英国空軍,戦闘機,スピットファイア
(画像=Tomas Picka/Shutterstock.com)

2019年8月、英グッドウッドから、第2次世界大戦で活躍した英国空軍の戦闘機「スピットファイア」が世界一周の旅へと出発しました。イギリスのパイロット、スティーブ・ボールトビー・ブルックスとマット・ジョーンズが発案した、スピットファイアでの史上初の世界一周フライト「ロンゲスト・フライト」の始まりです。このプロジェクトはスイスの時計ブランド、IWCシャフハウゼンがサポートしています。

試作機の段階で「完璧」

スピットファイアは第2次世界大戦中に英国空軍とドイツ空軍との間で戦われた「バトル・オブ・ブリテン」で主力として戦った戦闘機。制空権確保を狙って侵攻してきたドイツ空軍を撃退したことでその名が知れわたるようになりました。

レジナルド・ジョセフ・ミッチェルが設計を手掛けたスピットファイアは、試作機の初飛行が1936年3月5日でした。試作機の段階で高い完成度を示しており、試験飛行から戻ってきたテストパイロットが「何も手を加えなくていい、完璧だ」と話したとの逸話が残っています。

スピットファイアの特徴は楕円形の翼と薄い翼断面。このおかげで、高い操縦性や旋回性能が実現できました。エンジンはロールス・ロイス製のV型12気筒で、暑い日などはエンジンをスタートさせると排気口から炎が吹き出るそうです。スピットファイアは2万機以上が製造され、第2次世界大戦後もしばらく運用が続きました。

今回のプロジェクトで飛行するスピットファイアは1943年にキャッスル・ブロムウィッチで製造されました。1944年2月に第118飛行隊に配備されるとV1飛行爆弾の発射基地を攻撃するための爆撃機の護衛などの任務に就きました。その後、別の飛行隊に配備されますが、1944年5月、着陸時に機体が損傷して修理へと回されます。修理完了後はカナダの飛行隊などに所属して戦闘に参加。第2次世界大戦終結後の1945年11月にオランダ空軍の所属となりました。

そして、70年以上の時を経て、ブルックスとジョーンズによって退役していたスピットファイアの物語が再び動き始めたのです。

4万3,000キロの旅へ

今回の世界一周飛行のために機体は部品単位にまで分解され、レストアされました。シルバークローム仕上げが施され「シルバー・スピットファイア」と名付けられたこの機体は数ヵ月をかけて4万3,000キロ以上を飛行します。もともとは長距離を飛行するようにはできていないため、飛行距離を延ばすように改造も施されました。

英国を出発したスピットファイアは、アイスランドから、グリーランド、カナダへと移動し、米東海岸のニューヨークに到着。さらに米西海岸からロシア、日本へとわたり、西回りで世界一周を試みます。訪問先は約30ヵ国におよび、約100ヵ所で補給を繰り返しながら旅を続け、2019年12月に英国に戻ってくる予定になっています。

スピットファイアの先進的なエンジニアリングと時代を超えたデザイン

IWCの公式サイトによれば、同社はパイロット・ウオッチの製造において80年以上にわたる経験があるそうです。1948年には、英国空軍向けのパイロット・ウオッチ「マーク11」も手がけました。これまでもスピットファイアをオマージュした限定モデルを手掛けてきたそうです。スピットファイアの先進的なエンジニアリングと時代を超えたデザインはIWCが体現している特徴でもあるとうたっています。

IWCのクリストフ・グランジェ・ヘア最高経営責任者(CEO)は「スピットファイアは、空を飛ぶという人類の夢を他のどの航空機よりも象徴しています。時代を先取りして生まれ、その象徴的なデザインによって今もなお人々に強い印象を与える、エンジニアリングの傑作です」と述べています。

試作機の時点で「完璧」だったとされるスピットファイア。エンジニアリングの傑作が挑戦する世界一周の旅に注目です。

文・J PRIME編集部

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