米国ETF,NISA
(画像=Atstock Productions/Shutterstock.com)

米国ETFには様々なメリットや魅力があります。

その米国ETFを非課税枠であるNISAを利用して購入することでさらに大きなメリットが得られます。

そこで今回は米国ETFをNISAで買う場合のメリットと注意点についてお伝えしていきます。

NISAの仕組みを簡単におさらい

NISAについて名前だけは知っているが、中身はよくわからないという方にまずは簡単にその仕組みをお伝えします。

NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、2014年1月に始まりました。

この制度を利用して投資すると投資を通じて得られた利益に対する20.315%の課税が優遇されます。主に次のような特徴があります。

  • 利用できるのは日本国内居住の20歳以上の方
  • 一般NISAの場合、年間120万円までの投資によるリターンに対する税金(現行税率:20.315%)が最長5年間非課税
  • 一般NISAの対象は「上場株式」「株式投資信託」「ETF(上場投資信託)」「REIT(不動産投資信託)」から得られる「売却益」「配当金」「分配金」

例えば、投資元本100万円に対するリターンが20万円だとすると、通常なら40,630円の課税があります。

しかし、NISAの利用でこの課税額がそのまま免除されることになります。

一般NISAには年間120万円の非課税枠がありますが、5年間非課税となるために合計で600万円までの投資元本に対する利益について非課税とすることができるのです。

また、NISAを利用する際に注意したいのが、以下の点です。

  • 非課税枠の翌年繰越はできない
  • 損益通算や売却損の繰越控除はできない
  • 既に保有している金融商品をNISA口座で運用することはできない

「非課税枠の繰越不可」については、仮に年間120万円の非課税枠のうち、100万円まで投資した場合などに残りの20万円を翌年以降に繰り越して利用できないということです。

利益や売却損があった年の翌年に繰り越して、翌年の損益と合算することもできません。

さらにNISA開始時点において既に保有していた金融商品を新たに申込んだNISAに移して、非課税枠を利用することもできません。

実際に利用する場合にはこのようなデメリットについても理解した上で始めることが重要です。

特に既存の投資商品を保有しているような場合、損益通算できない点には十分に注意しましょう。

尚、NISAには「一般NISA」「ジュニアNISA」「積立NISA」の3種類があります。

このうち、今回のテーマである米国ETFを利用できるのは「一般NISA」と「ジュニアNISA」となり、「積立NISA」は米国ETFを利用できません。

もし、積立NISAを利用して米国ETFに投資したい場合は、日本国内のネット証券会社から販売されている米国ETFと同じ銘柄で構成されているETFを選ぶ必要があります(例:楽天・全米株式インデックスファンドなど)。

ただし、その場合は日本国内のネット証券を経由する分だけ手数料が多くかかってしまいます。

米国ETFを簡単にご紹介

米国ETFとは、日本以外の国外で運用されているETF(上場投資信託)全般を指します。

株式や債券、不動産、商品、金といった様々な市場や特定の地域や業種などの指数に連動して運用されるように設計された投資信託です。

投資信託と異なり、証券取引所で株式などと同様に日々売買取引することができるので、価格が動きます。

運用はファンドマネージャーと呼ばれるプロの資産運用担当者がファンドポリシー(運用指針)に基づいてファンド内の各銘柄について売買しています。

投資信託と同じように配当や分配金ETFは世界で約6,000銘柄ほどあり、そのうち米国ETFの中でもETF発祥の地であるアメリカでは約2,000銘柄が日々取引されています。

その種類は実に様々で、S&P500など主要な株価指数連動型のETFからクリーンエネルギーやAI、ロボティクスをテーマとするユニークな銘柄で構成されるETFまで幅広く揃っています。

また、アメリカには全米中のETF発行枠の約40%を占める最大手の投資信託運用会社「ブラックロック」や最初のETFを運用・販売した「ステート・ストリート」をはじめ、「フィデリティ」や「バンガード」など大手の運用会社が数社あります。

