CAR
“クルマ通“戸賀編集長の愛車遍歴Vol.24
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー第23弾!「順調な独立後を過ごしていた戸賀編集長に悪魔のささやきをしたのは、最強の営業マンでもある、あの人でした」
出版業界では、かなりのクルマ好きとして知られている戸賀編集長(トガ)。数々のクルマを乗り継いで来た彼が、10年に渡るメンズクラブ編集長という肩書を外し、忖度が無くなった状態のなかで、「どんな基準でクルマを選んでいたのか?」、「そのクルマの魅力はどこなのか?」等を大いに語ります。
話の聞き手は、戸賀編集長が雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみに!
菅原 前回は、ポルシェ991のGT3に乗っていた時代のセカンドカーとして、メルセデス・ベンツE220d アヴァンギャルドを購入。予算、必要に応じたサイズ感、使い勝手などの制約だらけの中で選んだ、ある意味何の期待もしていない一台だったのに、実際に乗ってみたら、30数年のクルマ生活の中で5本の指に入る名車だった、ってところで話が終わっているんだよ。『そんなに気に入っていたクルマだったらもう少し乗っていれば良いのに』、と俺は思うんだけど、トガはまた短いサイクルで乗り替えたんだよな。
戸賀 あれ? 藤倉、俺、E220dはけっこう乗ってなかったっけ?
藤倉 はい。今、過去のブログを確認していたのですが、意外と所有していた期間は短いですね。
戸賀 あれ? そうだった?(笑)。でもスガ、これはちゃんと書いて欲しい。E220dに乗っていた俺に、悪魔の囁きをした人がいたんだよ。俺としては、セカンドカーであるE220dには何の不満もなかったのに、あの人の囁きのせいで俺は……。
菅原 うん、下手な芝居はいらない(笑)。で、誰にそそのかされたの。
戸賀 メルセデス・ベンツ日本の金太郎さんです。
菅原 金太郎さんって、社長の上野金太郎さん?
戸賀 そう、その金太郎さんが、「トガッチが前に乗っていたゲレンデが、今度フルモデルチェンジするんだよ」なんて囁いてきた(笑)。
「マジっすか?」って感じになるのは仕方ないよな(笑)。社長って、間違いなく、そのブランド最強の営業マンでもある。そんな人がおススメしてくれるクルマに、間違いはないんだよ。だから金太郎さんに、新型の話しをされたら欲しくなってしまうのも仕方ない。すぐに嫁に相談したんだけど、『G63は無理』って言われたんだよ。となると、G550しかない。
菅原 あれ? E220dで、ディーゼルエンジンの素晴らしさに目覚めたんじゃなかったっけ? G350dって選択肢はなかったの?(笑)
戸賀 そうなんだよなぁ~。でもあの時は、2.5トン超えの重いクルマがディーゼルで走る訳がないって、なぜか思ってしまった。あと、ディーゼルの発売は、ガソリンより遅かった記憶がある。だからV8のガソリンエンジン、G550の一択だった。G550に決めちゃおうかな? なんて考えていたら金太郎さんが、「トガッチ、今決めてくれたらすぐ納車できるよ」ってダメ押ししてくるんだよ(笑)。
菅原 さすが最強営業マン(笑)。
戸賀 もっと正直なことをいうと、当時は「トガッチがなんでE220dみたいな地味なセダンに乗っているの」と言われることが多かった。金太郎さんにも言われたよ。でも、俺的には独立したばかりだったし、戸賀は贅沢ばかりしている人間ではないんです、というイメージを作っていきたかった。
もちろんメルセデスの営業マンは俺がゴルフをすることを知っていたから、「戸賀さん、ワゴンじゃなくていいんですか?」って聞いてくれたけど、ここは地味にセダンでいこうって決めていた。でもね、なぜ地味なセダン? と聞かれるたびに、『いやいやポルシェのGT3も持っているんです』って言うのも、なんかカッコ悪いじゃん(笑)。そんなことを考えていた時期に、金太郎さんにゲレンデを即納できるって言われたら、やっぱり買うしかないよ(笑)。
藤倉 さすが最強営業マン、タイミングもバッチリだったんですね。
戸賀 藤倉、うるさい (笑)。
最高のクルマでも、納車された日から魅力は落ちていく
菅原 で、購入したG550は、どんなクルマだったの?
