着衣始
(画像=photoNN/Shutterstock.com)

着物が日常着だったころは、お正月用の着物を新調し、新年を迎える習慣があり、それを「着衣始(きそはじめ)」と言っていました。洋服で過ごしている現代では、日本の文化である着物を装うことは粋な習わしと言われています。新年という節目を着物で過ごし、日本の文化や風習に改めて目を向けてみてはいかがでしょう。男性の着物の種類と決まりごと、そして着物をひきたてる小物使いを紹介します。

男性の着物は大きく分けて3つの種類に分けられます。1つ目は「礼装着」で、特別な式典など公の儀式などで着るものです。中でも黒羽二重五つ紋付は、最も格式の高い第一礼装と呼ばれる着物です。結婚式の花婿やその父親、仲人などの服装として着る五つ紋付に羽織袴です。

礼装着の中の色紋付と呼ぶ和装があります。地色が黒以外の色で、紋章を染め抜いたものです。第一礼装の下にあたる準礼装や略礼装として着用します。成人式で着る衣装としても知られています。また、花婿が着用する際は染め抜きの五つ紋を付けます。

2つ目は「外出着」で、少し格のあるものから、趣味として楽しむものなど幅広く、初めての着物としておすすめです。外出着とは、袴は履かずに同じ布地で仕立てた長着と羽織(これをアンサンブルとして呼びます)を着て、白足袋に草履というスタイルを指します。仲間同士のカジュアルなパーティーなどにふさわしい和装です。

また、アンサンブルでなくても、羽織という洋服でいうところのジャケットの役割を持つ上着を羽織るだけで品格が上がります。お出かけやちょっとした挨拶の場などに便利です。3つ目として触れる普段着のスタイルに、羽織を着用すれば、外出着として着用できます。一枚持っていると着こなしの幅も着用の場も広がるでしょう。

3つ目は「普段着」としての着物です。これを着流しと呼び、夏の浴衣などがこれに当たります。羽織や袴を着けずに、長着に帯を結んだだけのスタイルです。素材は化繊やウール、木綿や麻など家庭で扱いやすいものなどバリエーションが豊富です。帯も兵児帯を用いれば、腰に巻いて結ぶだけなので初心者でも簡単に着られます。少ないアイテムだからこそ、粋に着くずしたり、ファッション感覚で小物などを使って自分らしいアレンジをすることが可能です。  

小物選びはスーツと意外な共通点あり

洋装で例えるなら、帯はベルト、羽織紐はネクタイのイメージで、装飾品としての役割も果たしています。足袋は、一般的にフォーマルな場では白色のみ、外出着や着流しスタイルでは色物が許されます。装いに馴染めば、普段洋服に合わせるような小ぶりなカバンと合わせても調和します。レザーのクラッチバッグなど、和洋折衷で遊びを交えるのもいいでしょう。

普段着では、着物のインナーとしてタートルネックの洋服や、足元をレザーのブーツやカッターシューズなども意外とマッチします。そして、洋服だときまり過ぎてしまいがちなハットやストールですが、着流しや外出着に合わせると、着物のインパクトがあるため、思いのほかおしゃれな雰囲気を出せます。

着物仕立てと着付けについて

基本的に、着物はオーダーメイドの世界です。まずは、反物(生地)を選び、採寸をしてオーダーに進みます。町の呉服屋さんや百貨店の着物売り場に行けば、店員さんが丁寧にオーダーを進めてくれます。

一度採寸したとしても、反物の素材の特性により仕上がりの寸法に差がでることがあるので、次回以降も都度採寸するのがいいとされています。また、着物の下着としての役割を持つ襦袢(じゅばん)も、着物と同じタイミングで仕立てると職人による出来栄えの差が生じにくく、着こなしの完成度が高まります。

女性に比べると男性の着物は簡単に着付けられるため、ネットなどで最低限の着付けを覚えればできます。また、最近は女性だけでなく男性向けの着付け教室もありますので、そこでマスターしてしまうという方法もあります。着付けの難関である帯の結び方は、購入時にスタッフに教わることもできます。

お正月の初詣や挨拶だけでなく、お花見や美術展などに着ていくオシャレ着として、着物を気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。また、お子様の七五三で、家族そろって和装に挑戦してみるのも、良い思い出作りになりそうです。着物文化への親しみが広がれば、さっそうと着物を着こなし、街を闊歩する男性が増えていくかもしれません。

文・J PRIME編集部

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