大嘗祭,11月23日
(画像=noppawan09/Shutterstock.com)

毎年11月23日に、「新嘗祭(にいなめさい、にいなめのまつり、しんじょうさい)」という宮中祭祀が執り行われます。「新」は新穀(初穂)、「嘗」はご馳走を意味し、天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする天神地祇に新穀をお供えし、天皇陛下自らも新穀を召し上がり、神様の恵みによって新穀を得たことを感謝するお祭りです。日本書紀によると、飛鳥時代の皇極天皇の時代に始まったとされ、万葉集には新嘗祭にまつわる和歌も存在します。

新天皇がただ一度だけ行う儀式

新嘗祭の中で、新天皇が即位して最初のものを「大嘗祭(だいじょうさい)」といいます。即位の時期が8月以降の場合は翌年、7月までならばその年に行われるため、2019年は大嘗祭となるわけです。行われる内容は新嘗祭とほぼ同じ内容ですが、新天皇がただ一度だけ大掛かりに行う儀式とあって、長い期間をかけて準備が進められます。一般的にはあまり馴染みがない宮中祭祀ですが、順にご紹介しましょう。

斎田点定(さいでんてんてい)の儀

神々に供える新穀を育てる田んぼを「斎田」といい、その場所を決めるものです。2019年5月13日に、皇居・宮中三殿の神殿と神殿前庭で行われました。決めるのに使われるのは亀甲を使った「亀卜(きぼく)」と呼ばれる古代からの占い。将棋の駒のような形に加工したアオウミガメの甲羅を竹箸ではさみ、ウワミズザクラの木をくべた火にかざして焼き、生じたひびの入り具合で決めます。今回、東日本の悠紀(ゆき)地方からは栃木県、西日本の主基(すき)地方からは京都府が選ばれました。

斎田抜穂(さいでんぬいぼ)の儀

斎田で育った米を収穫する儀式です。儀式に先立ち、斎田のある地元では「斎田斎場地鎮祭の儀」が行われ、斎場の施設が準備されます。そして前日には、斎田近くの清らかな水辺で「抜穂前一日大祓」が行われます。

大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀

大嘗祭の中核となるもので、新天皇が新穀を神々に供えて世の安寧や五穀豊穣などを祈る儀式です。新嘗祭は11月23日ですが、大嘗祭は11月の2回目か3回目の「卯」の日にするのが慣例となっており、今回は11月14日の夕から15日にかけて、夜を徹して行われます。

また、新嘗祭の場合は宮中三殿の神嘉殿で行われますが、大嘗宮の場所は仮設の斎場で、建てられる場所も毎回異なります(今回は皇居東御苑)。東御苑では2019年10月中の完成を目処に、大嘗祭に向けた建設が行われています。東御苑への入園は工事期間中も可能で一般公開されています。

大饗(だいきょう)の儀

大嘗宮の儀を終えたあと、出席者と酒や食事をともにするもので、2日間にわたって行われます。また、大饗の儀では、斉田点定で選ばれた、悠紀の国と主基の国それぞれの風俗舞(日本古代の舞)も披露され、新天皇の即位を盛大に祝います。

「勤労感謝の日」との関係は?

ところで、11月23日は「勤労感謝の日」ですが、もともとの起源は新嘗祭で昔から祭日とされていました。しかし、戦後GHQによる占領政策の下、国家神道の色が強い新嘗祭という名前を排除し、違う名前にするよう提案があり、1948年に「勤労感謝の日」として施行されたのです。

現在では収穫を祝うだけでなく、さまざまな労働・勤労に対して感謝する日となっています。感謝する対象が広がったということで、これはこれでたいへん素晴らしい意味を持ちます。2019年は大嘗祭が行われる一生に何度もない貴重な機会です。本来の意味を噛みしめながら、農作物の恵みを感じ、農家の方々を労い、感謝の気持ちを持つきっかけの日としてみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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