パワードスーツ,開発動向
(画像=MONOPOLY919/Shutterstock.com)

「ロボット革命」がさまざまな産業に興り、消費者の生活も変わろうとするなか、人間がロボットになるという「超人化」の動きも進んでいます。メガネ形の端末などを通じてAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を利用すれば、現実の世界にさまざまな情報を重ね合わせることで、より多くの情報を把握できるようになるでしょう。AI(人工知能)の活用で言えば、通常の人間の脳では対応できない大量の情報を処理したり蓄積したりすることができるようになり、これも人間の能力を拡大していると言えます。

そんな超人化が進む中、徐々に実生活でも存在感を増してきたのが、身体能力を向上させる「パワードスーツ」です。着用することで何十キロもの荷物を片手で軽々と持ち上げられるようなものも登場してきています。アニメ『機動戦士ガンダム』は「ロボット」ではなく「モビルスーツ」という位置付けであるように、人間自身が超人化するという時代がすぐそこにまできているのかもしれません。

物流や農場、介護で活躍する「パワードスーツ」

体に装着することで、重たいものを楽に持ち上げられたり、体への負荷を減らしたりできるパワードスーツ。物流や農場、介護といった現場で利用が進んでいます。

少子高齢化が進み労働力人口に占める高齢者の割合が高まるなど、労働市場に変化が現れてきているほか、政府が「すべての女性が輝く社会づくり」をうたって女性の活躍を促し、仕事と家庭の両立を支援する動きをみせています。それでもやはり、高齢者や女性には対応しづらい、物理的、身体的に高い負荷を求められる作業分野はあるものです。そうした現場で、パワードスーツを活用できれば眠っていた人的資源の活用につながるでしょう。また、家庭での利用が進めば、病気や年齢などで身体的な不自由さを抱えている人たちがパワードスーツを支えにして、これまでよりも気軽に社会に出ていけるようになるかもしれません。

そんなパワードスーツですが、先ごろお笑い芸人のCMで注目を集めたのが、大学ベンチャー「イノフィス」の「マッスルスーツ」です。同社のマッスルスーツは、腰の補助に特化した製品で、人間や重い物を持ち上げるときや、中腰の姿勢を保つときに活躍してくれるそうです。「マッスルスーツ Every」は重量が3.8キログラムと体力のない人でも使いやすいように設計されており、電気を使っていないことから稼働時間にも制限がないそうです。

パナソニックの子会社「ATOUN(アトウン)」も着るロボットを開発しています。腰の動きをセンサーがとらえて、モーターの力で重たい物を持ったときにかかる腰への負担を軽減するとしており、同社の「MODEL Y」は「あうんの呼吸で腰をたすける」とうたっています。重量は4.5キロで1回の充電で約4時間の利用ができ、物流や倉庫といった現場で活躍しています。

こうしたスーツの開発を進めているのは日本企業ばかりではありません。ドイツのジャーマン・バイオニックは日本の小売り大手ビックカメラと連携して物流拠点2カ所で同社のインテリジェント・パワースーツの「Cray X」を活用する取り組みを進めています。商品を持ち上げたり取り扱ったりする際に作業員の負担を軽減することで長期的な健康面をサポートできるかどうか検証が進められています。

災害救助や国防の現場には「高機動パワードスーツ」

ビジネスの分野での活躍が目立ちつつあるパワードスーツですが、国防の現場でも実証実験が行われているのをご存じでしょうか。防衛装備庁先進技術推進センターが「高機動パワードスーツの研究試作」という動画の中で開発を進めているパワードスーツを紹介しています。国防をはじめ、災害救助などでの利用が想定されており、50キロの物体を持ちながら時速13.5キロの駆け足ができるそうです。試作品の重量はバッテリーを含めて25キロ。砂地やデコボコ道にも対応しており2時間の連続稼働が可能としています。

パワードスーツを着用した超人化の実現は、すぐ目の前まで来ているのかもしれません。

文・J PRIME編集部

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