完全食
(画像=Valentina_G/Shutterstock.com)

「これを食べれば1日のすべての栄養が摂取できる」という食品を「完全食(完全栄養食品)」と呼びます。似たようなものに「栄養補助食品」があります。栄養補助食品とは健康食品の一つでビタミンやミネラルなど毎日の食事だけでは必要な量を摂取することが難しい栄養素を補助することを目的とした食品のことです。

その種類は多くゼリー飲料や粉末、サプリメント、バータイプのスナックなど形状もさまざま。ドラックストアやスーパー、コンビニなど身近な場所で手軽に購入することができるため、忙しい人の強い味方になっています。

完全食と栄養補助食品との違い

栄養補助食品はあくまで「補助」であり「主要な栄養は食事から摂取するべき」という基本があります。しかしこの考えをくつがえすべく完全に食事の代替品となり得るのが「完全食」です。人間に必要な必須栄養素を過不足なく補えるため、極端な話、それだけで人は健康に生活できるようになっているという点が、栄養補助食品との大きな違いになります。つまり赤ちゃんにとっての母乳のようなものと考えればよいでしょう。

完全食に着目し始める企業

完全食という言葉が誕生したのは、2013年にアメリカで発売された「Soylent(ソイレント)」からでした。米国の若者が起業に必要な資金をやりくりして食事を効率化しようと開発した商品です。最初に発売されたのはドリンクタイプで現在はさまざまなフレーバーを展開しています。2019年には、ミニバータイプの「Soylent Squared」も発売されました。

2016年には日本でも株式会社COMPが「完全食COMPパウダー」を発売しました。この完全食が生まれた背景には、社長であり開発者である鈴木優太氏自身の経験が関係しています。学生時代に石油化学に没頭していた鈴木氏は、食事の時間すら節約するべく栄養補助食品に頼る毎日を送っていました。しかしそんな生活が続くわけもなく、ついには栄養失調で倒れてしまいます。

そんな矢先にSoylentに出会いますが当時は個人輸入するしか購入する手段がなく「コスパ」が良いとはいえない商品でした。しかしどうしても完全食を取り入れたかった鈴木氏は、Soylentが公開していたレシピを参考に製作を開始。試行錯誤を重ねたレシピをネット上に公開したところ大きな反響があったため、クラウドファンディングで資金を集め起業に踏み切ったのです。

とはいえ完全食の黎明期は、値段・味ともに洗練されておらずベンチャー企業などが市場を開拓しているという段階でした。そこに完全参入してきたのが世界に名だたる食品メーカーである日清食品グループです。2019年8月には、得意の麺を使った「オールインヌードル」を発売しました。必要な栄養が摂れるのはもちろんのこと「糖質40%オフ」「たんぱく質 24.1グラム」「食物繊維 8.6グラム」と摂取オーバーしがちな糖質は控えめに、たんぱく質や食物繊維は豊富に含まれるという現代人にうれしい仕様に。

年々健康志向は高まり続けており世界に目を向ければ食糧問題も深刻化しています。今後、完全食を巡る企業間の争いは、ますます加速していくことでしょう。

食事も効率優先の時代に?

米アップル社の創始者、スティーブ・ジョブズ氏は、黒のタートルネックにジーンズと、いつも同じ服を着ていました。理由は「服を選ぶための時間を仕事に使いたい」から。ジョブズ氏に限らず日本でも有名な経営者やコンサルタントの中には、同じ理由で同じ服を着る人がいます。この考えが食事に及んでもおかしくはありません。

人生の最大の楽しみの一つであるはずの食事を効率化するあまり完全食に置き換えてしまうのはあじけない感じもしますが価値観は人それぞれです。「完全食が私の成功の秘訣です」と語るビジネスマンが次々と登場する日も、そう遠くないのかもしれません。

文・J PRIME編集部

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