戸賀 ボディカラーは俺の好きなガンメタで、インテリアはブラウンレザー。こんな仕様、なかなか手に入らないんだよ。でも早く契約したことと、新型の人気があまりなかったから手に入れることができたんだと思う。ちなみに、この新型が発表された時は、先代の方が小さくて良いとか、新型は余計な贅肉が付き過ぎた、なんて意見もあって、先代見直し論みたいなものも強かった。でも俺は、先代のガタピシャで風切り音も半端なくて、トラックみたいなゲレンデより、新型の方が断然良いと思ったんだよ。確かに、車幅がスリムなのはメリットがあるけど、新型の乗り心地の良さと、音の静かさは、良い意味でレクサスみたいだった。新型は二重ガラスだったしね。
菅原 セカンドカーとしての使い勝手はどうだったの?
戸賀 何もかもが最高だった。左ハンドルだったし、ゴルフに行く時にも、もちろん活躍してくれたしね。ちなみに俺は、当時人気のあった、タイヤがインチアップされたスポーツラインではないノーマルのG550をチョイスしたんだけど、これも正解だった。E220dの時と同じで、インチアップされていない方が、断然乗り心地が良かったんだよ。
菅原 やっと理想のセカンドカーに巡り合えたって感じ?
戸賀 いや、そうとも言えないんだよね。クルマを買う時って、カタログを見たりしている時が、一番盛り上がっているんだよ。でも愛車は、納車された日から魅力がドンドン落ちていくもの。乗れば乗るほど、色んな欠点に気が付いてしまう。そして、不可抗力で小石が跳ねてボディに傷が付いたり、ホイールをガリったりしてしまっても魅力は日に日に落ちてしまう。仕方ないんだけどね。
でも一番、気持ちが萎えたのは、六本木通りを走っていてG63を見ると『うわっ、負けた』と感じてしまう自分に気が付いてしまったことだった(笑)。やっぱり負けるのは嫌なんだよ(笑)。
菅原 でも別にいいんじゃないの? セカンドカーなんだから(笑)。
戸賀 スガ、良いツッコミだ(笑)。でもさ、Eに乗ってる人で、「トガッチってディーゼルなんだ、俺はV8」って人はいないけど、ゲレンデはそういう奴が、まぁまぁいるんだよ。G63に乗っている奴に、「同じV8だけど、どうですか?」って聞かれると、やっぱりカチンとくるんだよね(笑)。
向こうは鬼っ速だし、ましてやその頃になると、女の子でも『G63だぁ♡』って分かるくらいモテ始めていたし(笑)。なんなら先代のG63の奴が、こっちの550の方がはるかに良いクルマなのに、『あぁ、550なんすね』なんて感じの奴がいて。そんなことが続いて、本当に嫌になっちゃった(笑)。だから、最初にディーゼルを選べば良かったんだよなぁ。ディーゼルだったら、『あぁ、僕そういうのじゃないんで。これセカンドカーなんで』って心に余裕を持って言えたと思う(笑)。同じV8で、ターボのチューニングが違うクルマがあるのなら、絶対に上のグレードを選ばなきゃダメだということを、あらためて勉強させて頂いた1台だったとも言えるね(笑)。
藤倉 あの~、ちょっといいですか? 戸賀さんのお話を聞いていたら混乱してきちゃったんですけど、戸賀さんにとって、やっぱりファーストカーはポルシェ911のGT3で、セカンドカーがゲレンデヴァーゲンなんですよね。普通、ファーストカーがゲレンデで、セカンドカーはポルシェなのでは? そこが普通の人と逆なのでは?
菅原 藤倉、そのツッコミは鋭い。でもトガを普通の人と一緒だと考えることに無理があると思うよ(笑)。
戸賀 いや、簡単なことだろ。俺にとってのファーストカーは、いつでもスポーツカーなんだよ。
菅原 いやいやトガ、そこが変わっているんだって(笑)。
ということで、次回へ続きます。
メルセデス・ベンツG550
全長×全幅×全高:4817mm×1931mm×1969mm
ホイールベース:2890mm
車重:2450kg
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:9段AT
最高出力:422ps(310kW)/5250-5500rpm
最大トルク:610Nm(62.2kgm)/ 2000-4750rpm
価格:¥15,620,000 ※2018年当時
文 菅原 晃
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