VR,不動産業界
(画像=wavebreakmedia/Shutterstock.com)

賃貸住宅における部屋探しが変わろうとしています。部屋の様子をVR(Virtual Reality、仮想現実)で確認し、気に入った部屋が見つかればウェブから好きな日時を指定して、内見予約。場合によっては、不動産会社の店頭を訪れることなく賃貸契約が終了する、そんな未来の部屋探しがまもなく始まろうとしています。

今の部屋探しは、不動産情報サイトを使って入居したい物件を見つけられるものの、実際に部屋を見たり、契約したりするには、その物件を管理する不動産会社を訪れなければなりません。近所であればまだしも、転勤などで東京にいながら大阪の家を探したり、九州にいながら名古屋の家を探したりすることもあるでしょう。その都度、新しく住む場所の不動産会社を訪れ、物件の選択、内見、契約といった手順を踏む必要があります。

なぜ、賃貸住宅の契約は手間がかかるのか。その要因の1つは対面や書面によるやりとりが多くあり、インターネットやデジタル化の恩恵を受けづらいからです。しかし、その環境は少しずつ変わっています。

その1つがVRを使った内見です。360度の映像が見られるVRは、部屋の様子をリアルに感じ取れるツールです。間取りや窓の位置などを確認できますし、窓からの眺望を見られるものもあります。素材や質感、また駅から家までの道のりといった周辺環境までは分かりませんが、画像だけで確認するよりはるかに多くの情報が得られます。複数ある候補から住みたい部屋を絞り込むための大きな要素になるでしょう。

実際に現地を訪れる必要がある内見も、変わりつつあります。不動産会社の人とともに訪れる内見は、安心感が高いですが時間が限られます。夜間や仕事の空き時間など、自由に内見できる「セルフ内見」を、三菱地所グループでは「スマート内覧」として導入していますし、金沢に本社を構えるクラスコでは「じぶんで内見」として提供しています。

細かな方法は異なりますが、ウェブを使って申し込み、入室する際の鍵はスマートロックなどを使用。デジタルツールを掛け合わせることで便利で安全なセルフ内見システムを構築しています。

これらに加え、変わろうとしているのが賃貸契約です。2017年には、物件の状態や契約の内容を入居者に説明する重要事項説明をITで実施する「IT重説」がスタート。以前は宅地建物取引士(宅建士)が対面で入居者に説明していましたが、スマートフォンやタブレットの画面を通しての説明が可能になりました。

加えて、2019年10月には書面による交付を義務付けていた「重要事項説明」の電磁的方法、いわゆる電子契約による交付を認める社会実験がスタートする予定です。これが実用化されれば、PCやスマートフォンから電子契約を結ぶことができ、店頭を訪れる回数が少なくなります。

デジタル化の恩恵は働き方改革にもつながる

デジタル化による部屋探しの変化は、入居者に利便性をもたらすだけでなく、不動産業界で働く人たちとっての働き方改革にもつながります。内見のネット予約は、電話で内見の予約する作業がなくなりますし、スマートロックの活用で、鍵の受け渡しといった手間もなくなります。

セルフ内見が増えれば、内見に付き添う業務時間が軽減します。重要事項説明をするためだけに宅建士は店頭に在席する必要がありましたが、IT重説が一般化されればネットを介して自宅など不動産会社の店舗以外の場所からでも仕事ができるようになります。

デジタル化の恩恵を受けづらかった部屋探しですが、ネット環境とデジタルツールを使うことで、効率的で便利なものに変わろうとしています。現地の周辺環境など、実際に訪れ、自分の目で確かめるという手順を省くことはできないかもしれません。しかし、内見や契約など、ネットを通じてできることを増やせば、店頭に訪れる回数を減らすなど、これまでよりずっと効率的な部屋探しができるのは間違いないでしょう。

文・J PRIME編集部

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