牛肉,ワイン
(画像=Natalia Lisovskaya/Shutterstock.com)

日米両政府の代表は2019年10月、米首都ワシントンで日米貿易協定とデジタル貿易協定に署名しました。米国は今回の協定について議会での承認は不要なため、日本が国会で承認を得られれば2020年1月1日に発効される予定です。工業製品や農産物、デジタルなど、さまざまな分野の関税が変更されるなど生活に与える影響は大きそうです。

牛肉やワインは買いやすく

日本の消費者が実感しやすい恩恵として、牛肉やワインといった米国産の食料品が買いやすくなることが挙げられます。米国産の牛肉に対しては現在、38.5%の関税が課されていますが、協定発効後は環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国と同水準の26.6%に引き下げられます。税率はその後、段階的に引き下げられて最終的には9%となります。

輸入の急増を抑止するための緊急輸入制限措置(セーフガード)が設けられたほか、すべての業者が直接買い付けているわけではないので、いきなり安い米国産の牛肉が売り場にあふれかえるといようなことはないと予想されますが、牛肉を使った食料品の小売価格が下がるのは確実とみられています。

また、米国産のワインについては、現在15%もしくは1リットルあたり125円の安い方の関税が課されていますが、これも段階的に引き下げ、最終的に撤廃されます。米西海岸のカリフォルニア州にはナパやソノマといった有名なワインの産地もあるので、貿易協定が発効されれば、おいしいカリフォルニア産ワインがより手ごろな値段で楽しめるようになることでしょう。

チリワインは一足先に関税撤廃

東京税関によれば、日本に輸入されるボトルワインは2015年にチリ産がフランス産を抜いて首位に立ちました。その後もチリ産ワインは首位を維持するなど存在感を示していますが、その背景としてはチリ国内の醸造技術の改善などにより品質が向上したことや、2007年9月に発効した日本チリ経済連携協定によって関税が段階的に引き下げられたことも影響しているとみられています。チリワインの関税は12年かけて2019年4月に撤廃されましたが、米国産ワインも同じように関税の引き下げとともに日本市場での存在感を高めるかもしれません。

このほか、豚肉やチーズ、オレンジなど、さまざまな食料品で関税の引き下げや撤廃が行われます。コメについては無関税枠の導入は見送られたため、日本のコメ農家への影響は限定的となる見通しです。

自動車分野は「引き続き交渉」も幅広い工業分野で関税撤廃

日本にとって重要な自動車分野では、「関税の撤廃に関して更に交渉」することとなりました。米国は離脱したTPPで、日本車に対する2.5%の関税を25年目に撤廃するなどとしていましたが、今回の署名では、自動車・自動車部品分野については進展が見られませんでした。

ただ、自動車以外の工業品ではさまざまな品目の関税が撤廃される見通しです。金型の加工などで使用する「マシニングセンタ」は現行の4.2%の関税を発効から2年目に撤廃するほか、エアコン部品は関税を即時撤廃、鉄道部品についても現行の2.6~3.1%の関税は2年目には撤廃されます。

データのやり取りも自由で円滑に

日米デジタル貿易協定では、インターネットを通じた動画や音楽の配信、通販などを念頭に日米間での円滑で自由度の高いデジタル貿易の推進を目指しています。そのなかでは、国境を越えた電子データのやり取りについて関税を課さないことや、正当な目的があるとき以外は禁止したり制限したりしてはならないとしています。

自国での事業を行うための条件としてサーバーやデータセンターといった関連設備の利用や設置を要求してはならないとしたほか、プログラムの設計図である「ソースコード」を開示するよう求めてはいけないなどとも定めました。

日米貿易協定とデジタル貿易協定の発効で日々の生活にもさまざまな変化が生まれそうですね。

文・J PRIME編集部

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