東証プレミアム市場
(画像=Osugi/Shutterstock.com)

東京証券取引所(東証)で、上場区分見直しの議論が続いています。

改革の焦点は東証1部市場の上場基準の厳格化。

東証1部はプレミアム市場に変更され、現在2,000社を超える企業数を絞る予定です。

この記事では、株式市場で注目されている上場区分の見直しと、プレミアム市場について解説します。

プレミアム市場とは

2019年3月、東京証券取引所は市場再編を検討すると発表しました。主なポイントは次の3つです。

2000社を超える東証1部の再編

東証1部の上場・降格基準を厳しくし、プレミアム市場を新たに創設します。

現在は時価総額が40億円を超えれば、マザーズや東証2部から東証1部に昇格できます。

プレミアム市場は上場基準を500億円と大幅に引き上げる案がでているのです。

ただ、2019年3月時点の東証1部を時価総額で区切ると、次のようになります。

 The Motley Fool Japan
(画像= The Motley Fool Japan)

東証1部の代わりに新設するプレミアム市場の時価総額基準を500億円以上にすると、半数以上の企業が基準を満たさなくなってしまうので、現在も議論が続いているのです。

新興市場の集約 東証2部市場と新興市場は、現在の3市場から2市場に集約される予定です。

<現在の区分>

  • 東証2部
  • ジャスダック
  • マザーズ

<再編後>

  • スタンダード市場(安定・中堅企業)
    東証2部とジャスダックの一部が、「スタンダード市場」になります。

  • エントリー企業(成長企業)
    マザーズ市場とジャスダックの一部が「エントリー市場」になります。

上場廃止基準の引き上げ

現在の東証1部・2部の上場廃止基準は、時価総額10億円未満が一定期間続いた場合です。

ニューヨーク証券取引所の上場廃止基準は1500万ドル(約16億円)、米ナスダックの上位市場であるグローバルセレクトは5000万ドル(約54億)で、いずれも東証よりも厳しくなっています。

現在の基準は企業に甘いという指摘もあるので、上場廃止基準の引き上げも検討されているのです。

市場再編の背景

市場再編の議論が起こった背景として、東証1部銘柄が増えすぎたことが挙げられます。

東証1部に上場すると、降格になることはほとんどないため、最上位市場である一部上場企業が全体の6割を占める逆ピラミッド型の構造となりました。

上場企業の銘柄数は以下の通りです。

 The Motley Fool Japan
(画像= The Motley Fool Japan)

このように最上位市場である東証1部が、東証2部やマザーズ、ジャスダックの合計企業数よりも多くなってしまったのです。

市場関係者からも廃止や降格基準が緩く、東証一部企業が増え続けるという点が問題視されていました。

なぜ、このような構造になってしまったのでしょうか。

東証1部上場には抜け道がある

東証1部直接上場はかつて500億円でしたが、2012年に250億円に引き下げられました。

2008年のリーマンショック後に市場が冷え込んだため、東証一部上場の基準を緩くしたのです。

また二部やマザーズから一部昇格は「時価総額40億円」と基準が緩いため、一部上場企業が急増したのです。

米国では時価総額が絶対条件ではないものの、ニューヨーク証券取引所では、2億ドル(約220億円)を基準としていて、東証の5倍ほどの高いハードルを設けています。

東証によると、2部やマザーズから1部に昇格する企業のうち、約6割が上場から2年未満。企業の質は大きく変わらないのに、短期間で1部に昇格できるのです。

海外勢にはプレミアム市場肯定派が多い

上場自体が目的になっている企業も存在します。

事業の成長のために資金を調達するという本来の役割ではなく、創業者が投資資金を回収するために上場するという「上場ゴール」という形が見られるのです。

また、東証1部銘柄は、日銀による年6兆円にのぼるETF(上場投資信託)買いの対象です。

株価が下支えされるため、経営の規律が緩みやすくなります。1部の維持基準が緩いままでは、企業の経営規律が働くなる恐れがあるのです。

そのような企業は投資家から敬遠されますが、上場基準の厳格化で世界標準に近づけば日本市場の魅力向上につながり、東京証券取引の売買の約6割を占める外国人投資家の買いも見込めます。

市場構造を巡る課題

プレミアム市場の時価総額は、500億円が検討されていますが、現在の東証1部銘柄数の半分になってしまいます。

降格になると、以下のような影響が考えられます。

  • 東証2部に降格になると、資金調達にも影響がでる
  • 企業の成長性やファンダメンタルと関係なく、降格した企業の株式は売りがでたり、信用売りされたり、直接的に株価に影響がでる可能性がある

東証1部全銘柄を対象にしたTOPIX(東証株価指数)は多くの投資信託でベンチマークとして採用され、インデックスファンドやETF(上場投資信託)など多くのTOPIX型ファンドが設定されています。

プレミアム市場でTOPIXがどのようになるかはわかりませんが、プレミアム市場に含まれないことになる銘柄は、プレミアム市場のインデックスに連動した投資信託やETFの対象外になり、需給面から株価にマイナスの影響がでる可能性があるのです。

まとめ

最上位市場である東証1部銘柄が増えたため、東京証券取引所はプレミアム市場創設など市場再編を検討しています。

時価総額500億円など上場基準を厳しくすると、最上位市場からの降格を不安視する企業の声が強まりますが、降格を嫌がる企業に配慮すると改革の意味はなくなります。

東証がどのような舵取りをするのかが注目されます。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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