法務テック,副業,働き方
(画像=JKstock/Shutterstock.com)

「法務テック」という言葉をご存じでしょうか。リーガルテックとも呼ばれる、法律×テクノロジーを意味する造語です。もともと古い慣習が多かった法曹界ですが、テクノロジーの発達や若手弁護士の意識の変化などにより、法務テックが広がりつつあります。国の後押しも受ける法務テックの現状を見ていきましょう。

広がる法務テック

今、注目を浴びているのが、法務×テクノロジーの、「法務テック」です。これまで法律事務や法務といった仕事は、基本的には紙ベースで、古いしきたりに沿って行わなければならないものでした。しかし、その業務がテクノロジーの力で変わりつつあるのです。

法務テックは、訴訟大国、契約大国であるアメリカで誕生しました。その流れを受けて、日本でも徐々に広がりつつあります。現在、世界では700~1,000社の法務テックを手掛ける企業があるといわれており、その市場規模は、2兆円に到達する見込みです。中には米国のDocuSignのように、上場して時価総額が1兆円を超える企業も生まれています。

日本でも、弁護士ドットコムのように上場する企業も出てきました。しかし、日本で法務テックを手掛ける企業はまだ数十社程度にとどまっています。法務分野は専門性が高く、他のテック分野に比べて参入へのハードルが高いことが理由として挙げられるでしょう。現在はまだ企業数の面で世界に遅れを取っていますが、需要は大きく、参画企業が増えていくことが予想されます。

法務テックが広がっている背景は

では、なぜ法務テックに注目が集まっているのでしょうか。背景にあるものを解説します。

1つは、国が後押しをしているということです。経済産業省は、日本企業の国際競争力を高めるための施策として、法務テックの活用について「日本でもサービスが提供され始めた段階であり、改良余地はあると考えられるものの、一定程度の効果が期待できる。」と言及しています。また、国土交通省では、「IT重説」という試みが2015年から行われてきました。これは、従来は対面で紙を用いて行われていた法人間の不動産等売買取引の重要事項説明を、ITの活用により簡略化できないか、という取り組みです。さらに、2019年からはこのIT重説を拡大し、個人を含む賃貸取引の書面の電子化が社会実験として行われています。

裁判所でも、民事裁判の争点整理争い手続きに日本マイクロソフトの「Teams」というツールを導入するなど、これまで紙ベース、印鑑ベースだったところにテクノロジーが入りつつあるのです。国や裁判所といった形式ばった組織がテクノロジーを導入することで、民間でも広がっていくことが期待されているのです。

さらには、働き方改革による副業解禁の動きもプラスに働いています。例えば、副業で個人が企業と契約を結んで働くケースでは、個人が弁護士に相談したり、すべての契約に対して紙で管理したりというのでは、お互いにコストが増えてしまいます。そういった際にも、法務テックのテクノロジーは、お互いのコスト削減に効果が期待できるのです。

法務テックのサービスはどのような領域に効果的なのか

では、法務テックは、具体的にどのような効果が期待されているのでしょうか。主に2つに分けることができます。

1つは、これまでの法律書類の簡素化、という側面です。例えば弁護士ドットコムの「クラウドサイン」は、サインをウェブ上でかわすことのできる電子契約サービスです。これまで紙に印刷し郵送していたものをすべてウェブ上で行えるため、作業の効率化・コスト削減の両面で活躍してくれます。

また、リーガル・フェイスという会社は、契約書の簡易レビューを行うサービスを提供しています。契約類型や自社の立場を入力することで、自社に不利な条文がないかを確認してくれるサービスです。これも広義では書類の簡素化といえるでしょう。

もう1つは、裁判などにおける争点の整理のためのツールです。先ほど紹介した弁護士ドットコムは、弁護士が必要かどうかわからない案件についても、簡単に相談できます。今後、日本でも契約社会化が進めば、この分野がさらに広がりを見せるかもしれません。

広がる法務テックに注目

急速に日本でも広がりを見せている法務テックですが、働き方の変化の後押しを受け、今後さらに発展すると見られます。日本企業の競争力強化に欠かせない分野になる可能性を秘めた法務テックに注目していきましょう。

文・J PRIME編集部

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