フードツーリズム,日本
(画像=nadianb/Shutterstock.com)

食を目的とする旅行をフードツーリズムと呼びます。モノ消費からコト消費への変化が激しい中、インバウンドで来日する外国人の胃袋をつかむことが日本の今後の発展の礎になるかもしれません。特に魚には注目が集まっています。外国人がインスタグラムに書き込んだ珍しい魚の価値が、突如高級魚のように上がることも考えられます。

日本の食文化に可能性

地域ならではの食や食文化を楽しむことを目的とした旅「フードツーリズム」。訪れた土地で景観や自然を体感しながら、現地の人々と交流し、そこでしか味わえない食、旬の食材やその鮮度を体験するという旅のスタイルです。

欧米では広く普及しており、例えばワインの名産地である米カリフォルニア州のナパバレーにあるワイナリーを訪れる旅や、美食都市として知られるスペインバスク地方のサン・セバスチャンで「バル」をめぐる旅など、人気の旅行プランが多数展開されています。

このフードツーリズムを活用する動きが、観光立国を目指す日本を支え、地域活性化を推進する鍵として、今後ますます活発になりそうです。有形のモノ消費から無形のコト消費へと急速に変化する中、日本のインバウンドにとって、日本の食文化は外国人旅行者を魅了する重要な観光資源の1つとなっています。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されていることなども追い風となり、多くの外国人旅行者が日本の食や食文化を求めて来日しています。

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、政府は訪日外国人客数を4,000万人にするとの目標を掲げており、フードツーリズムもさらなる伸びが期待できそうです。

訪日外国人が消費する飲食代は、東京や関西など大都市圏での消費額が大きな割合を占めていますが、東京、大阪、京都などの都市圏以外を訪問する外国人旅行者は年々増えています。訪問先の多様化が地方も含め全国に広がれば、消費額の大幅な増加につながる可能性があります。訪日旅行者は、定番の日本食だけでなく、さまざまな食を求めて地方へも足を延ばし始めています。

捨てる魚に勝機

フードツーリズムを産業として強化する有力な手段の1つとして、「魚」を中心に据えることが考えられます。日本に古くから浸透している魚文化、特に地方でその土地ならではの旬の魚や、魚を利用した料理を提供する飲食店などは貴重な観光資源となるでしょう。旅行者の「胃袋」をつかむことは、美しい景観や名所以上に、リピーターを増加させる重要な要素になるかもしれません。

フードツーリズムと魚の活用は、漁業関係者にも大きなメリットをもたらすほか、食品ロスの削減やサステナブルな漁業を実現する上で有効になる側面もあります。

漁協が扱わないような売れない魚、漁獲量の少ない珍しい魚は、市場に流通することが少なく、低価格で取り引きされますが、その量は水揚量全体の3割以上に及ぶとされています。このような「未利用魚」「低利用魚」を見直す動きやブランド化する取り組みも一部で行われています。

美味しくても捨てられていたような珍しい魚が、訪日旅行者の間で評判を呼び、インスタグラムなどのSNSを通じて話題になれば、外国人だけでなく日本人観光客を取り込むことにもつながり、価値が大きく上がるかもしれません。

そのような魚を廃棄せず、適切な形で旅行客に提供するため、漁港や漁獲の状況を管理し、飲食店や旅行者に無駄なく販売できるシステムがあれば可能性はさらに広がるでしょう。飲食店の予約や決済までできれば、旅行者の利便性も高まります。

魚を水揚げされた土地で飲食できるよう、地域の飲食店や宿泊施設、交通手段を整備し、適切な人材を確保するなど、飲食や宿泊の消費額を増加させる仕組みを整えることも鍵になります。

文・J PRIME編集部

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