数多く登場しており、口にしたことがある人も多いのではないでしょうか。この熟成肉の製法に革命を起こしたフードテック「エイジングシート」を紹介しましょう。

時間と技術を要する熟成肉が、より手軽に簡単に作れる「エイジングシート」

熟成肉の熟成方法は数通りありますが、一般的なのがアメリカから上陸した「ドライエイジング」です。0~1度の冷蔵庫内で、肉に風を通しながら乾燥熟成していく方法で、赤身肉が熟成でやわらかくなり、香ばしい香りがつくことが特徴です。このほかにも、牛肉を半身のまま冷蔵庫に吊るして4週間前後保管する「枯らし熟成」、真空包装をして低温熟成させる「ウェットエイジング」などがあります。

やわらかみがまし、香りも旨みもアップする熟成肉ですが、熟成させる時間がかかるほか、熟成と腐敗の見極めは、その道のプロでなければ難しいところ。素人が作るにはなかなかハードルの高い作業です。また、熟成させるための場所も、ある程度の広さと一定の温度を保つ設備が必要になります。さらに、肉の表面にはカビが発生するため、削ぎ落とす必要があり、可食部が少なくなってしまうなどの課題がありました。

熟成肉を早く、簡単に作りたい。「エイジングシート」はそんな願いから生まれたフードテックプロダクトです。開発したのはミートエポック。明治大学との産学連携事業として、2017年にスタートしました。ミートエポックは、飲食店などを営むフードイズムのグループ会社です。代表取締役はフードイズムの跡部美樹雄氏が務め、取締役には明治大学農学部准教授の村上周一郎氏が名を連ねています。

熟成肉に必要なカビの胞子をシートに付着させ、肉に巻くことで、短期間で肉を熟成させられます。熟成肉に有効なカビのみを使用しているため、腐敗のリスクも軽減されています。筋繊維が噛み切りやすくなる、ミルクやナッツに似た芳醇な独特な香りが広がるなど、熟成肉のおいしさはそのまま保証されています。すでに実用化しており、食べられるお店には、「エイジングシート」を使用した「発酵熟成肉」取り扱い店認定マークが掲示されています。

魚にも熟成効果、約20~23日間も新鮮さを保てる

熟成のおいしさは肉に限りません。魚にもその利用が広がっています。2018年には「エイジングシート」を使用した「魚の熟成化」に成功。「発酵熟成熟鮮魚」を商品化しています。

通常約7日目から腐敗が始まると言われる魚ですが、発酵熟成熟鮮魚は、約20~23日間の長期熟成期間にもかかわらず、新鮮さが保たれるとのこと。臭みはなく、熟成肉同様に、ミルクやナッツに似た芳醇な香りも楽しめます。こちらも、川崎市を中心とした飲食店や、東京都内のスーパーなどでも取り扱われており、実際に入手し、食べることができます。

エイジングシートの登場は、熟成肉のあり方を大きく変えました。周囲の肉を削ぎ落とし、中心分の肉のみを可食部としていた熟成肉は、フードロスの観点からも望ましくありません。熟成が行き過ぎて腐敗してしまったなどの失敗もなくなります。

2019年には、エイジングシートを使った発酵熟成肉・発酵熟成魚と発酵食品を融合させた料理が食べられる「旬熟成 HAKKO」が中央区銀座「GINZA SIX」に誕生。熟成肉、魚のほか、味噌・麹などの発酵食品が味わえます。

納豆や味噌など、発酵や熟成は和食とも縁の深い料理方法の1つ。素材を寝かせることでおいしさを引き出します。肉や魚は新鮮さを味わうのもいいですが、熟成させたからこそ味わえる味、香りがあります。より手軽に味わえるようになったいま、熟成肉と魚を食してみるのはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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