
仕手筋という言葉をご存知でしょうか。
仕手筋とは意図的にまとまった資金を流入させることで、人為的に急激な価格の吊り上げや売りを行い、相場操縦をする投資家のことです。
投資の世界に足を踏みれたばかりの人が気をつけたいのが、仕手に利用されてしまい損をすることです。
仕手筋は現代も姿を変えて相場の中に潜んでいます。
現代の仕手筋はインフルエンサーとしてSNSの中にいたり、オンラインサロンなどを利用して投資家を集めています。
仕手筋の存在を知り、良いように利用されないようにしましょう。
仕手筋は今も昔も姿を変えて相場の世界にいる
現代の仕手筋の中にはSNSを利用したインフルエンサーや、オンラインサロンなどのクローズドな環境で人を集めるところもあります。
そして最初にある銘柄で買いポジションをとり、後からクローズドなサロンで同じ買いポジションをとるように煽り、相場を動かし身内であるはずの人達よりも先に売りぬけるのです。
現代の仕手筋はSNSやWEB経由でクローズドコミュニティに投資初心者を呼びこみうまく利用しています。
インフルエンサー化している仕手筋
仕手筋の中にはSNSの世界でインフルエンサーとなっている者もいます。
声と影響力の大きいインフルエンサーが必ずしも投資の世界で実力がある訳ではありません。
しかし若い世代は情報収集をする際に、SNSを利用することが多く、右も左もわからないときに影響を受けたインフルエンサーがたまたま仕手筋の場合、利用されてしまうケースもあります。
そして仕手で成功したパフォーマンスを大々的に公開し、新規の「参加者」を集め続けるのです。
日本国内の株式市場では相場操縦的な行為は厳しく禁止されています。
そのせいもあって現在では仮想通貨など法整備が進んでいない市場で仕手筋が多く流れています。
仕手筋は小さなマーケット・値動きの軽い銘柄を好む
仕手筋は小さなマーケット・値動きの軽い銘柄を好みます。
なぜなら仕手筋が相場操縦するためには、出来高や流動性が低めの取引対象でなければ上手く相場操縦ができないためです。
例えばドル円などの為替市場は世界から様々なプレイヤーが取引をするため、一介のインフルエンサーや仕手筋が相場操縦をしようとしても、ほぼ不可能です。
仕手筋に乗せられてるかどうか不安なときは自分が取引しようとしている対象が、仕手が動かしやすい市場かどうかを考えてみると良いでしょう。
現在の仕手筋の代表的な手口
仕手の手口は今も昔もそれほど変わりません。
ポジションを静かに仕込んでから、目立つように値を吊り上げたりさげたりすることで、追従する買い手・売り手を呼びこみます。
そして買いが買いを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ状況を一時的につくり、適当なところで手仕舞うのです。
現代ではSNSやオンラインサロンなどで集めた人も煽って、仕手に有利なポジションをとらせるというだけの話です。
つまり昔からやっていた仕手の手口がSNSやオンラインサロンでも姿を変えて行われているというだけの話です。
仕手に乗らないようにするために大切な3つのこと
SNSなどで投資をはじめたばかりの人が仕手にリーチされやすいため、注意が必要です。
もちろん全てのSNSやオンラインサロンが悪質なものではありませんが、仕手に乗せられて損をしたと嘆かずに済むために大切な3つのことを知れば、被害は食い止められます。
投資判断はあくまで自分で行うこと
SNSやオンラインサロンなどで投資情報が流れてきても鵜呑みにしてはいけません。
流れてきた情報をしっかりと理解したうえで、最終的な投資判断を自分で行うようにしましょう。
インフルエンサーの言う通りに後追いするような投資は避けることが大切です。
あらかじめ投資をする際にルールを決めることも有効です。
裁量で取引をすると外部の情報に左右されがちになってしまいます。
一貫したルールに従って取引をすることで、仕手や外部の情報に左右されない投資を続ければ、仕手と関わる機会もなくなくなっていきます。
流動性とボリュームの大きいマーケットで取引する
仕手はボリュームの大きいマーケットでは大きな影響力をもてません。
仕手筋が動かすのは小さな相場操縦しやすい市場や取引対象です。
そもそも仕手の対象になるような取引対象は長期投資に適していない銘柄も多いため、自分がよく知らない小さな取引対象をすすめられても慎重になるべきです。
「FOMO」の状態にならない
「FOMO」とはFear of missing outの略です。
日本語で「見逃してしまうことへの恐怖」という意味になります。
現代社会はSNSの普及で自分だけが情報から取り残されてしまうのではないかと考えてしまう人が珍しくありません。
そんな誰かに取り残されてしまう心理から、SNSなどの情報を過度に追いすぎて、仕手の情報に振り回されてしまうこともあるのです。
不安になると投資家は細かい情報まで集めようとしてしまいます。
しかし情報を追いすぎても、微に入り細に入りで本質を見失ってしまいます。
投資をする際に本当に気をつけるべき情報と、そうではない情報をうまく見極めることができるようになると、情報に振り回されなくなります。
SNSもオンラインサロンも使い方が大切
SNSもオンラインサロンも結局は使い方が大切です。
もちろん、SNSやオンラインサロンの中には投資家にとって有益な情報を共有しているところもあります。
ただし有害なSNSやオンラインサロンもポジショントークで有益なコミュニティを装って投資家に近づいてきます。
投資家は銘柄と同様にSNSやオンラインサロンも見抜く力が必要なのです。
もしも気になるSNSやオンラインサロンがあったら、情報を追ったり参加することは悪いことではありません。
実際に参加してみて仕手のような手口を使っているなと感じたら距離を置けば良いですし、有益だと感じるなら利用すれば良いのです。
文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan
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