おでん,語源
(画像=yoshi0511/Shutterstock.com)

寒い日に食べるアツアツおでんは絶品です。しかし近年、コンビニエンスストア各社とも、8月にはおでんの販売を開始するのが当たり前になっています。ファミリーマートでは、おでんがもっとも売れるのは、実は真冬ではなく10月。気温そのものが低い時ではなく、前日と比べて大きく気温が下がった時が、もっともおでんの売り上げが伸びるとのこと。ファッション業界さながらの季節の先取りをすることで、ニーズがもっとも高まる秋口に向けて徐々に認知を上げていくわけです。

コンビニのご当地おでんには変わり種も

また、おでんは意外と地域色が強く出るもの。例えばセブン-イレブンでは、出汁の味を北海道、東北・信越、関東、東海、関西、中国、四国、九州と8つの地域によって変えるという徹底ぶりです。それ以外のコンビニでも、地域によって出汁の味を変えたり、地域限定のおでん種を販売したりと工夫を凝らしています。安くて美味しいコンビニおでんの裏には、こういった隠れた戦略や企業努力があるのです。

おでんの概念を覆す高級店

古今を問わず親しまれているおでんですが、近年これまでのイメージを覆す高級食材を使ったおでんが話題になっています。中にはミシュランに掲載されたお店もあるほどです。

筆頭に挙げたいのが、おでんの激戦区といわれる麻布十番にある「あざぶ一期」。こちらはミシュラン1つ星を獲得しています。出汁は佐賀のトビウオ、土佐の豆あじ、利尻昆布、瀬戸のいりこなど、8種類をブレンド。シンプルに塩のみを使い、関西風に味付けしています。注文が入るごとに一品ずつ仕上げ、具材ごとに味の濃淡を変えているという点も注目ポイント。丁寧な仕事によって、おでんのポテンシャルを最大限に引き出しています。

ミシュラン獲得店は大阪にもあります。北新地にある「とみ乃家」は、夜のおでんコースが1万3,000円からとなかなか高額ですが、佇まいも味も高級料亭そのもの。こちらでぜひ食べたいのが、「さえずり(鯨の舌)」と「ころ(くじらの皮と身の間)」です。あまり聞き慣れませんが、大阪では定番のおでん種で、口に入れたときのぷるぷる感はたまりません。

絶品おでんをリーズナブルに味わうなら

さらに、ミシュランよりもお手軽なビブグルマン(5,000円以下で食事ができるおすすめレストラン)獲得店も要チェックです。一度は足を運んでみたいのが、大正4年創業の老舗「浅草おでん大多福」。もともとは大阪にあったおでん屋からのれん分けされたというこの店の出汁は、関東風と関西風の良さを見事に融合。継ぎたしながら1日12時間ほどじっくり煮こんでいるそうです。30種類ほどある具材の中で、いちばん人気はやはり大根。箸で割った先からふわりと立ち上る出汁の香りに、思わず頰がゆるみます。

続いては、御茶ノ水にある「こなから」。こちらは自家製種が豊富なお店です。自家製はんぺんは、大和いもを使用したふわふわの仕上がり。卵を加えることで、さくさくに仕上げたというこんにゃくも必見です。度肝を抜かれるのが、あんこと白玉粉と上新粉と練り合わせた「あんこ玉さん」。ほんのりと甘じょっぱく、デザート感覚で食べられます。

おでんの魅力とは?

おでんの歴史を紐解くと、1,000年以上前の室町時代までさかのぼるといわれています。時代が移り変わるにつれ、さまざまな進化を遂げてきたおでん。高級店のおでん、屋台のおでん、コンビニおでん、家庭料理としてのおでん。価格や形態はさまざまですが、長きにわたって愛されてきたのは、単に美味しいからというだけではなく、心にまで幸せを届けてくれるからではないでしょうか。今年の冬もおでんの湯気に、存分に癒やされましょう。

文・J PRIME編集部

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