訪日客,夜間観光
(画像=Luciano Mortula - LGM/Shutterstock.com)

訪日外国人が3,000万人を超える中、各地で夜間に観光できる資源の整備、ナイトタイムエコノミーへの対応が続いています。一方で、交通や安全が課題となります。海外の事例も参考にさまざまな取り組みが進んでいます。

夜間経済を活性化

日本政府は現在、観光を成長戦略の柱、地方創生の切り札と位置づけており、訪日外国人旅行者を増やして消費の拡大につなげようとしています。しかし、訪日旅行者は年々増加しながらも、消費は1人当たり約15万円と伸び悩んでいるのが現状です。東京五輪を前に、観光客の消費額を増やす戦略の1つとして、夜間の観光資源を充実させ、ナイトタイムエコノミー(夜間経済)を活性化しようとする動きが広がっています。

夜間経済の議論は、2016年に改正風営法が施行されたことなどから本格化しました。クラブなどが朝まで営業可能になり、夜の時間帯を生かす環境が整い始めます。2017年には、自民党のナイトタイムエコノミー議連が発足し、文化施設の開館時間延長や夜間の安全確保について提言しました。新経済連盟も夜間経済の振興策を提案しています。観光庁はモデル事業として、2019年度は「浅草ナイトタイムツアー」「OSAKA RIVER GO ROUND」、大分の「夜の地獄めぐりと地獄の夜市」など13件を選定しました。

「日本の夜はつまらない」との声が上がり、訪日時に夜間観光をした外国人の割合や満足度は海外より低いと指摘されていますが、各地が夜の観光活性化に取り組み始めています。

各地で新興 ロボットレストランに伝統芸能の夜鑑賞も

観光資源が豊富な東京都渋谷区は、外国人向けに夜の観光マップやツアーを用意するなど積極的に取り組みを推進しています。また、「渋谷区観光大使ナイトアンバサダー」としてヒップホップアーティストのZeebraさんらが任命されており、夜の楽しみ方や安全対策について行政に提言しています。

新宿のロボットレストランでは、日本の伝統とサブカルチャーを融合したショーが行われ、外国人の人気を集めています。さっぽろ雪まつりでは、雪の芸術が23時までライトアップされました。島根の伝統芸能、石見神楽は人気演目の夜神楽を鑑賞するツアーを実施しています。大阪では、夜の大阪城を巡るサクヤルミナが開催されています。

ナイトタイムエコノミー先進国では

ニューヨークでは、芸術やエンターテインメントなどの文化の保護、育成を背景に、市のナイトライフ課が組織されました。メトロポリタン美術館の夜間イベントや、ブロードウェイミュージカルの夜間公演をはじめ、夜の観光の選択肢が多数あります。

ロンドンでも、五輪をきっかけに夜の重要性への意識が高まり、博物館や美術館、ミュージカルやオペラを夜も楽しめるサービスが充実するようになりました。例えば、肖像画を集めたナショナルポートレートギャラリーは、金曜に夜まで開館し、肖像画を模写するイベントを行ったり、音楽やお酒とともに絵を鑑賞できるようにしています。また、市がナイトライフ新興を担う公職「ナイトツァーリ(夜の皇帝)」を設けているほか、「夜の経済特区」の設置を発表しています。

夜間経済の規模はロンドンで約3.7兆円、ニューヨークで2.1兆円となり、それぞれ約70万人、20万人の雇用を創出しているとのことです。

交通や安全など課題

国内における当面の課題は、交通インフラの整備や、安心安全、労働力の確保や維持となるでしょう。

ニューヨークでは、時間を気にせず遊べるよう、地下鉄が24時間運行しています。ロンドンの地下鉄も一部の路線で金、土曜日に24時間営業しています。また、英国では夜も安心して楽しめる地域を国が認定する「パープルフラッグ制度」が導入されており、治安維持に役立っているようです。

都内では、国内外の観光関係者による「ナイトタイムサミット」が11月に初開催され、夜間経済振興に向けた課題を共有し、可能性を探ります。また、欧米各地でみられるような、安全な夜の街を実現する「ナイトメイヤー(夜の市長)」の創設も構想されています。

文・J PRIME編集部

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