マンション
(画像=InnaFelker/Shutterstock.com)

節税方法として知られてきた海外不動産投資ですが、2020年度の税制改正によってその節税効果がなくなる可能性が出てきました。2020年度の税制改正大綱でこうした節税方法を認めない内容が盛り込まれたからです。海外不動産投資による節税に取り組んできた富裕層に大きな影響を及ぼしそうです。

■海外の中古不動産投資における節税効果

2020年度の税制改正大綱は2019年12月に政府・与党によって発表され、今年の通常国会で成立すると段階的に導入されていきます。2020年度の税制改正大綱が成立していない現時点では海外不動産に対する節税スキームはまだ存在していますが、成立した場合はこうした節税スキームが使えなくなります。

これまでの海外不動産投資を通じた節税策は、海外で中古の高級物件を購入した上で、家賃収入を超える額の減価償却費などによって赤字を計上するというものでした。こうした海外不動産投資における赤字を日本の所得と合算することで課税所得額を減らすことができ、結果的に個人の所得税負担が減るというわけです。

こうした手法は中古住宅の利用年数などにおける考え方が日本と欧米で異なることから可能となっており、特に高額な欧米の不動産を購入可能な日本の富裕層の節税方法として注目されてきました。

■税制改正大綱で盛り込まれた内容

実は、この海外不動産投資を通じた節税方法を認めない内容が、いずれ税制改正大綱に盛り込まれることは予想されていたことでした。会計検査院が2015年度における検査報告で、減価償却の特例を海外不動産にも適用可能な仕組みを見直す必要があることを、財務省に対して明確に指摘していたからです。

2020年度の税制改正大綱で実際に盛り込まれた内容は、全101ページに及ぶ資料の中の「土地・住宅税制」における「租税特別措置等」の項で確認できます。具体的には下記の通りです。

(以下引用)
個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。

つまり簡単に説明すれば「損失の金額のうち償却費に相当する部分の金額」が日本国内における損益通算で適用されなくなるということで、海外不動産投資を使った節税スキームは今後認められなくなるということです。国会で成立すれば2021年度分以降の所得税から適用が開始される見通しとなっています。

■富裕層への影響と今後の対策

富裕層が利用する節税スキームにメスが入った形となった2020年度の税制改正大綱。海外不動産投資を通じた節税方法に取り組んでいた富裕層、もしくはこれから海外不動産投資での節税に取り組もうとしていた富裕層にとっては、節税という点で選択肢からはずれることになります。

また過去に海外不動産を購入して保有している富裕層には、その不動産の保有を維持するのか売却するのか、決断を迫られます。海外不動産投資には節税のためという側面もありますが、「インカムゲイン」(家賃収入)や「キャピタルゲイン」(値上がり益)による利益も期待できるため、保有することのメリットとデメリットを考えながら判断する必要が出てくるでしょう。

そして、これから海外不動産を購入しようと考えていた富裕層の人にとっては、節税効果がなくなっても海外不動産を取得するメリットがあるのかどうか、慎重に検討する必要が出てきます。

文・J PRIME編集部

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