新世代ホテル,キンプトン,Boutique Hotel
(画像=nui7711/Shutterstock.com)

近年のインバウンドの増加に加え、今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、日本では空前のホテル建設ラッシュが起きています。そんな中、比較的小規模で個性のあふれる「Boutique Hotel(ブティックホテル)」が注目を集めています。旅の新たな価値を提供する新しい宿泊形態について解説します。

本来の意味におけるBoutique Hotelの出現

Boutique Hotel(ブティックホテル)とは、部屋数が100室(50室以下とも言われます)程度と比較的小規模で、独創的な発想のデザインや上質なサービスを売りとする高級ホテルを指します。一部で言われる、いわゆるラブホテルの別称とは異なるカテゴリーです。価格はビジネスホテルよりも高めですが、単にラグジュアリーであるということではなく、もっと本質的なところでの豊かさを提供します。既存ホテルの画一的なものとはひと味違うこだわりのサービスが、特に海外の宿泊客から支持されています。

1990年代の半ばにニューヨークなどの大都市からBoutique Hotelが始まったと言われていますが、2000年代に入ってからは世界的な流れとなりました。中国、台湾、韓国、シンガポールなどの地域ではBoutique Hotelが増えているそうです。

「ソーシャライジング」をコンセプトに

日本におけるBoutique Hotelの先駆けと呼べるのが、2017年に東京・神宮前にオープンした「TRUNKHOTEL(トランクホテル)」です。コンセプトは「ソーシャライジング」。これは「一人ひとりが日々のライフスタイルの中で、自分らしく等身大で、社会的な目的を持って生活すること」という意味をもち、ただの宿泊施設としてだけではなく、さまざまな人達と交流する機会も備えることで、社会的な生活への意識やアクションを促すものです。

ロビーラウンジでは昼間はノマドワーカーのワークスペース、夜はパーティーやイベントの参加者たちの交流の場としても活用され、DJイベントなどを行うことも可能。また、社会貢献の一環として、ホテルの部屋に使用されている備品は、レザーや布、木や古紙などの廃材を再利用・再生したものなど、サスティナブル(持続可能性)なアイテムで統一されており、デザイン的にも洗練されています。

新宿に新たに誕生するBoutique Hotel「キンプトン東京・新宿」

そのTRUNKHOTELをライバルとし、2020年に日本初上陸するのが「キンプトン」です。1981年にアメリカで生まれたブランドで、東京・新宿にオープンしたキンプトン東京・新宿は、地上17階、客室数は162、3つの宴会場とレストラン・バー、多目的に利用できるチャペルを備えています。

キンプトンは世界で60以上のホテルを運営していますが、どれ1つとして同じデザインのものはなく、当ホテルも「活気に満ちた東京・新宿エリアの魅力を最大限に生かす」ものとなるそうです。また、今回のインテリアデザインは、世界各国の建築を手がけた「ロックウェル・グループ」が担当。独創性やデザイン性の高いものを好む20~30代の若者をターゲットとしています。デザインと同様、大型ホテルでは実現がむずかしい「パーソナルなサービス」を提供し、独自色を打ち出すとしています。

また、TRUNKHOTEL、キンプトンとも、ウェディング事業に力を入れています。単なる結婚式場の場合、閑散期や平日はほぼ稼働しません。しかし、ホテルにすることで、ウェディングと宿泊料金の両方が見込めるというわけです。実際、TRUNKHOTEの礼・宴会での利用は、オープンから11ヵ月で1,000件以上を記録しており、客室の稼働率も91%と好調を記録しています。キンプトンも「ニューヨークのロックウェルと新しいデザインのウェディングにチャレンジしたい」と意欲的なコメントを残しています。

ビジネスホテルの利便性とラグジュアリーホテルの個性・サービスの融合

インバウンド需要が増える一方で、「日本にはビジネスホテルしかない」とがっかりする外国人も多いとの話を耳にします。実際に日本を旅行する外国人観光客の40%弱がビジネスホテルに宿泊しており、シティホテルやリゾートホテル、旅館を抑えてトップになっています。安くて清潔で、交通の便もいい日本のビジネスホテルですが、ビジネスで訪れているわけではないのですから、狭い客室とユニットバスを見てがっかりするのは当然のことでしょう。

一方、外国人観光客の70%が日本旅館での宿泊を希望しているのに対し、実際に宿泊できるのは半分程度で、外国人が好みそうな風情のある旅館は、交通の便に難がある場合も多いものです。都心の真ん中にありながら、ビジネスホテルとは一線を画すBoutique Hotelは、インバウンドの満足度を高めるとともに、日本のホテルの新しい潮流になっていくのでしょうか。ひとまずキンプトンの動向に注目したいところです。

文・J PRIME編集部

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