一方の日本国内では近年は人気が出てきたETFではあるものの、東証の資料によればその種類はまだ223本と非常に少ないのが現状です。

米国ETFのメリットをNISAで活かす

米国ETFには日本のETFにはない大きなメリットがあります。

このメリットを非課税枠が利用できるNISAで活かせば、そのメリットはさらに大きくなります。

米国ETFのメリットについて以下にご紹介していきましょう。

銘柄数が非常に多く、豊富な選択肢からポートフォリオ構築ができる

米国ETFはアメリカ国内の株価指数に連動する商品ばかりでなく、世界中のあらゆる市場へと資金を投入して運用されています。

従って、米国ETFを上手く組み合わせれば、ほぼ世界のあらゆるエリアや業種に投資するのと同じリスク分散効果が得られます。

尚、米国ETFと聞いてアメリカ固有の株式や債券、商品などの銘柄のみに投資対象が絞られているわけではありません。

既にお伝えしたように単にアメリカの証券取引所に上場しているにすぎず、その対象はアメリカ以外の幅広い分野に及びます。

アメリカや世界の成長を取り込め、大きな伸びと将来性が期待できる

日本はこれからますます少子高齢化が進んでいきます。

人口が減少する国というのは基本的に成長余力が新興国ほどありません。

その点、アメリカは先進国でも珍しい人口増加が続いている国です。

また、アメリカの産業はIT系やEコマース系を中心に世界の様々なエリアにビジネス展開しており、その成長性を取り込んでいます。

世界をリードするほどの最先端の技術や発明、新たなサービスが常に次から次へと生まれ、これからも世界をリードしていく国の一つであるのはほぼ間違いないでしょう。

そのような銘柄を中心に様々な銘柄で構成されるETFを購入することはそのままアメリカ、強いては世界の成長を取り込むこととなり、大きな伸びと高い将来性が期待できます。

以下のチャートはアメリカを代表する株価指数銘柄「S&P500」をベンチマークとする米国初のETFステート・ストリートの「SPDR(スパイダー)S&P500 ETF(SPY)」と日本を代表する「日経225株価指数」をベンチマークとするブラックロックの「iシェアーズ・コア日経225ETF」の比較です。

これを見ると、S&P500ベースのETFの成長性が日経225ベースのETFを2倍以上と大きく引き離しているのがわかります。

しかも、日本は政治的にも経済的にも常にアメリカの影響下にあります。

日経225の伸びはS&P500 やNYダウといったアメリカの株価市場の成長性に大きく依存しています。

その証拠に日経225の値動きはほぼ完全にS&P500の値動きと相関性を持っていることがチャート上から読み取れます。

The Motley Fool
(画像=The Motley Fool)

デメリットや注意点も理解しよう

米国ETFには大きなメリットがある反面、以下のようなデメリットにも注意が必要です。

為替リスクと為替手数料が発生する

米国ETFは米ドルベースの商品であるため、投資元本やリターンには為替リスクが伴う点を認識しておかなければなりません。

為替リスクについては、投資を始める際の「日本円から米ドル」への交換、さらに売却して元本とリターンを米ドルで受け取るために「米ドルから日本円」に交換する際に発生します。

その際には所定の為替手数料も発生しますので、合わせて覚えておくとよいでしょう。

例えば、投資開始時点での米ドル/円レートが110円で、売却時点の米ドル/円が100円の場合、すなわち円高となっているために元本とリターンは為替差損となってしまいます。

反対に同じ条件で売却時点の米ドル/円が120円で円安だった場合には為替差益が生まれます。

もし、為替差益が発生した場合、その金額や条件次第では雑所得として確定申告の対象となる場合もありますので注意してください。

為替リスクについては、時にリターンを大きく目減りさせるほどのリスクとなる場合があります。

投資開始時点よりも売却を予定していた時点の為替が円高だった場合、為替レートが有利になるまで様子見するという方法も考えられます。

分配金に対するアメリカ国内の課税が発生する

米国ETFの場合、売却益については日本国内のみの課税となりますが、分配金についてはアメリカと日本で二重に課税されます。

この場合、分配金はまずアメリカ国内で10%の所得税、さらに日本国内においても20.315%の所得税が源泉徴収されることになります。

本来、分配金に対するアメリカ国内の10%の課税については、確定申告で「外国税額控除の適用申請」をすれば還付されます。

しかし、NISAを利用して購入した場合、この外国税額控除の適用は受けられません。

つまり、分配金に対するアメリカ国内の10%の課税分についてはNISAでも免税されないことになります。

情報が限定される

米国ETFの場合、マーケット環境や自分が保有している銘柄に関係する情報を入手するチャンスが限定されます。

これが日本の株やETFなら、インターネットや新聞など様々な媒体から日本語によるマーケット情報が簡単に手に入ります。

米国ETFの場合、ETF運用会社が提供している翻訳済みのファクトシートや四半期ごとに発行されるマーケットレポートなどが提供されます。

商品の詳細な情報を得ようとする場合、米国の運用会社のホームページから英語のままの情報を入手するしかありません。

デメリットよりもメリットに大きな期待がもてる、NISAで買う米国ETF

高いリスク分散効果と投資効率を得ながら、アメリカを中心に世界の成長力を取り込める米国ETFは為替リスクや分配金に対する米国内の課税といったデメリット以上のメリットが期待できる商品です。

また、今回ご紹介したようなNISAを利用すれば、売却益に対する非課税の恩恵が受けられ、メリットがさらに大きくなります。

尚、一般NISAについては2023年度末で制度の期限を迎えますが、政府は2024年度以降も存続させる見直し案が出ており、長期の資産運用にも問題が出ないと見ていいでしょう。

NISAの仕組みを利用した金融商品の購入を検討している方は、是非この米国ETFも比較検討してみるといいでしょう。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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